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その15
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「ミリア、予定変更だ。お前はここで待機した方がいい」
宿の納屋に馬車を留めるとサージは樽から這い出したミリアに告げる。本来ならこの段階で彼女はフードで素顔を隠して合流するはずだったのだが、監視がいる状態で荷台から出るのは致命的な失策と言えた。
三人旅と思われた一行が実は四人だったとなれば、どんな馬鹿でも更に警戒を強くするだろう。彼女にとっては難儀なことだが、決行直前まで幌の中で過ごしてもらうしかない。それに食料と水は万一に備えて充分な量を用意していた。
「ええ、監視があるのなら仕方がないですね。しかし・・・私達の正体が既に敵側に知られているのでしょうか?」
やっと窮屈な樽から出たばかりのミリアではあるが、サージの考えを受け入れつつも敵の動向を案ずる。
「その可能性もあるが・・・おそらくは、外からの訪問者全てに監視を付けているのかもしれない。この町で脅威になるのは余所者だけだからな。いっそ全員を見張ってやろうってことなのだろう。小心なことだが、町そのものを支配しているのならそれも可能だ」
「奴に慢心はないということですか・・・」
仇敵であるジェダが万全の対策を練っていることでミリアは顔を曇らせる。倒す算段は既に付けているとはいえ、油断のない敵の構えはこれからの苦難を予想させた。
「情報収集と脱出ルートの確保は私達が今日中に成功させてみせます。心苦しいでしょうが、ミリア様はこちらでお待ち下さい!」
計画では初日は情報収集に当て、決行は翌日の正午と計画している。なので、ミリアが我慢するのは長くても一日程度だ。
「わかりました。サージ・・・二人をお願いします!」
リーザの励ましにミリアは頷きながら、改めてサージに姉妹の安全を依頼する。二手に分かれる以上、リーザとローザの身の安全はサージに委ねられるからだ。
「承知した・・・」
それにサージは渋々と承諾する。彼からすれば、何かを守りながら戦うのは好みでないのだ。
「ありがとう!」
理想的な反応ではなかったが、それでもミリアはサージの右手を自身の両手で包みながら感謝を告げる。例え嫌々だったとしても、この男が承知したと告げたのならば、命を賭けてでも実行するはずだからである。
「おいおい、急にどうした?!」
絶世の美女に手を握られたサージだが、利き手を自由にしようと直ぐに距離を取る。
「もしかしたら、先程のことでマイスターミリアはちょっとした焼き餅を焼いているのかもしれませんね。安心して下さい、あれは演技ですから」
「そ、そんなわけじゃ・・・」
ローザの指摘にミリアは語尾を濁らせる。
「では、演技ではなかったとしたら?」
「・・・待機中は斧を砥いで暇を潰そうかしら・・・ふふふ」
それまではローザに押されていたミリアだが、負けてはいられないとばかりに苦笑を浮かべながら嘯く。
「冗談です!」
ローザは即答しながらサージから一歩離れた。
「そろそろ、行こう。あまり長居すると怪しまれる」
そんな女二人の駆け引きには頓着せずにサージは淡々と行動を促す。
「・・・ええ、お願いします・・・」
一人離れるミリアは不安を飲み込むように頷くが、それが何を案じたものかサージが知ることはなかった。
宿の納屋に馬車を留めるとサージは樽から這い出したミリアに告げる。本来ならこの段階で彼女はフードで素顔を隠して合流するはずだったのだが、監視がいる状態で荷台から出るのは致命的な失策と言えた。
三人旅と思われた一行が実は四人だったとなれば、どんな馬鹿でも更に警戒を強くするだろう。彼女にとっては難儀なことだが、決行直前まで幌の中で過ごしてもらうしかない。それに食料と水は万一に備えて充分な量を用意していた。
「ええ、監視があるのなら仕方がないですね。しかし・・・私達の正体が既に敵側に知られているのでしょうか?」
やっと窮屈な樽から出たばかりのミリアではあるが、サージの考えを受け入れつつも敵の動向を案ずる。
「その可能性もあるが・・・おそらくは、外からの訪問者全てに監視を付けているのかもしれない。この町で脅威になるのは余所者だけだからな。いっそ全員を見張ってやろうってことなのだろう。小心なことだが、町そのものを支配しているのならそれも可能だ」
「奴に慢心はないということですか・・・」
仇敵であるジェダが万全の対策を練っていることでミリアは顔を曇らせる。倒す算段は既に付けているとはいえ、油断のない敵の構えはこれからの苦難を予想させた。
「情報収集と脱出ルートの確保は私達が今日中に成功させてみせます。心苦しいでしょうが、ミリア様はこちらでお待ち下さい!」
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「わかりました。サージ・・・二人をお願いします!」
リーザの励ましにミリアは頷きながら、改めてサージに姉妹の安全を依頼する。二手に分かれる以上、リーザとローザの身の安全はサージに委ねられるからだ。
「承知した・・・」
それにサージは渋々と承諾する。彼からすれば、何かを守りながら戦うのは好みでないのだ。
「ありがとう!」
理想的な反応ではなかったが、それでもミリアはサージの右手を自身の両手で包みながら感謝を告げる。例え嫌々だったとしても、この男が承知したと告げたのならば、命を賭けてでも実行するはずだからである。
「おいおい、急にどうした?!」
絶世の美女に手を握られたサージだが、利き手を自由にしようと直ぐに距離を取る。
「もしかしたら、先程のことでマイスターミリアはちょっとした焼き餅を焼いているのかもしれませんね。安心して下さい、あれは演技ですから」
「そ、そんなわけじゃ・・・」
ローザの指摘にミリアは語尾を濁らせる。
「では、演技ではなかったとしたら?」
「・・・待機中は斧を砥いで暇を潰そうかしら・・・ふふふ」
それまではローザに押されていたミリアだが、負けてはいられないとばかりに苦笑を浮かべながら嘯く。
「冗談です!」
ローザは即答しながらサージから一歩離れた。
「そろそろ、行こう。あまり長居すると怪しまれる」
そんな女二人の駆け引きには頓着せずにサージは淡々と行動を促す。
「・・・ええ、お願いします・・・」
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