12 / 137
幕間三:なぜ髪を切ったら失恋扱いになるの?
しおりを挟む心桜「つっちゃー。あたしたち『ココナッツ』宛にお便りがきてるよ!」
七夏「わぁ☆ お便りですか? ありがとうございます!」
心桜「早速、読んでみよう!」
七夏「はいっ☆」
心桜「えーっと、『こんにちは。私、思い切って長い髪を切ったら「失恋したの?」って、言われたのですけど、これってどうしてなのでしょうか?』」
心桜「そう言われれば、その理由ってなんだろ?」
七夏「なんでしょう?」
心桜「つっちゃー、それじゃ話が進まないって! あたしは髪が短めだから、失恋しても髪を切る事は考えないかなー・・・坊主になっちゃうし。つっちゃーは、どう? 髪切る?」
七夏「実際に失恋してみないと分からな・・・あ、失恋はしたくないです!」
心桜「つまり、髪を切る事が無いに越した事は無いということ?」
七夏「切る理由によると思います。長い髪を切るというのは、それだけ大きな決断が必要だと思います」
心桜「大きな決断・・・そっか!」
七夏「? ここちゃー、何か分かったの?」
心桜「うん。つまり、大きな決断で自分のイメージを変える・・・という事は、すぐに思いついたんだけど、実際、失恋したからって、すぐに自分のイメージを変えたいと思う?」
七夏「それって、今までの自分を否定する事になりそうで、もっと悲しくなります」
心桜「うん。どうせなら、もっと楽しく自分を変えたいよねー」
七夏「はい☆」
心桜「つまり、失恋して髪を切るという事は、自分のイメージを変えるのではなく、元の自分のイメージに戻る・・・という事なのかなーって、思ってみたの」
七夏「元の自分のイメージ?・・・イメージって?」
心桜「・・・そこですか・・・ここでのイメージとは、容姿/印象!」
七夏「さ、さすがにその意味は分かりますっ!! 私が訊きたいのは、元のイメージに戻る事の意味です」
心桜「あ、ごめん。つい・・・」
七夏「私、英語頑張ります!!」
心桜「ガ、ガンバッテー」
七夏「その、期待していない空応援・・・ホントに頑張りますから!!」
心桜「つっちゃー、人間って得て不得手あるよ。あたしは苦手な事を克服して平均的な人間になるより、その時間を使って長所を伸ばし、より個性的な人間になった方が魅力的に思えていいなーと思ったりして」
七夏「ここちゃー、妙に説得力があって困ります」
心桜「まあ、私ならって事で。よって数学は頑張らないっ!」
七夏「ここちゃー、数学は私も協力しますから、一緒に頑張りま…」
心桜「わぁー大変!! つっちゃー話が脱線してる!!」
七夏「え? あ、元の自分に戻るお話でした・・・すみません」
心桜「微妙にズレてるけど、まあ、いっか」
七夏「それで?」
心桜「うん。あたし、好きな人が出来たみたい」
七夏「え!? えっーーー!!!」
心桜「あ、例えばの話」
七夏「はぅぁ、驚きました」
心桜「その反応、あたしに好きな人が出来る事って、そんなに考えられない?」
七夏「そ、そうじゃなくて、全然気付けなかったから」
心桜「まあ、例えばの話だからね。んで、あたしに好きな人が出来て、その相手の好きな人がつっちゃー…」
七夏「え!? えっーーー!!!」
心桜「つっちゃー、例えばの話だってばっ! あと、話は最後まで聞いてよ」
七夏「うぅ、すみません・・・」
心桜「その相手の好きな人が、つっちゃーみたいな髪の長い人だったとする」
七夏「・・・・・」
心桜「あたしは、好きになった人の好みになろうと、髪を伸ばす事を決意する!」
七夏「自分のイメージを変えるという事?」
心桜「そう! 恋は女の子のイメージを変えてしまう事も多いの。あたしは長い時間をかけて長い髪になった。好きになった人の為に」
七夏「長い髪のここちゃー素敵です☆」
心桜「単に髪を伸ばすって言うけど、短い髪の人からすると、とても大変。まず、髪が重たい、纏まらない、静電気で大変、寝返りで髪引っ張られて夜中に目が覚めたり・・・ってこれは、つっちゃーが言ってた事だよねー、あたしは分かんないや」
七夏「まあ、それなりに大変かな。静電気はリンスを使うと大丈夫です!」
心桜「なるほどねー・・・んで、それだけ苦労して髪を伸ばしたにも関わらず、失恋してしまった」
七夏「・・・・・」
心桜「この長い髪は、好きになった人の為に伸ばしたんだから、失恋してしまったら伸ばしておく意味が無い。好きになった人の為に変えた自分を、元の自分に戻そう! つまり、髪を切ってしまおう!!・・・という事」
七夏「なるほど☆」
心桜「これなら、前向きな考え方だから、少なくとも悲しい想いで髪を切る・・・という事にはならないよね!」
七夏「はいっ☆」
心桜「失恋で十分悲しいのに、更に髪まで悲しい想いで切る事は無いよ」
七夏「私、失恋したとしても、髪は大切にします!」
心桜「うんうん! つっちゃーは元々、長い髪のイメージだからね☆」
七夏「はい☆」
心桜「ん? という事は、逆の場合は、髪を伸ばすの大変だねー。時間かかるよー」
七夏「ですから、髪は大切にします!」
心桜「そうだったね。失恋してお坊さんになりましたーとか、目も当てられないよ」
七夏「それは、流石に・・・あっ、でも、お坊さんになって悟りを開いたりされるとか!?」
心桜「ついに冗談が通じなくなったか・・・」
七夏「わ、私、色々頑張ります!」
心桜「ガ、ガンバッテー」
七夏「だから、数学も頑張りましょうね☆ ここちゃー☆」
心桜「うっ!(成長してるっ!)、ガ、ガンバロ~! アタシィ~」
七夏「まあ、そんな訳で、失恋してしまった場合でも、元の自分のイメージを大切にしたいなーと思う私たち・・・・・(こ、ここちゃー)」
心桜「ハッ! コ、ココナッツでしたっ!」
七夏「でしたー☆・・・はぅぁー」
幕間三 完
------
幕間三をお読みくださり、ありがとうございました!
本編の方も、どうぞよろしくお願い申しあげます!
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
妻に不倫され間男にクビ宣告された俺、宝くじ10億円当たって防音タワマンでバ美肉VTuberデビューしたら人生爆逆転
小林一咲
ライト文芸
不倫妻に捨てられ、会社もクビ。
人生の底に落ちたアラフォー社畜・恩塚聖士は、偶然買った宝くじで“非課税10億円”を当ててしまう。
防音タワマン、最強機材、そしてバ美肉VTuber「姫宮みこと」として新たな人生が始まる。
どん底からの逆転劇は、やがて裏切った者たちの運命も巻き込んでいく――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
