15 / 90
15.第一王子の提案
「アリーという名前の伯爵令息は、学院には在籍していない」
クリスティアンはお茶を一口飲んでから、そう言った。
定期的に開かれるようになったウォルトン公爵家でのお茶会に招かれているのは、アラステアとアルフレッド、クリスティアンだ。ホストであるローランドと四人でテーブルを囲んでいる。
伯爵令息だけでなく、アリーという名の生徒はいないし、アリーという愛称で呼ぶことのできる名前を持つ生徒は子爵家や平民出身の生徒であるとクリスティアンは話した。
「そうですか。では、アルフレッド殿下のおっしゃるように噂の出所がエリオットであるのか、クリスティアン殿下のおっしゃる『強制力』なのかはわかりませんが、他の方に迷惑はかからないのですね」
「うん、そうなるね」
クリスティアンの同意を得ることができて、アラステアはほっと胸を撫で下ろす。
「アラステアはお人よしだね。自分が冤罪をかけられていて、それで『断罪』されるかもしれないのに」
「その、『断罪』というのはどういうことになるのですか? 警察騎士団につかまって裁判にかけられるのでしょうか」
ローランドは、アラステアの善人過ぎる考えに少しばかり呆れていた。ただし、そこが可愛らしいとも思うので、悩ましいところではある。
ところで、アラステアには冤罪をかけられて『断罪』されるということがよくわからない。そもそも『断罪』というのがわからないのだ。
クリスティアンの夢の話からの情報は、機会を見つけては追加してその内容を聞かされる。しかし、その話については、詳しく確認していく必要があるのだ。
一度にすべてのことを聞いても何のことやらわからなかったであろうから、配慮されているのだろうとアラステアは思っているけれども。
「そうだね、軽いものは国外追放で、あとは、地下牢に閉じ込められて……暴行されたり、強制労働のようなことをさせられたりといったようなものかな」
「ええ? 持ち物を隠したり、壊したり、池へ突き落したりといった幼稚な虐めで、そのように厳しい刑を下されるのですか?」
「うん。まあ、物語を面白くするためにそうなっていたのだろうね。それに、正式な裁判にかけられるわけではなくて、パーティー会場でアルフレッド兄上かレイフ兄上が、王族権限によって罪を断ずるというのが物語の流れになっている」
「そのようなことが……」
物語の中では地下牢で輪姦されたり、強制労働という名の娼館行きだったりするのだが、アラステアには刺激が強すぎると思ったクリスティアンは、詳しく話しはしなかった。
そして、アラステアもクリスティアンが話に含みを持たせていることに気づいてはいるが、今は明らかにしない方が良いのだと思っている。
そして、断罪内容については、疑問符がつく。王族権限で実際にそのような断罪ができる可能性は低いのであるが、重い冤罪をでっち上げて緊急性があると判断したと言えば、地下牢への軟禁はできるかもしれない。しかし、現在のオネスト王国で、国外追放や強制労働といった刑を科すのは、裁判にかけなければ難しいことだろう。
「まあ、物語の世界のことだから、悪者が厳しく断罪されるのが娯楽だったのだろうね」
「クリスティアンの夢の話は、現実的な脅威につながる部分と荒唐無稽な部分が入り混じっているからな。現実と合致している部分がある以上、その脅威には備えねばならぬだろう」
断罪する側のアルフレッドが、ローランドの指を撫でながらクリスティアンの話を受ける。アルフレッドを見ている限り、ローランドを断罪などしないであろうしさせないであろうとアラステアは考える。むしろ、レイフがそのような暴挙に出たら、ローランドを助けるために何をするかわからない人物であるようにしか見えない。
そして、クリスティアンは物語を変えたがっているし、アルフレッドもそれに賛同して動いているのだから、『断罪』もその通りにはならないはずだ。
だが、ローランドは守られてもアラステアは守られないかもしれない。
アラステアはそのようなことを考えながら、薔薇の香りのするお茶を口にした。
カフェテリアで主人公に言いがかりをつけられたのも、学院内で主人公に卑劣な攻撃をしていると噂されているのもアラステアだ。
ローランドも悪役令息だけれど、主人公絡みのいざこざには今のところ巻き込まれてはいない。もちろん、アラステアはローランドと一緒にいることでかなり庇われているとは思う。だけど、アルフレッドの婚約者である公爵令息と、侯爵嫡子になったばかりの田舎者とでは周囲の目も違うだろう。
主人公を害しているのは、「アリーという伯爵令息」と現在は言われているが、それがアラステアのことだとはっきり名指しされるようになれば、どうなるのかわからない。
「……ステア、アラステア? 聞いている?」
「ああローランド、ごめんなさい……」
「気にしないでいいよ。変な噂を流されて、断罪の話など聞いたら考え込んでしまうよね。可哀想なアラステア。何とかならないのかな」
アラステアは、少しばかり呆けていたようだ。ローランドに名前を呼ばれていたのに、気づかなかった。お茶会の席でとても失礼なことをしたのであるが、ローランドは笑って許してくれる。それどころか、アラステアの心の負担を考えてくれるのだ。もちろん、王子二人もまったく怒った様子はなく、むしろ心配してくれているぐらいだ。
それなのに、自分のことばかりを考えてしまった。この三人が親密にしてくれているから助けられていることがたくさんあるのに。アラステアはそう思いなおして、反省をした。
「それでね、アルフレッド様が良いことを考えたとおっしゃるの。お伺いしましょう」
「うむ。物語の中のアリーは、エリオット・ステイシーに執着して婚約者として振舞うことで悪役令息となるのだろう? だから、さっさと別の婚約者を作ってしまえば良いと思わないか?」
「兄上? それは……」
「ああ、そういうことですね」
「其方らは、思いついたことを口に出すのではないぞ」
アラステアは、アルフレッドの急な提案に声も出ないが、クリスティアンとローランドは、何か思うところがあるらしい。クリスティアンは表情を隠しているが、ローランドは笑顔になっている。
「そうだ、適任者がいる。それに、物語を変えるためだけでなく、我の考えではそのまま伴侶になってしまっても良いと思うぐらいであるよ」
「あの、アルフレッド殿下が紹介してくださるのですか?」
「紹介……、そうだな、紹介ということにはならぬか。提案だな」
アルフレッドの言葉に戸惑いながらもアラステアはようやく言葉を返した。そんなアラステアを見たアルフレッドはその赤い瞳を煌めかせながら、端正な顔に悪そうな微笑を浮かべて言葉を続けた
「アラステアは、クリスティアンと婚約すれば良いと我は思うのだが、どうだ?」
クリスティアンはお茶を一口飲んでから、そう言った。
定期的に開かれるようになったウォルトン公爵家でのお茶会に招かれているのは、アラステアとアルフレッド、クリスティアンだ。ホストであるローランドと四人でテーブルを囲んでいる。
伯爵令息だけでなく、アリーという名の生徒はいないし、アリーという愛称で呼ぶことのできる名前を持つ生徒は子爵家や平民出身の生徒であるとクリスティアンは話した。
「そうですか。では、アルフレッド殿下のおっしゃるように噂の出所がエリオットであるのか、クリスティアン殿下のおっしゃる『強制力』なのかはわかりませんが、他の方に迷惑はかからないのですね」
「うん、そうなるね」
クリスティアンの同意を得ることができて、アラステアはほっと胸を撫で下ろす。
「アラステアはお人よしだね。自分が冤罪をかけられていて、それで『断罪』されるかもしれないのに」
「その、『断罪』というのはどういうことになるのですか? 警察騎士団につかまって裁判にかけられるのでしょうか」
ローランドは、アラステアの善人過ぎる考えに少しばかり呆れていた。ただし、そこが可愛らしいとも思うので、悩ましいところではある。
ところで、アラステアには冤罪をかけられて『断罪』されるということがよくわからない。そもそも『断罪』というのがわからないのだ。
クリスティアンの夢の話からの情報は、機会を見つけては追加してその内容を聞かされる。しかし、その話については、詳しく確認していく必要があるのだ。
一度にすべてのことを聞いても何のことやらわからなかったであろうから、配慮されているのだろうとアラステアは思っているけれども。
「そうだね、軽いものは国外追放で、あとは、地下牢に閉じ込められて……暴行されたり、強制労働のようなことをさせられたりといったようなものかな」
「ええ? 持ち物を隠したり、壊したり、池へ突き落したりといった幼稚な虐めで、そのように厳しい刑を下されるのですか?」
「うん。まあ、物語を面白くするためにそうなっていたのだろうね。それに、正式な裁判にかけられるわけではなくて、パーティー会場でアルフレッド兄上かレイフ兄上が、王族権限によって罪を断ずるというのが物語の流れになっている」
「そのようなことが……」
物語の中では地下牢で輪姦されたり、強制労働という名の娼館行きだったりするのだが、アラステアには刺激が強すぎると思ったクリスティアンは、詳しく話しはしなかった。
そして、アラステアもクリスティアンが話に含みを持たせていることに気づいてはいるが、今は明らかにしない方が良いのだと思っている。
そして、断罪内容については、疑問符がつく。王族権限で実際にそのような断罪ができる可能性は低いのであるが、重い冤罪をでっち上げて緊急性があると判断したと言えば、地下牢への軟禁はできるかもしれない。しかし、現在のオネスト王国で、国外追放や強制労働といった刑を科すのは、裁判にかけなければ難しいことだろう。
「まあ、物語の世界のことだから、悪者が厳しく断罪されるのが娯楽だったのだろうね」
「クリスティアンの夢の話は、現実的な脅威につながる部分と荒唐無稽な部分が入り混じっているからな。現実と合致している部分がある以上、その脅威には備えねばならぬだろう」
断罪する側のアルフレッドが、ローランドの指を撫でながらクリスティアンの話を受ける。アルフレッドを見ている限り、ローランドを断罪などしないであろうしさせないであろうとアラステアは考える。むしろ、レイフがそのような暴挙に出たら、ローランドを助けるために何をするかわからない人物であるようにしか見えない。
そして、クリスティアンは物語を変えたがっているし、アルフレッドもそれに賛同して動いているのだから、『断罪』もその通りにはならないはずだ。
だが、ローランドは守られてもアラステアは守られないかもしれない。
アラステアはそのようなことを考えながら、薔薇の香りのするお茶を口にした。
カフェテリアで主人公に言いがかりをつけられたのも、学院内で主人公に卑劣な攻撃をしていると噂されているのもアラステアだ。
ローランドも悪役令息だけれど、主人公絡みのいざこざには今のところ巻き込まれてはいない。もちろん、アラステアはローランドと一緒にいることでかなり庇われているとは思う。だけど、アルフレッドの婚約者である公爵令息と、侯爵嫡子になったばかりの田舎者とでは周囲の目も違うだろう。
主人公を害しているのは、「アリーという伯爵令息」と現在は言われているが、それがアラステアのことだとはっきり名指しされるようになれば、どうなるのかわからない。
「……ステア、アラステア? 聞いている?」
「ああローランド、ごめんなさい……」
「気にしないでいいよ。変な噂を流されて、断罪の話など聞いたら考え込んでしまうよね。可哀想なアラステア。何とかならないのかな」
アラステアは、少しばかり呆けていたようだ。ローランドに名前を呼ばれていたのに、気づかなかった。お茶会の席でとても失礼なことをしたのであるが、ローランドは笑って許してくれる。それどころか、アラステアの心の負担を考えてくれるのだ。もちろん、王子二人もまったく怒った様子はなく、むしろ心配してくれているぐらいだ。
それなのに、自分のことばかりを考えてしまった。この三人が親密にしてくれているから助けられていることがたくさんあるのに。アラステアはそう思いなおして、反省をした。
「それでね、アルフレッド様が良いことを考えたとおっしゃるの。お伺いしましょう」
「うむ。物語の中のアリーは、エリオット・ステイシーに執着して婚約者として振舞うことで悪役令息となるのだろう? だから、さっさと別の婚約者を作ってしまえば良いと思わないか?」
「兄上? それは……」
「ああ、そういうことですね」
「其方らは、思いついたことを口に出すのではないぞ」
アラステアは、アルフレッドの急な提案に声も出ないが、クリスティアンとローランドは、何か思うところがあるらしい。クリスティアンは表情を隠しているが、ローランドは笑顔になっている。
「そうだ、適任者がいる。それに、物語を変えるためだけでなく、我の考えではそのまま伴侶になってしまっても良いと思うぐらいであるよ」
「あの、アルフレッド殿下が紹介してくださるのですか?」
「紹介……、そうだな、紹介ということにはならぬか。提案だな」
アルフレッドの言葉に戸惑いながらもアラステアはようやく言葉を返した。そんなアラステアを見たアルフレッドはその赤い瞳を煌めかせながら、端正な顔に悪そうな微笑を浮かべて言葉を続けた
「アラステアは、クリスティアンと婚約すれば良いと我は思うのだが、どうだ?」
あなたにおすすめの小説
繋ぎの婚約を契約通り解消しようとしたら、王宮に溺愛軟禁されました
こたま
BL
エレンは子爵家のオメガ令息として産まれた。年上のアルファの王子殿下と年齢が釣り合うオメガ令息が少なく、他国との縁組も纏まらないため家格は低いが繋ぎとして一応婚約をしている。王子のことは兄のように慕っており、初恋の人ではあるけれど、契約終了時期か王子に想い人が現れた時には解消されるものと考えていた。ところが婚約解消時期の直前に王子宮に軟禁された。結婚を承諾するまでここから出さないと王子から溢れるほどの愛を与えられる。ハッピーエンドオメガバースBLです。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
兄の代わりに嫁いだら、結婚相手ではなく兄の婚約者だった公爵閣下に執着されました
なつめ
BL
名門伯爵家の次男である青年は、家の都合で本来嫁ぐはずだった兄の代わりに、遠方の名家へ“花婿”として送り込まれる。
屈辱的な身代わり婚のはずだった。冷遇され、義務だけ果たして静かに消える未来を覚悟していた。
けれど、彼を待っていたのは結婚相手その人ではなかった。
その男の隣には、かつて兄の婚約者だったという、美しく冷酷な公爵がいた。
弟をひと目見た瞬間、その公爵は気づいてしまう。
これは本来欲しかった相手ではない。なのに、目が離せない。
兄の代わりとして連れてこられたはずの弟へ、じわじわと執着を深めていく。
これは、祝福されるはずのない婚姻から始まる、
ねじれた執着と独占欲のBL。
悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!
水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。
それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。
家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。
そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。
ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。
誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。
「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。
これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。
長年仮番として務めてきましたが、王子は正式な番を娶るそうです
けふ
BL
王都を守る巨大結界は、王族の魔力によって維持されている。
第二王子アデルの傍らには、常に一人の騎士がいた。
近衛騎士レオン。
彼は長年、王子の「仮番」として特別な任務を担っている。
しかし王子は、他国の王女との正式な番契約が決まってしまった。
仮番の役目は、そこで終わるはずだった。
だが結界塔で行われる儀式の中で、
二人の関係は次第に変わり始める。
王族と騎士。
主と臣下。
越えてはならない境界を前にしても、
王子は騎士の手を取る。
「共に立て」
※オメガバースではありません
※ふんわり読んでください
※なんでも許せる方向け
※イラストはChatGPTさん
悪役令息(Ω)に転生した俺、破滅回避のためΩ隠してαを装ってたら、冷徹α第一王子に婚約者にされて溺愛されてます!?
水凪しおん
BL
前世の記憶を持つ俺、リオネルは、BL小説の悪役令息に転生していた。
断罪される運命を回避するため、本来希少なΩである性を隠し、出来損ないのαとして目立たず生きてきた。
しかし、突然、原作のヒーローである冷徹な第一王子アシュレイの婚約者にされてしまう。
これは破滅フラグに違いないと絶望する俺だが、アシュレイの態度は原作とどこか違っていて……?
悪役令嬢のモブ兄に転生したら、攻略対象から溺愛されてしまいました
藍沢真啓/庚あき
BL
俺──ルシアン・イベリスは学園の卒業パーティで起こった、妹ルシアが我が国の王子で婚約者で友人でもあるジュリアンから断罪される光景を見て思い出す。
(あ、これ乙女ゲームの悪役令嬢断罪シーンだ)と。
ちなみに、普通だったら攻略対象の立ち位置にあるべき筈なのに、予算の関係かモブ兄の俺。
しかし、うちの可愛い妹は、ゲームとは別の展開をして、会場から立ち去るのを追いかけようとしたら、攻略対象の一人で親友のリュカ・チューベローズに引き止められ、そして……。
気づけば、親友にでろっでろに溺愛されてしまったモブ兄の運命は──
異世界転生ラブラブコメディです。
ご都合主義な展開が多いので、苦手な方はお気を付けください。
悪役令息ですが破滅回避で主人公を無視したら、高潔な態度だと勘違いされて聖人認定。なぜか溺愛ルートに入りました
水凪しおん
BL
BL小説『銀の瞳の聖者』の悪役令息ルシアンに転生してしまった俺。
原作通りなら、主人公ノエルをいじめ抜き、最後は断罪されて野垂れ死ぬ運命だ。
「そんなの絶対にお断りだ! 俺は平和に長生きしたい!」
破滅フラグを回避するため、俺は決意した。
主人公ノエルを徹底的に避け、関わらず、空気のように生きることを。
しかし、俺の「無視」や「無関心」は、なぜかノエルにポジティブに変換されていく。
「他の人のように欲望の目で見ないなんて、なんて高潔な方なんだ……!」
いじめっ子を視線だけで追い払えば「影から守ってくれた」、雨の日に「臭いから近寄るな」と上着を投げつければ「不器用な優しさ」!?
全力で嫌われようとすればするほど、主人公からの好感度が爆上がりして、聖人認定されてしまう勘違いラブコメディ!
小心者の悪役令息×健気なポジティブ主人公の、すれ違い溺愛ファンタジー、ここに開幕!