女社長よ さようなら ~ 柳林善次郎の事件簿~

ナッツ高美

文字の大きさ
7 / 21

第7話 慰め合う二人

しおりを挟む
マスターがカクテルをシェイクする小気味いい音が、店内に広がる





ここ bar CASCADE(かすけーど)は、jazzyな音楽が 気に触らない程の音量で流れていて、部屋のあかりは、程よく薄暗く、水のカーテンのパテーションで、水目桜の一枚板のウッディーなカウンター席と オフホワイト色のソファー席が区切られている。所々に置いてあるランプシェードのフロアライトは、裾にはフリンジがついていて、アンティークな雰囲気を作り出している。ライトの明るさは 柔らかく癒してくれる。



上から下へ流れる水が、照明によってキラキラと雫が光り、1人でふらっと来て、ただポーっとそれを見てるだけでも、癒される、気を使わなくて良いそんな店内だ。



イケメンでファンキーなそれでいて少しミステリアスな口数の少ないマスターが、作るお酒は美味しく、さらに、そこから見える夜景は、この界隈では、一番の美しい夜景だと、ホテル宿泊者はもちろんのこと、BARだけを目的に来るお客もいて、人気店だ。




ソルティドック  グラスの周りに塩を縁どり、グレープフルーツジュースとウォッカのカクテルだ




ロックグラスに注ぎ、マスターが理恵子の前に提供する






「お待たせ致しました」



恵理子は明るめの髪にセミロングのウェーブのかかった髪型に、華奢なゴールドのフレームの眼鏡をかけている。



眼鏡を外して、リラックスする。
ソルティドックを一口飲む。



ホッとして、ぽーーっと一点を見つめている。





社長が亡くなって2週間が経つ。
突然の死に、社内は大騒ぎになり、ニュースでも取りだたされた。
運営をしていく次期社長を早く決めなくては、連日、株主総会が行われていた。
そんな中、江川恵理子は次期社長の有力な候補者となった。





女1人でカウンターに座っていても、さまになる。 江川恵理子は大人な、一匹狼みたいな、私の事が嫌いな人は近づかなければ良いという、潔良い、媚びないクールさがあった。





1人の男が遅れてやってきた
恵理子の隣の席に座る




マスターがおしぼりを出す
「こんばんは、柴山様」




「マスター いつもの お願いします」




「はい」




グレンフィディックソーダ割りが出てきた





「あら?今日はすこし遅かったですね」





「ごめんごめん 怒ってる?」



「怒ってないですよ。女をバーのカウンターで待たせるなんて。なかなか出来ないと思いますけど。 他の男に声かけられたら、今日は柴山さんじゃなくて、その人とお酒を飲もうと決めていました 笑」




「いや、社長が亡くなってから、経理部も てんやわんやでな、 山本社長だったから今までの契約でも通っていたんだけど、次の契約期間の内容は改正して欲しいと、業者が言ってくるから、その対応で遅くなったんだ..」




「そうなんですね
おつかれさまです..




山本社長、本当に亡くなっちゃったのが.
まだ信じられなくて..
『恵理子ちゃん、明日までにやっておいてよー、お願いね』ってあのパワフルな明るい笑顔で社長が、私に言ってきそうで、まだそんな声がしてきそうで、、」





恵理子が悲しそうな顔をする




「俺もだよ。
ついこの間まで元気だったのにな。
純子とは長い付き合いで、辛い時も嬉しい時も一緒に仕事をしてきた、、俺もまだ信じられん。。
なかなか俺もすぐには元気になれなさそうだ。
犯人はまだ見つかっていない。。
社内にいるかもしれないよな。。」





「そうですね、怖いわ。。




...柴山さん、、今夜は私の事なぐさめてくれます?  わたし なんだか さみしくて、頭がおかしくなっちゃうくらい  いっぱい愛してほしいの。」




「あぁ。一緒にいよう。
部屋を用意してる」



「明日私朝早いんです。朝から、社長が発案した、ほらあのフルーツシリーズの案件の会議があるんです。あれ、私が引き継ぐことになったんです。」



「あー、あのメロンなんだっけ?」



「メロンシャーベット色のワンピース です。第一弾。」



「そうそう、それな。


それじゃ、時間があまりないな。早く部屋へ行こう。」




柴山がグレンフィディックが3分の1くらい残っているが、席を立つ



「やだ、、そんな焦らなくても、、 笑
柴山さんっておかしな人ですね」

 

柴山は恵理子の手を握って引いて
エレベーターに向かう。

嬉しそうにうつむきながら、
柴山の少し後ろを歩く恵理子。

二人は人目につかないよう
さっと、エレベーターへ乗り込んだ。



2人はバーを後にした。





その数日後、
江川恵理子は何者かによって殺された。








つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

石榴(ざくろ)の月~愛され求められ奪われて~

めぐみ
歴史・時代
お民は江戸は町外れ徳平店(とくべいだな)に夫源治と二人暮らし。  源治はお民より年下で、お民は再婚である。前の亭主との間には一人息子がいたが、川に落ちて夭折してしまった。その後、どれだけ望んでも、子どもは授からなかった。  長屋暮らしは慎ましいものだが、お民は夫に愛されて、女としても満ち足りた日々を過ごしている。  そんなある日、徳平店が近々、取り壊されるという話が持ちあがる。徳平店の土地をもっているのは大身旗本の石澤嘉門(いしざわかもん)だ。その嘉門、実はお民をふとしたことから見初め、お民を期間限定の側室として差し出すなら、長屋取り壊しの話も考え直しても良いという。  明らかにお民を手に入れんがための策略、しかし、お民は長屋に住む皆のことを考えて、殿様の取引に応じるのだった。 〝行くな!〟と懸命に止める夫に哀しく微笑み、〝約束の1年が過ぎたから、きっとお前さんの元に帰ってくるよ〟と残して―。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

橘若頭と怖がり姫

真木
恋愛
八歳の希乃は、母を救うために極道・橘家の門を叩き、「大人になったら自分のすべてを差し出す」と約束する。 その言葉を受け取った橘家の若頭・司は、希乃を保護し、慈しみ、外界から遠ざけて育ててきた。 高校生になった希乃は、虚弱体質で寝込んでばかり。思いつめて、今まで養ってもらったお金を返そうと夜の街に向かうが、そこに司が現れて……。

別れし夫婦の御定書(おさだめがき)

佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★ 嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。 離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。 月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。 おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。 されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて—— ※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。

想い出は珈琲の薫りとともに

玻璃美月
ライト文芸
――珈琲が織りなす、家族の物語  バリスタとして働く桝田亜夜[ますだあや・25歳]は、短期留学していたローマのバルで、途方に暮れている二人の日本人男性に出会った。  ほんの少し手助けするつもりが、彼らから思いがけない頼み事をされる。それは、上司の婚約者になること。   亜夜は断りきれず、その上司だという穂積薫[ほづみかおる・33歳]に引き合わされると、数日間だけ薫の婚約者のふりをすることになった。それが終わりを迎えたとき、二人の間には情熱の火が灯っていた。   旅先の思い出として終わるはずだった関係は、二人を思いも寄らぬ運命の渦に巻き込んでいた。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

偽夫婦お家騒動始末記

紫紺
歴史・時代
【第10回歴史時代大賞、奨励賞受賞しました!】 故郷を捨て、江戸で寺子屋の先生を生業として暮らす篠宮隼(しのみやはやて)は、ある夜、茶屋から足抜けしてきた陰間と出会う。 紫音(しおん)という若い男との奇妙な共同生活が始まるのだが。 隼には胸に秘めた決意があり、紫音との生活はそれを遂げるための策の一つだ。だが、紫音の方にも実は裏があって……。 江戸を舞台に様々な陰謀が駆け巡る。敢えて裏街道を走る隼に、念願を叶える日はくるのだろうか。 そして、拾った陰間、紫音の正体は。 活劇と謎解き、そして恋心の長編エンタメ時代小説です。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...