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Spring
出会い
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「それで今日はみんなに紹介したい人がいるんだよね」
言い終えた律人が夏久に視線を送る。
夏久は「なに」とガンを飛ばし、優に連行される。
「んだよ、俺は関係ないだろ」
「いいからぁ」
強引に画面の前へと連れてこられ、夏久の不機嫌そうな顔が配信されてしまう。
「今日から紅会の一員になった夏久くんでーす! 皆、なっちゃんって呼んでね♪」
「おい優、勝手に決めんな」
「あははっ、なっちゃんってジュースみたい」
「誰がジュースだ」
夏久のぶっきらぼうな対応に律人は少し焦りを感じたが、思いのほかコメント欄は良い方で盛り上がっていた。
『え、イケメンすぎる』
『モデルさんですか?!』
『紅会ってイケメンしかいないの……? そこに入りたい……』
『ぶっきらぼうなの可愛い』
驚きだったのは、夏久を肯定するコメントがほとんどを占めていたことだった。
「夏くんはちょーっと人見知りが激しいのでこんなだけど、実はバンドのボーカルもやってる凄腕なんだよぉ」
「そうそう、俺も3年同級生やってるのにまだ見たことなくて。結構気になってるんだよねえ」
「お前ら……俺の話で勝手に盛り上がるなよ。つーか俺は浜崎の存在を知ってたのにお前は俺を知らないとかナメてんな」
「えっ! それはごめんってー! いつもイベントの時も打ち合わせと準備で他のサークルの出し物はほとんど見れてないんだよね。姿は見たことあったけど」
なぜだか心がざわつく。
それも嫌なことがあったときのように。
どうしてなのかは分からない。
だが、律人の気分は最悪だった。
「___はい、それじゃあ配信恒例りっくんの弾き語りコーナー!」
「は? 弾き語り?」
突然丸イスに腰かけた律人に、響がアコースティックギターを渡す。
ギターも弾けるのかと内心驚いた夏久。
しんと部屋が静まったとき、心地いい音色が耳を癒し始めた。
頬をなでる風 懐かしい匂い
汗ばんだ手を離さずに 大事に守ってくれた
優しい笑顔はどこにもない
アスファルトを濡らしても 掴めない
だけど聴こえる
あなたの笑い声が いつもそばにある
Memories
柔らかく透き通る水のような歌声が部屋に響いた。
コメント欄には感動の意思表示が並んでいる。
「ひゅ~! りっくんのミニオリジナルソング"Memories"でした!」
「みんな最後まで聴いてくれた~?」
「あっはは! "聴きました、律人様"だって。相変わらず様付けの子多いなぁ」
「……」
「夏どうだった? りっくんの歌!」
「……いいんじゃね」
「ぶはっ、すっご地味!」
響の笑い声で視聴者が『ひびくんの笑い方ww』とコメントする。
それを目で追い、律人は視聴者へ笑顔を向けた。
「この歌、俺が高校生最後の年にパソコンで作ったって、きっと知ってる子もいるよね。みんな挫折することももう嫌だってなることもたくさんあると思う」
律人が語ると、視聴者が『うんうん』と頷きを表す。
「でも大切な人がいるともう少し頑張ろうって、もう少しだけ踏ん張ってみようって思える。だからこの歌は俺の希望なんだ。みんなにとって、俺がそうなれるようにこれからも頑張るからね」
「……」
綺麗事だと思った。
自分にはない、愛情を語ることが。
「きゃぁー、りっくーんっ」
「コラ、やめろよ響っ。くっついたら熱いって!」
「あははっ、ほんと仲良しだもんね~リツヒビは」
緩やかに進んでいく時間、人の温もり。
それを、どうして知れないのだろう。
言い終えた律人が夏久に視線を送る。
夏久は「なに」とガンを飛ばし、優に連行される。
「んだよ、俺は関係ないだろ」
「いいからぁ」
強引に画面の前へと連れてこられ、夏久の不機嫌そうな顔が配信されてしまう。
「今日から紅会の一員になった夏久くんでーす! 皆、なっちゃんって呼んでね♪」
「おい優、勝手に決めんな」
「あははっ、なっちゃんってジュースみたい」
「誰がジュースだ」
夏久のぶっきらぼうな対応に律人は少し焦りを感じたが、思いのほかコメント欄は良い方で盛り上がっていた。
『え、イケメンすぎる』
『モデルさんですか?!』
『紅会ってイケメンしかいないの……? そこに入りたい……』
『ぶっきらぼうなの可愛い』
驚きだったのは、夏久を肯定するコメントがほとんどを占めていたことだった。
「夏くんはちょーっと人見知りが激しいのでこんなだけど、実はバンドのボーカルもやってる凄腕なんだよぉ」
「そうそう、俺も3年同級生やってるのにまだ見たことなくて。結構気になってるんだよねえ」
「お前ら……俺の話で勝手に盛り上がるなよ。つーか俺は浜崎の存在を知ってたのにお前は俺を知らないとかナメてんな」
「えっ! それはごめんってー! いつもイベントの時も打ち合わせと準備で他のサークルの出し物はほとんど見れてないんだよね。姿は見たことあったけど」
なぜだか心がざわつく。
それも嫌なことがあったときのように。
どうしてなのかは分からない。
だが、律人の気分は最悪だった。
「___はい、それじゃあ配信恒例りっくんの弾き語りコーナー!」
「は? 弾き語り?」
突然丸イスに腰かけた律人に、響がアコースティックギターを渡す。
ギターも弾けるのかと内心驚いた夏久。
しんと部屋が静まったとき、心地いい音色が耳を癒し始めた。
頬をなでる風 懐かしい匂い
汗ばんだ手を離さずに 大事に守ってくれた
優しい笑顔はどこにもない
アスファルトを濡らしても 掴めない
だけど聴こえる
あなたの笑い声が いつもそばにある
Memories
柔らかく透き通る水のような歌声が部屋に響いた。
コメント欄には感動の意思表示が並んでいる。
「ひゅ~! りっくんのミニオリジナルソング"Memories"でした!」
「みんな最後まで聴いてくれた~?」
「あっはは! "聴きました、律人様"だって。相変わらず様付けの子多いなぁ」
「……」
「夏どうだった? りっくんの歌!」
「……いいんじゃね」
「ぶはっ、すっご地味!」
響の笑い声で視聴者が『ひびくんの笑い方ww』とコメントする。
それを目で追い、律人は視聴者へ笑顔を向けた。
「この歌、俺が高校生最後の年にパソコンで作ったって、きっと知ってる子もいるよね。みんな挫折することももう嫌だってなることもたくさんあると思う」
律人が語ると、視聴者が『うんうん』と頷きを表す。
「でも大切な人がいるともう少し頑張ろうって、もう少しだけ踏ん張ってみようって思える。だからこの歌は俺の希望なんだ。みんなにとって、俺がそうなれるようにこれからも頑張るからね」
「……」
綺麗事だと思った。
自分にはない、愛情を語ることが。
「きゃぁー、りっくーんっ」
「コラ、やめろよ響っ。くっついたら熱いって!」
「あははっ、ほんと仲良しだもんね~リツヒビは」
緩やかに進んでいく時間、人の温もり。
それを、どうして知れないのだろう。
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