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しおりを挟む(・・・・あれ)
なんか顔がゴワゴワする。
目が・・・重たい。
「っ・・・」
頭も少し痛い。確かさっきまで寝室に居たんじゃ・・・。そう思って薄っすら目を開けてみた。見たことのあるような光景だけど、部屋が薄暗くてよく見えない。しかもなんか角度がおかしい。
あぁ、そうか。
泣き腫らしたまま寝てしまったのか。たくさん泣いて、泣きすぎて顔が酷いことになってるんだ。と自分に言い聞かせた私はこの時妙に冷静になっていた。
せっかくつっかえたものがとれてすっきりした感じになってたのに、今は身体のすべてから生気が抜けてぬけ殻状態だ。
何事も限度ってものがあるけど…。
(喉カラカラで目が開ききらない。お風呂でのぼせた後みたい)
何故か横になっているらしい自分の身体を起こそうと、手を下につけて力を入れた私は、触れた手の先の感触に違和感を感じて戸惑った。
(・・・え)
ソファ?・・・で寝てた?
「っ"」
そして自分の身体の下に少し温もりを感じた次の瞬間、誰かのくぐもったような声が聞こえて、私の動きはピタリと止まった。
(へ?・・・え、え?)
目に見える景色全てが薄暗いから目が慣れない。
私は今いったいどこにいるんだろう。そしてさっき聞こえてきた声は何?
(・・・もしかして誰か居る?)
「っ・・・・起きましたか」
少し眠たそうな、疲れたような声に名前を呼ばれた私は、その声が思ったより近いところから聞こえてきて混乱してしまった。
(あれ・・・え?)
「エミリア・・・すいませんが」
そして自分自身の今の体勢がどんなものかなんとなく認識し始めた時、声の主であるリクールが少し焦ったように告げた。
「・・・動かないでいただけますか」
どうやら私はソファで寝ていたらしく、彼に寄りかかるようにして一緒に横になっていたようだ。目が覚めたと同時にそれに気が付かず起き上がろうとして、リクールの胸元あたりに体重をかけてしまっていた。
もちろん、今の体勢は言わずもがな、彼に馬乗り状態だ。
(あ・・・・あ・・・あれ・・・どうして)
確かにソファは大きくて広かったけど…。
なんでここで2人で寝てるの?
ソファの下がどれくらい高さがあったかなんて覚えてないけど、足元が見えないまま降りて怪我をするような高さではない。動くなと言われたにも関わらず、こんな体勢に動揺してなんとか彼の上からどけようと焦っていた。
そして着ている服がワンピースのような服だから膝で立とうとすると服を引きつけてしまうのが気になってなかなか上手く動けなかった私は、今度はリクールのお腹の方に手で圧を加えてしまった。
(・・・こ、これは・・)
「エミリア」
人の身体ってこんなにかたいものなの?!と腹筋を触って驚いてしまった私は、すっかり目が冴えてしまい、腫れぼったくて開ききってなかった目もぱっちり開いてしまった。
(っ・・・え、わ)
そして彼に呼ばれた自分の名前さえ聞こえていなかった私に痺れを切らしたのか、手首を掴んできたリクールは切羽詰まった様子で今度はすがるように言ってきた。
「・・・お願いですから・・・動かないでください」
もしかして一晩中ここで寝てたの?
「暗いので急に動くと危ないですから」
(あれ・・・一晩中?)
部屋が薄暗いからてっきり真夜中だと思ったけど、実際今何時なのだろうか。羽ペンで書こうとしても暗いからリクールには伝わらない。それに動くなと、2回目の釘をさされてしまった。
(ど、どうすればいいんだろ)
髪なんてボサボサだ。
きっと顔も酷くブサイクな気がする。
でもリクールが自身の目元を片手で覆ってるのが微かに分かる程度の薄暗さだから、多分私の顔ははっきりとは見えてないはずだ。
今の状況がなんとなく分かって頭がクリアになってくると、昨日手紙を読んだ後の自分の行動をだんだんと思い出してしまった私は、泣き喚いたという失態を犯した恥ずかしさで冷や汗が出てきていた。
コンコン
「ひゃっ!!!」
そしてリクールが何も喋らなくなって、シーンと静まり返った暗がりの部屋のなか、突然ドアのノック音が聞こえてきたことに心臓が飛び出るほどびっくりした私は思わず口を手で覆った。
…いや、覆ったと思った。
(あれ?・・・今声が)
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