ゲームの悪役令息の(死ぬ予定の)弟に転生したけど俺は必死に生き残ります!

チョコレートを食べたい

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ようこそこの世界へ

7.王宮ふぁっしょんしょー

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「はぁ~やっぱり可愛い!うちは金髪以外いないから着飾るのは楽しいねぇ」
「傍から見ると天使とせいれ……あ、いえ。なんでも」


 あの後、馬車の中で俺がクロー様からグィーさんに手渡され、忠告通り沢山眠り次に目を開けると、俺は着せ替え人形になっていた。
 クロー様はそんな俺を自慢するかのように自分の姿を鏡に映して見事なドヤ顔を披露してきた。

 そういやこちらの世界に生まれて初めて自分の姿を見た。
 前世の赤ん坊の頃の記憶なんて覚えているわけが無いし、鏡を見たら自分が赤ちゃんでしたなんて体験滅多にできることじゃないから堪能しておこう。

 俺のこの髪の毛なんていうんだろうか……えぇ、前世オリキャラを作る時に色見本を見たんだが……たしか、そう、深縹色こきはなだいろだ。瞳は見事なアリスブルー。

 なんというか、一言で端的に言うなら精霊姫に居そうな容姿だな。まあ男なわけだが。

 それにしても綺麗な顔だな。そういえばネットに載ってた外国の赤ちゃんって堀が深くて可愛かったっけ。


「へえ、イーヒャの前の世界ではコキハナダいろ?って言うんだ。僕から見たら綺麗なネイビーだけど」


 クロー様も綺麗な金色こんじきの髪にスカイブルーの瞳だけど、と見てみると、そこには天使がいた。

 き……きれー…………


「ふふ、ありがとう。褒めてくれて嬉しいよ~」


 ふわふわ手触りの良さそうな髪の毛を揺らしながら、その場でくるりと一周りした。

 俺の髪のようなネイビーブルーの小さな宝石が沢山着いたヘッドティカに、真っ白な袖のフリルがチャーミングな紺色のブラウスを着て、その下にふわりと広がるまろい月色のスカートがパニエによって美しい程度に広がっていた。

 その格好は俺と対照的で、俺もまるで兄弟コーデですかと言わんばかりにスカイブルーの宝石と白色のドレスを身につけられていた。


「うーん、兄弟って言ってもおかしくないのかな。実際に君がブリオングロードの子なら僕と君は従兄弟になるわけだし」


 従兄弟?

 思わずきょとりと首を傾げる。
 後ろから誰かが吐血したような音を出したがとりあえずはスルーだ。

 ゲームでブリオングロード家と王家の関係なんて言及されてなかったが。


「実はね、僕のお母様が君のお父上の妹君でね?だから血は絶対に繋がってるってわけ~」
「ふぅあ~~~!」


 そんな情報初耳だ!
 すごいすごい、ゲームでも教えて貰えなかったことを直で教えて貰っているぞ!
 わあ、こんなのご褒美というか俺本当に教えてもらえてよかったのか!?

 そういえばお母様がブリオングロード家の出身なら、何故クロー様は精霊が視れないんだ?


「いい質問だねぇ。あのね、ブリオングロード家の女の子は、その子自身は精霊と会話できるんだけど、何故か女の子が産む子はその力を全く受け継がないんだ~。」


 ほうほう、なるほどなるほど?
 つまり女系は能力を継承させる力はないんだ。

 あれ?じゃあ何故ブリオングロード家の女の子が嫁ぐ場所が王家なんだ?
 侯爵家から王家に嫁げるなんて相当だと思うんだが。


「凄いね、基礎知識が身についてる!それも前世のおかげ?あのね、僕のお母様のジュラ母様は側室だったの。だから正室の人が御子を産めば王太子の件は大丈夫ってわけ。それが僕の兄様ね。つまり側室の子は別に重要じゃなくて、要は側室その人の方が重要なんだよ~」


 ええと~…要約すると子供を産むより、嫁いでくるその人の能力とかの方が大事だったんだよーってことか!

 実際の世界はやっぱり少し難しい。こりゃあもししっかり御貴族様になったら政治の勉強をしないとだな。

 はっ、さ、最初は文字の勉強からだ!俺英語苦手だったんだよなあ……大丈夫か……?
 それこそ異世界補正とかあればいいのに。

 そういえばクロー様は今いくつなのだろう?
 おちゃらけた時のイメージだとずっと幼いけれど、もしかしてラナイフマジンと同い年くらいか?


「僕は今5歳だよ、今年6歳になるの。ラーナは確か2つ上なんじゃなかったかな。」
「あぅぅ~!」
「あと僕がちょーっとだけ背伸びできてるのはグィーのおかげだよ。」
「うーぁ?」


 クロー様の目線を追うと、そこには口元をハンカチで覆ったグィーさんがいた。クロー様の苦笑いが聞こえたけど、いつもの事なのだろうか?

 俺とグィーさんのおめめとおめめがごっつんこすると、グィーさんはハンカチを内ポケットに直して完璧な笑顔と前方45度の腰を折る姿にぽけーっとする。

 グィーさんなんて人、ゲームで出てこなかったが(クロー様のセリフが少ないから出てきてなくて当たり前なんだけど)、攻略対象になってもおかしくないほど端麗なお顔をされている。


「挨拶させていただきます。クロー様専属の執事をさせて頂いておりますグィーシアシャ・アガスと申します。宜しければグィーと呼び捨てされてください。」
「うぃ、んんく、ぐぃー?」


 赤ん坊のしょも口でも言いやすい名前だ。これからたくさん呼ばせて頂こう。

 少し楽しくなって思わずぐぃーぐぃーと口遊びしていると、前からは鼻をすする音が、横からは嫉妬の視線を感じた。

 何!?なんだ、俺なんかしたか!?そしてグィーはなんで泣いてるんだ!?


「僕の名前は様付けなのに!それにまだ心の中でしか呼んでくれてないのに~!」
「一足先に頂きましたよ。」
「ずるいずるいずるい!グィーのばか!わぁーん!ねぇイーヒャ、僕の名前も呼んで?様はなしで!ね?」


 クロー様は知っているのだろうか、赤ちゃんが発音しにくいランキングを。
 クロー様なんて呼んだら誰を呼んでるのか分からなくなっちゃうだろう!

 それにな?クロー様は王族なのに、まだ立場も確立してない俺なんかが呼び捨てしていいわけが無いだろう!


「そんなのどうでもいいから!ね?お願い?」


 ズキューンっ!ってなったの、俺前世ぶり。久しぶりのこの感覚すごくしんどい。大変しんどい。もし今が赤ちゃんじゃなかったら逃げ出してた。

 だってだって!首を左に8度曲げておててを組んでおねがいポーズで、ちょっと涙の膜ができたきゅるっきゅるのおめめを向けられたら、誰だって心臓のひとつやふたつは吹っ飛ぶだろ!?


「へぅ、う、うよぉ~…」


 途端、クローの瞳が光を放つように瞬いた。


「僕の名前を呼んでくれたの?ねぇ、ほんと?」
「う、う」


 動く距離に制限があっても必死になってコクコクと頷くと、クローがたまらないといった感情丸出しそのままに抱きついてきた。

 手加減無しのハグにこもった声をあげてヘルプミーを出す。
 しばらくすると「さあ、次はこっちの服に着替えて!」と新しいふりっふりのお洋服を持ってきた。

 はは、確かに今日は遅くまで寝れなさそうだ。

 久しぶりに感じる楽しさに思わず頬が緩んで、幸福感に包まれる。
 もうしばらくここにいたいな、なんて願望を抱いてしまう。それほどクローとグィーと遊ぶのがたのしい。

 よおし、イーヒャくん一肌脱いでやろう!




 へっ?あ、ちょっとまって、脱がすの?ここで?全部?わ、わわ、わぁ~~~~っ!!
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