マジカル・ワールド210

稲荷As

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始まる集結編

レコード14:戦いと守る

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16「なぁ、俺が戦ったら、勝てると思うか?」
マサルさんが真面目で少し心配な顔でそう聞いた。
01「…魔獣にですか?」
セントが不思議な顔でそう聞いた。
16「あぁ。俺は魔力が足りなくてなれなかったらしいんだが、もしなれてたら、魔獣を倒せると思うか?」
マサルさんは少し心配な顔をしていた。
01「勝てるとは思います。でも、正直言って、僕はあなたを魔法使いにしたいとはあまり思いません」
セントは真面目な顔でそう言った。
16「!?…それは、どういうことだ?」
マサルさんが驚いて、不思議そうに聞いた。
01「僕は、ただ人を守る、そのために戦う。そういう考えでなければ、力を与えたいとは思わない」
セントは真面目な顔でそう言った。
16「俺は…、そう見えないってことか?」
マサルさんが聞いた。
01「うん。マサルさんはただ、力を求めているというふうに見える」
セントは遠慮なくそう言った。
16「…そうか。確かにそうだな。俺は力を求めているな…」
マサルは悲しそうにそう言った。
01「…まぁ、僕も力を求めてはいる、だがそれは、人を守るため、そのために強くなる。マサルさんは、守りたいものはないんですか?」
セントが聞いてきた。
16「守りたいものか…。小さい頃、魔獣が現れて、友達が何人か目の前で死んだんだ。もし助けられたら、なんて思ってな。だから、家族とか、今いる友達とかを助けたいなって思ってたんだよな…。でも、魔法使いになれなくて、やけになってたんかな?」
マサルさんは悲しそうに、笑いながらそう言った。
01「誰かの言葉ですが、」
セントが言った。
01「自分には何もなかったとしても、何もしないことの言い訳にはならない。てね。力がなくったって、自分ができる範囲なら、人を守ることは誰だってできる。本当に助けたいなら、まずは動くことだと思います」
セントが優しい顔をしてそう言った。
16「そうだな。分かった。俺もできる範囲、頑張ってみるよ」
マサルさんは笑って言った。
01「あっ、いた。セント君、お風呂入っていいよ!」
お風呂から上がったアケミがやって来た。
01「分かった」
セントが返事した。
02「…何話してるの?」
アケミが聞いてきた。
01「ん~、ヒーローとは何か。ってな感じ。じゃあ、お風呂入ってくるわ」
とセントが少しはぐらかしながら言った。
02「は~い」
アケミは不思議そうに返事した。

01「ふ~ふふん、ふ~ふんふんふ~ふんふんふんふふんふ~ん」
セントはお風呂で鼻歌を歌っていた。
01「ふ~ふふん、ふ~ふふんふ~ふん…」
ガチャ
セントはドアが開いた音がして、突然鼻歌を止めた。
01「…どうした?アケミ」
セントがアケミに声をかけた。
02「セント君、お兄ちゃんに聞いたんだけど、人を守るために戦ってるんだよね?」
アケミが聞いた。
01「はぁ、そうだが?」
セントは少し怒った口調で答えた。
02「いや、私も人を守りたいって思うけど、セント君って、守りたい人っていたの?」
01「…」
セントは少し黙っていた。
02「あっ、ごめん。無理に答えなくてもいいよ」
アケミが申し訳なさそうに言った。
01「…いたよ」
02「!」
セントが少し悲しそうな声で答えた。
01「いたけど…、結局、守りきれなかった。まぁ、そん時の俺は今と違って弱い訳だしさ、むしろ、よく頑張ったって思うよ」
セントは少し笑って答えた。
02「…そうなんだ」
アケミは少し落ち込んでいた。
01「守ろうとすれば、守れないものもでてくる。だから、覚悟を持たなければいけない」
セントは覚悟に満ちた、けれども、悲しい声でそう言った。
02「そっか…。じゃあ、もう一つ聞いていい?」
01「なんだ?」
セントが聞いた。
02「セント君ってなんで戦い始めたの?」
01「…」
またセントは黙ってしまった。
02「あっ、ごめん…。また…」
アケミは申し訳なく、悲しそうに謝った。
01「アケミはなんで戦うことにしたんだ?」
セントが聞いてきた。
02「え?私?」
アケミは突然聞かれて驚いた。
02「私は…、自分がみんなを守ることができるならって思ってて、今思うと、楽観的だったなって…」
アケミは少し落ち込みながらそう言った。
01「人を守るために戦おうとするならいいと思うよ。守れないなら、強くなるしかないから」
セントは少し微笑みながらそう言った。
02「そっか」
アケミも少し笑った。
01「俺はさ、もちろん、人を守りたいとは思っていた。でも、正直言って、僕しか戦える人がいなかったから、戦い始めたんだと思う」
セントは少し悲しそうにそう言った。
02「セント君しか…、いなかった?」
アケミが聞いた。
01「突然、人を襲う奴らが現れて、仲間が襲われて、俺はたまたまあった装備で戦って、その時はなんとか勝ったって感じ。まぁ、無我夢中だったんだわ」
セントは少し笑いながらそう言った。しかし、アケミはその心の奥にある悲しみを感じた。
02「そう、なんだ…」
アケミは少し泣きそうになった。
01「アケミ。少し出ててくれる?もう上がろうと思うし」
セントがそう言った。
02「あっ、うん、ごめんね」
アケミは出ると部屋に戻っていった。
01「…」

セントはお風呂から上がると、自分の部屋に入り、窓を開け、夜空に光る月を見上げていた。
01「ふふふ~んふふふん、ふ~んふふん」
セントは鼻歌を歌っていた。
01「ふふふ~んふふふん、ふ~んふふん、ふんふんふんふんふ~ふふ~ん…」
また、セントは歌の途中でやめた。
コンコンコン
02「セント君、ちょっといい?」
アケミが部屋の外に立っていた。
01「入っていいよ」
セントはアケミにそう言った。
ガチャ
アケミはドアを開け、部屋の中に入ってきた。
01「どうしたの?」
セントが聞いた。
02「セント君ってさ、いつかはまた、他の世界に行くんだよね?」
アケミが聞いてきた。
01「ん?そうだけど…」
セントが不思議そうにしている。
02「じゃあさ、私もセント君と一緒に他の世界について行ってもいい?」
セントはその言葉にとても驚いていた。他の世界でも、「他の世界から来た」と話してから、「一緒に行きたい」と言ってきた人はあまりいなかったからだ。
02「…駄目?」
アケミは少し、悲しそうに聞いた。
01「いや、駄目じゃないけど…、あんまりそんな事言う人いなかったからな…」
セントはまだ、驚きながら答えた。
02「じゃあ、行っていい?」
アケミがしつこく聞いてきた。
01「いいけど、行くまでかなり時間がかかると思うし、それに…」
セントは少し黙った。
02「何?」
アケミが食い気味に聞いてきた。
01「すぅ~、は~…」
セントは頭を抱え、深く深呼吸をした。
01「その時まで、お前が生きているかどうかだ」
セントは少し冷たい目をして言った。
02「…分かった。なら私も強くなる。セント君に守られなくてもいいぐらい強くなる」
アケミのその目には強い覚悟が読み取れた。
01「…はぁ、分かった。いいだろう。その代わり俺がしっかりと鍛えてやる」
セントも覚悟を決めた目でそう言った。
02「うん!お願い!」
アケミが返事をした。
01「ところで、なんで一緒に他の世界に行きたいって?」
セントが不思議そうに聞いた。
02「えっ?いやっ…、それは…」
アケミは少し恥ずかしそうにしている。
01「なんだ?場合によっては、正直に言わなければぶっ飛ばす」
セントが少し怒って聞いた。
02「いや、その…」
アケミは恥ずかしそうにしていたが、少しセントの顔を見て、ついに話した。
02「セント君が、その…、大変そうだなって思って…、それで…、できれば手伝いたいなって…」
アケミは恥ずかしそうにそう言った。
01「そうか…」
セントはかなり驚いた顔でそう言った。
01「だが、俺の心配をするなんて千年早い」
しかし、セントは呆れたようにそう言った。
02「あ、ごめん…」
アケミは下を向いて悲しそうにそう言った。
ギュッ
02「えっ!?ちょっ、セント君!?」
突然セントはアケミを抱きしめた。
01「ありがとうな。アケミ」
セントは笑ってそう言った。アケミはその顔を見れなかっただろうが、その声からアケミはそうだろうと思った。
02「…うん、いいよ」
アケミも笑ってそう言った。



~ナゴムの解説〈マジカル⊕ワード〉のコーナー~
『エネライダー』
エネライダーとは、1話で初登場したナゴム(セント)、つまり僕のバイク。基本的にはバイクモードになっているが、時と場合に応じて変形させることができる。主に救助の時に使用する、人型のロボットモード。主に戦闘の時に使用する、ミサイルなどを撃つマシンモード。陸上を走行する、バイクモード。空を飛ぶことができる、フライモード。水中を進むことができる、スプラッシュモード。これらの5つに変形することができる。また後ろには、荷物を入れる、あるいは人が2人乗ることができる、マシンモードの足がある。さらに、どんな形態だとしても、銃で攻撃することができ、自動走行だって出来る。そのため、僕のお気に入りになっている。


あとがき
 どうもこんにちは。稲荷Asです。皆さんは、化け物が現れて、たくさんの人が襲われている時、助けに行こうと思いますか?自分は無理です。死ぬのが怖いので。多分、一発でも攻撃を食らったら死ぬだろうなと思います。また、すべての攻撃を避けることもできないだろうとも思います。なので、化け物と戦い、みんなを守ってくれる人達には感謝したいと思っています。そんなことはないでしょうけど。
 今回の話で、ナゴムの過去について少しほのめかされて話されていますが、意外と辛いなぁ~。まぁ、ナゴムの過去については大まかには、決まってはいますが(特に始まりの頃は)。
 それではまた、次のお話で。
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