ZODIAC ORDER the over world

桂圭人

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第八章「全滅、そして終わらない」

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ゾディアックオーダー本部・司令室。
巨大なスクリーンに、世界地図が映し出されている。
かつて六恋仏の位置を示していたマーカーは――
すべて、消えていた。

「……確認しました」

オペレーターが、静かに報告する。

「六恋仏、全存在の消滅を確認」

「……終わったのか」

アリエスが、ぽつりと呟く。

「ああ」

リブリウスが頷く。

「我々の、勝利だ」

だが――
その言葉に、誰も反応しない。
司令室に集まった全員が、疲弊していた。
アリエスの炎は、不安定に揺れている。
サジタリオンの風は、方向を失っている。
ジェミニアの双子には、わずかな間が空いている。
ピスシアの瞳は、現実と夢の境界を見失っている。
キャンサルの癒しは、完全には戻らない。
スコリスの表情は、いつもより沈んでいる。
リブリウスの内なる天秤は、傾いたまま。
アクアリウムの視線は、未来を捉えきれない。
レオニスからは、かつてのカリスマが消えている。
カプリコルヌは、もう嘘をつけない。
ヴァルゴリアには、裁きの光だけが残っていた。

「……我々は勝った」

リブリウスが、あらためて口を開く。

「だが、代償は大きい」

「誰一人として、無傷ではない」

全員が、無言で頷いた。

「それでも、前に進む」

リブリウスは、一人ひとりを見渡す。

「我々はゾディアックオーダーだ」

「人々の感情を守る組織だ」

「失ったものがあっても、使命は終わらない」

「……そうだな」

アリエスが、小さく笑う。

「俺たちは、まだ生きてる」

「それだけで、十分だ」

「違いねえ」

レオニスも、肩をすくめる。

「生きてりゃ、何度でもやり直せる」

「では、解散だ」

リブリウスが告げる。

「各自、休息を取れ」

「次の任務まで――」

その瞬間。
警報が、司令室を切り裂いた。

「何だ!?」

全員が、反射的に身構える。
オペレーターが、青ざめた顔で叫ぶ。

「議長! 異常反応を検知しました!」

「……何だと?」

スクリーンに、新たな波形が浮かび上がる。

「六恋仏の……反応です!」

「そんなはずはない!」

「しかし、確かに存在反応が……!」

室内に、ざわめきが走る。

「落ち着け!」

リブリウスが一喝する。

「詳細を報告しろ!」

「は、はい! 反応は局所的です!」

「局所的?」

「特定の地点、一箇所のみから――!」

「座標を出せ」

「はい! 座標は……こちらです」

読み上げられた地点を見て、リブリウスの表情が強張る。

「……本部の、すぐ近くだ」

沈黙。
全員が、顔を見合わせる。

「……まさか」

キャンサルが、かすれた声で呟く。

「まだ、終わっていないのか……?」

その時だった。
スコリスが、静かに立ち上がる。
誰にも気づかれないほど、自然に。

「……」

一言も発さず、司令室を後にする。
警報が鳴り響く中、彼女の背中だけが、闇へと消えていった。
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