43 / 137
随筆七:先に出来た人を待たす訳にはゆきませんから!
しおりを挟む心桜「つっちゃー! 何読んでんの?」
七夏「えっと、バラサイユノベルです☆」
心桜「バラベルかぁー・・・なんかゾクゾクするよねっ!」
七夏「え!?」
心桜「あの曲!『ベルはベルは~♪』ってヤツ」
七夏「くすっ☆」
心桜「この前、テレビで宝島歌劇団のバラベルCMがあったよ!」
七夏「そうなの!?」
心桜「見てみたいよねー」
七夏「はい☆」
心桜「そうそう、今日はお手紙が届いてるんだ!」
七夏「わぁ! お便りありがとうございます☆」
心桜「早速、読んでみるね!」
七夏「はい☆」
心桜「ペンネーム『モンキーミミ』さん! モンキーミミ!?」
七夏「どしたの? ここちゃー?」
心桜「どっかで聞いた事があるんだけど・・・モンキーミミ、猿の耳って事だよね?」
笹夜「それは、モンキーイヤー」
心桜「イヤーーーッ!!!」
七夏「ひゃっ☆」
心桜「・・・って、びっくりしたぁ!」
七夏「笹夜先輩! こんにちはです☆」
心桜「こんちはー! 笹夜先輩!」
笹夜「こんにちは♪ 七夏ちゃん、心桜さん」
心桜「いや~、このパターン、久々だったから油断してたよ」
笹夜「すみません・・・どこからお話に加われば良いのか分からなくて・・・」
心桜「確かに、仲良し二人組みの会話に割って入るのは、勇気が必要かもね・・・本当はあたしたちが気付かないとダメなんですけど、笹夜先輩のステルスレベルが高過ぎて・・・」
七夏「こ、ここちゃー! すみません! 笹夜先輩!」
笹夜「いえいえ♪」
心桜「・・・って、そうではなくて、確かに猿の耳は『モンキーイヤー』ですよね・・・モンキーミミ・・・なぜミミだけ日本語なのかなぁ?」
笹夜「ペンネームに意味や理由を求めても・・・」
心桜「でも、名前を考えた人は、なんか意味があっての事だと思うんだけど・・・あっ!」
七夏「どしたの?」
心桜「ラブラブモンキーミミィー♪ お願い聞いてぇ~♪」
七夏「???」
心桜「ラブラブモンキーミミィー♪ お願い聞いてぇ~♪ 魔法のプリンセ~ス~♪」
七夏「!!! それって、ミンキーモ…」
心桜「さあーて! 読むよ!」
七夏「は、はいっ!」
心桜「えー『ココナッツさん、こんにちは。私、昔からトロくて、みんなについて行けない事が多くて困ってます。そして、今の学校の教師が「先に出来た人を待たす訳にはゆきませんから!」と言って、どんどんと先に授業を進めてしまいます・・・当然私は付いてゆけなくて・・・トロい人を置いてきぼりにする教育の方針に疑問を抱いてます。これってトロい私が悪いのでしょうか? その教師に、その考え方が間違っていると思わせるような返しが出来ないか考えてみましたが、なかなか良い返し方が思いつきません。何か良い方法はないでしょうか?』・・・だって」
笹夜「まあ、少し特殊なお考えの教師ですね」
心桜「そだね。『先に出来た人を待たす訳にはゆきませんから!』・・・こんな事を言う教師って、つっちゃーはどう思う!?」
七夏「え!? どうって言われても・・・」
心桜「これってさ、出来ていない人は、確実に置いてゆかれるよね」
七夏「・・・はい」
心桜「冗談なら笑えるけど・・・。なんかこうさ、これに対するカウンターって、あてれないかなー」
七夏「カウンターって!?」
心桜「あ、ごめん。ここでは、カウンターアタックって意味で『反撃/逆襲』かな?」
七夏「・・・聞かない方がよかったかも・・・」
心桜「つっちゃーは、平和主義だもんねー」
七夏「平和主義って!?」
心桜「平和主義・・・真っ先にターゲット・・・標的にされるから、気をつけなされや~!」
七夏「???」
心桜「まっ、そのカウンターを考えてるんだけど、お手紙の人も話してるとおり、これがなかなかこう良い切り返しが思い浮かばないよね・・・」
七夏「良い切り返し???」
心桜「まだ出来てない人がいるのに、先に進むんかよっ!!!」
七夏「ひゃっ!」
心桜「・・・って、言うような思いを込めつつ、その教師の話した事が正しくなかったと導けるような気の利いた返し!」
七夏「ここちゃー、急に大声出すから・・・」
心桜「あ、ごめん。つっちゃーなら先に出来たらどうする?」
七夏「えっと、出来ていない人を待ちます」
心桜「それで結構、待たされたらどうする?」
七夏「出来ていない人の為に、何かできる事は無いか考えます」
心桜「さすが、女将の子だね~」
七夏「もう・・・」
心桜「笹夜先輩は?」
笹夜「そうですね・・・出来ていない人の力になれないか考えます♪」
心桜「つっちゃーと同じか・・・でも、それだと、その教師をギャフンとは言わせられないからなぁ・・・」
七夏「無理しなくても・・・」
心桜「でも、お手紙の人は『ギャフンッ!』と言わせたいんだよ!」
笹夜「先に出来て、待っている人が何か意見をすれば良いのですよね」
七夏「先に出来ても『出来ました!』って話さなければいいのかなぁ?」
心桜「そうだけど、残念ながら先に出来た人は『先に出来た!』って主張する傾向があるからなぁ」
笹夜「予め教師に出来た人は、申告するように言われていたら、そうなりますね」
心桜「深刻だねー。そうでなくても、先に出来た人は主張する傾向はあるよね・・・自己顕示欲が強いとか?」
笹夜「まあ、生き残りや競争されているような状況ではそうなってしまいますよね」
七夏「ちょっと、切ないですね」
心桜「平和主義のつっちゃーには厳しい現実だね!」
七夏「えっと・・・まだ出来ていない人は、どうなっちゃうのかなぁ?」
心桜「単純に切り捨てられるだけ・・・」
七夏「そんな・・・」
心桜「でも、その教師の教育方針がそれなら、そうなるよね・・・間引かれ教育とか?」
笹夜「つまり、その教師の世界は、自分には適合していないという事になるのかしら?」
心桜「だね・・・だけど、そこをなんとかするのが、あたしたちなんだよ!」
七夏「はいっ!」
笹夜「なんとか・・・してあげたいですけど・・・」
心桜「そうかっ!!」
七夏「どしたの!?」
心桜「先に出来た人を待たす訳にはゆかないって事はさぁ・・・」
七夏「はい」
心桜「先に出来ても休憩すら貰えず、次々と課題を積み重ねられるだけにならない?」
笹夜「そう・・・なりますね」
心桜「って事なら、一生懸命物事をこなそうとしなくなる・・・賢い人ほどそうなると思うなぁ」
七夏「なるほど☆」
心桜「従って『ダメ人間を増やす教育方針だねっ!!!』これでどうだぁ~!!!」
笹夜「ダメ人間って・・・心桜さんっ!」
心桜「だってさあ、行っても行っても次々と課題を積まれる状況が続くと、どうなるか考えるまでもないでしょ!?」
笹夜「まあ、確かにそうですけど、何事も『ほどほど』が大切ですね♪」
心桜「結局、その言葉に尽きるよね!」
七夏「先に出来た人は、『復習しましょう』が、いいな☆」
心桜「ふっ復讐!?」
笹夜「心桜さん『復習』です!?」
心桜「え!? その違い分かんないんですけど!」
笹夜「七夏ちゃんの言葉ですよ!?」
心桜「あははっ! 分かってますって!」
七夏「お便りの人も、先に出来なくても、頑張っていれば、いずれ良いことがあると思います☆ どうしてもダメなら、ここちゃーの話してた内容で相談してみるといいかもです☆」
心桜「そだねー。先に出来た人は、まだ出来ていない人の事を考える気配りを養う機会だと心得よ!」
笹夜「人間、得て不得手があります。お便りの人もきっと他の人よりも得意な事があるはずです♪ そんな時、お便りの人はきっとまだ出来ていない人の事を気遣える心が芽生えると思います。『先に出来た人を待たせない教育』から反面教師的に芽生えたのが優しい心なら、このような教育方針も無意味ではなさそうですね♪」
心桜「笹夜先輩・・・遠まわしな皮肉ですねー」
笹夜「そ、そうかしら? すみません」
心桜「いやいや、まとめてくださって、ありがとうございます! つっちゃーもねっ!」
七夏「はい☆」
心桜「という事で、あたしたちの考え方はこんな感じです! あくまでも回答ではなく、助言ですので、ご参考程度に!」
七夏「お便り、ありがとうございました☆」
笹夜「頑張ってくださいね♪ モンキーミミさん♪」
心桜「モンキーミミ!! そうだったっ!!」
七夏「え!?」
心桜「・・・いや、なんでもないっ!」
随筆七 完
------------
随筆七をお読みくださり、ありがとうございました!
本編の方も、どうぞよろしくお願い申しあげます!
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
女帝の遺志(第二部)-篠崎沙也加と女子プロレスラーたちの物語
kazu106
大衆娯楽
勢いを増す、ブレバリーズ女子部と、直美。
率いる沙也加は、自信の夢であった帝プロマット参戦を直美に託し、本格的に動き出す。
一方、不振にあえぐ男子部にあって唯一、気を吐こうとする修平。
己を見つめ直すために、女子部への入部を決意する。
が、そこでは現実を知らされ、苦難の道を歩むことになる。
志桜里らの励ましを受けつつ、ひたすら練習をつづける。
遂に直美の帝プロ参戦が、現実なものとなる。
その壮行試合、沙也加はなんと、直美の相手に修平を選んだのであった。
しかし同時に、ブレバリーズには暗い影もまた、歩み寄って来ていた。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
【完結】年収三百万円台のアラサー社畜と総資産三億円以上の仮想通貨「億り人」JKが湾岸タワーマンションで同棲したら
瀬々良木 清
ライト文芸
主人公・宮本剛は、都内で働くごく普通の営業系サラリーマン。いわゆる社畜。
タワーマンションの聖地・豊洲にあるオフィスへ通勤しながらも、自分の給料では絶対に買えない高級マンションたちを見上げながら、夢のない毎日を送っていた。
しかしある日、会社の近所で苦しそうにうずくまる女子高生・常磐理瀬と出会う。理瀬は女子高生ながら仮想通貨への投資で『億り人』となった天才少女だった。
剛の何百倍もの資産を持ち、しかし心はまだ未完成な女子高生である理瀬と、日に日に心が枯れてゆくと感じるアラサー社畜剛が織りなす、ちぐはぐなラブコメディ。
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
ループ25 ~ 何度も繰り返す25歳、その理由を知る時、主人公は…… ~
藤堂慎人
ライト文芸
主人公新藤肇は何度目かの25歳の誕生日を迎えた。毎回少しだけ違う世界で目覚めるが、今回は前の世界で意中の人だった美由紀と新婚1年目の朝に目覚めた。
戸惑う肇だったが、この世界での情報を集め、徐々に慣れていく。
お互いの両親の問題は前の世界でもあったが、今回は良い方向で解決した。
仕事も順調で、苦労は感じつつも充実した日々を送っている。
しかし、これまでの流れではその暮らしも1年で終わってしまう。今までで最も良い世界だからこそ、次の世界にループすることを恐れている。
そんな時、肇は重大な出来事に遭遇する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
