翠碧色の虹

T.MONDEN

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幕間三:なぜ髪を切ったら失恋扱いになるの?

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心桜「つっちゃー。あたしたち『ココナッツ』宛にお便りがきてるよ!」
七夏「わぁ☆ お便りですか? ありがとうございます!」
心桜「早速、読んでみよう!」
七夏「はいっ☆」
心桜「えーっと、『こんにちは。私、思い切って長い髪を切ったら「失恋したの?」って、言われたのですけど、これってどうしてなのでしょうか?』」
心桜「そう言われれば、その理由ってなんだろ?」
七夏「なんでしょう?」
心桜「つっちゃー、それじゃ話が進まないって! あたしは髪が短めだから、失恋しても髪を切る事は考えないかなー・・・坊主になっちゃうし。つっちゃーは、どう? 髪切る?」
七夏「実際に失恋してみないと分からな・・・あ、失恋はしたくないです!」
心桜「つまり、髪を切る事が無いに越した事は無いということ?」
七夏「切る理由によると思います。長い髪を切るというのは、それだけ大きな決断が必要だと思います」
心桜「大きな決断・・・そっか!」
七夏「? ここちゃー、何か分かったの?」
心桜「うん。つまり、大きな決断で自分のイメージを変える・・・という事は、すぐに思いついたんだけど、実際、失恋したからって、すぐに自分のイメージを変えたいと思う?」
七夏「それって、今までの自分を否定する事になりそうで、もっと悲しくなります」
心桜「うん。どうせなら、もっと楽しく自分を変えたいよねー」
七夏「はい☆」
心桜「つまり、失恋して髪を切るという事は、自分のイメージを変えるのではなく、元の自分のイメージに戻る・・・という事なのかなーって、思ってみたの」
七夏「元の自分のイメージ?・・・イメージって?」
心桜「・・・そこですか・・・ここでのイメージとは、容姿/印象!」
七夏「さ、さすがにその意味は分かりますっ!! 私が訊きたいのは、元のイメージに戻る事の意味です」
心桜「あ、ごめん。つい・・・」
七夏「私、英語頑張ります!!」
心桜「ガ、ガンバッテー」
七夏「その、期待していない空応援・・・ホントに頑張りますから!!」
心桜「つっちゃー、人間って得て不得手あるよ。あたしは苦手な事を克服して平均的な人間になるより、その時間を使って長所を伸ばし、より個性的な人間になった方が魅力的に思えていいなーと思ったりして」
七夏「ここちゃー、妙に説得力があって困ります」
心桜「まあ、私ならって事で。よって数学は頑張らないっ!」
七夏「ここちゃー、数学は私も協力しますから、一緒に頑張りま…」
心桜「わぁー大変!! つっちゃー話が脱線してる!!」
七夏「え? あ、元の自分に戻るお話でした・・・すみません」
心桜「微妙にズレてるけど、まあ、いっか」
七夏「それで?」
心桜「うん。あたし、好きな人が出来たみたい」
七夏「え!? えっーーー!!!」
心桜「あ、例えばの話」
七夏「はぅぁ、驚きました」
心桜「その反応、あたしに好きな人が出来る事って、そんなに考えられない?」
七夏「そ、そうじゃなくて、全然気付けなかったから」
心桜「まあ、例えばの話だからね。んで、あたしに好きな人が出来て、その相手の好きな人がつっちゃー…」
七夏「え!? えっーーー!!!」
心桜「つっちゃー、例えばの話だってばっ! あと、話は最後まで聞いてよ」
七夏「うぅ、すみません・・・」
心桜「その相手の好きな人が、つっちゃーみたいな髪の長い人だったとする」
七夏「・・・・・」
心桜「あたしは、好きになった人の好みになろうと、髪を伸ばす事を決意する!」
七夏「自分のイメージを変えるという事?」
心桜「そう! 恋は女の子のイメージを変えてしまう事も多いの。あたしは長い時間をかけて長い髪になった。好きになった人の為に」
七夏「長い髪のここちゃー素敵です☆」
心桜「単に髪を伸ばすって言うけど、短い髪の人からすると、とても大変。まず、髪が重たい、纏まらない、静電気で大変、寝返りで髪引っ張られて夜中に目が覚めたり・・・ってこれは、つっちゃーが言ってた事だよねー、あたしは分かんないや」
七夏「まあ、それなりに大変かな。静電気はリンスを使うと大丈夫です!」
心桜「なるほどねー・・・んで、それだけ苦労して髪を伸ばしたにも関わらず、失恋してしまった」
七夏「・・・・・」
心桜「この長い髪は、好きになった人の為に伸ばしたんだから、失恋してしまったら伸ばしておく意味が無い。好きになった人の為に変えた自分を、元の自分に戻そう! つまり、髪を切ってしまおう!!・・・という事」
七夏「なるほど☆」
心桜「これなら、前向きな考え方だから、少なくとも悲しい想いで髪を切る・・・という事にはならないよね!」
七夏「はいっ☆」
心桜「失恋で十分悲しいのに、更に髪まで悲しい想いで切る事は無いよ」
七夏「私、失恋したとしても、髪は大切にします!」
心桜「うんうん! つっちゃーは元々、長い髪のイメージだからね☆」
七夏「はい☆」
心桜「ん? という事は、逆の場合は、髪を伸ばすの大変だねー。時間かかるよー」
七夏「ですから、髪は大切にします!」
心桜「そうだったね。失恋してお坊さんになりましたーとか、目も当てられないよ」
七夏「それは、流石に・・・あっ、でも、お坊さんになって悟りを開いたりされるとか!?」
心桜「ついに冗談が通じなくなったか・・・」
七夏「わ、私、色々頑張ります!」
心桜「ガ、ガンバッテー」
七夏「だから、数学も頑張りましょうね☆ ここちゃー☆」
心桜「うっ!(成長してるっ!)、ガ、ガンバロ~! アタシィ~」
七夏「まあ、そんな訳で、失恋してしまった場合でも、元の自分のイメージを大切にしたいなーと思う私たち・・・・・(こ、ここちゃー)」
心桜「ハッ! コ、ココナッツでしたっ!」
七夏「でしたー☆・・・はぅぁー」

幕間三 完

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幕間三をお読みくださり、ありがとうございました!
本編の方も、どうぞよろしくお願い申しあげます!
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