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0.プロローグ―殺人事件(12年前)―
しおりを挟む「随分とでかい家だな」
「はい」
「被害者は?」
「性別は女性、年齢は35歳で、仕事はつい最近辞めたようです」
「結婚は?」
「していません」
「してない?」
「はい。両親はすでに他界していて、この家には一人で暮らしていたそうです」
「そうか」
珍しく雨が降り続いた3月。
被害者が殺されて現場検証に来た日は、嘘みたいに晴れていた。
「殺害方法は?」
「首を絞められたことによる窒息死です。ただ、暴行されたあともあり、恐らく気を失った上で最後に首絞められたのかと」
「性的暴行か?」
「その可能性は限りなく低いかと」
「遺体はどこにある」
「2階の寝室です。布団の上に」
足を踏み入れた家の玄関は、外観に見合ったように大きい。にも関わらず見た限り金目のものは置いてなさそうな殺風景としたその光景に、被害者の交友関係が見て取れた。
「そういえば、北見は?あいつも来るはずだが」
「あぁ、来ますよ。でも別の事件のことで少し足を引き留められてるみたいです」
「・・・別の事件ね」
遺体のある2階へと続く急な階段をのぼり、辿り着いた先に見えたのはふすまが破られ大破したドアだった。
「あらそった形跡ってことで間違いないんだよな?」
「えぇ、そうですね。かなり抵抗したものと思われます」
「最初に通報があったのは?誰からだ?被害者・・・が通報したってわけでもなさそうだが」
寝室に足を踏み入れ、シートがかけられている被害女性のもとへと進もうとしたとき、すでに現場に到着していた別の刑事が話に割り込んできた。
「それが妙なんですよね」
「・・・妙?」
「突然話に入り込んでしまい申し訳ありません。本日からこちらに加わることになりました、竹石と申します」
「あぁ、それは構わん。妙とはどういうことだ」
「はい。最初に通報を受けた者によると、電話の声の主は女性だということでした。この家からの通報だったので、被害女性で間違いないかと。でもその通報があった時刻は、女性が殺害された推定時刻よりもかなり前なんです」
「女性からはなんて通報があったんだ?」
「それが・・・『夫に殺されそうだから助けてくれ』と」
「夫?・・・被害者は独身だってさっき聞いたが」
「はい。だから妙なんです。通報があってこの家に来た警察官によると、女性は1人だったと」
シートがかけられた被害者の顔を見てから首元にも目をやったが、暴行は身体だけのようで、顔は綺麗だ。
「怯えた様子は?」
「なかったらしいです。なので許可をもらって家の中を一応確認して、見回りしてからその時対応した警察官は署に戻ったと」
「第一発見者は誰だ?」
「郵便局のアルバイトです」
「どうやって見つけたんだ?」
「書留があったらしくて、届けに行ったら玄関が開いていたとのことです。声をかけても何も反応が無いので中に入ったらしいんですよ。なんで入ったのか聞いたら、昔から交友があったようで顔見知りだと。近所の人にも聞き込みをしたので間違いないです。相当仲が良かったらしいですよ」
「そうか」
―――――――――
―1995年3月10日―
郊外で殺人事件が発生。
被害者は35歳、女性。両親は他界しており、3LDKほどの大きさの一軒家に一人暮らし。 死因は首を絞めたことによる窒息死であり、室内にはあらそった形跡があった。
なお、事件が起こったとされる時間と、被害者が亡くなったとされる死亡推定時刻は、平日の午後の3時前後であり、監視カメラは珍しく設置されていたが、稼働していなかった。目撃者はなしとのこと。
―――――――――
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