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初恋は・・・
初恋は・・・胸糞悪くて、信じられないほど汚かった
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初恋は甘酸っぱいとか美しいとか言うけど、私の初恋はそんなものじゃなかった。
口の中にまで上って来た胃液で胸糞悪くて、信じられないほど汚かった。
◇◇◇
「は? 今、なんて言ったの?」
私は聞き間違えたのかと思って、亮(りょう)に言う。
サプライズなことをするとかでやって来た亮の友達の家で、青い顔で神経質に身体を揺らして亮は私から目をそらして言った。
家の人はいない。亮が鍵を預かっていたおかげで私たちは入ることができたが、この家には今、亮と私だけしかいない。
勝手に家の中を探索するわけにはいかないから、亮に案内された部屋にいる。
亮の友達の部屋らしく、寒色系でまとめられた男の子の部屋だ。テニスのラケットや硬式のボールが入っている缶が部屋にあるところを見ると、部活の友達なんだろう。
「夏川先輩とヤって欲しいんだ」
ありえない。
ありえないことを恋人に告げられた。
信じらんない。
信じらんない。
どうしてそんなこと言えるのよ。
亮は遊んでいるってタイプじゃなくて、どこにでもいるごく普通なタイプだ。
高校で出会って、付き合いだした私の初恋の相手で初めての恋人。世界で活躍する日本人テニスプレーヤーがテレビを賑わすようになったからとテニスをはじめたような奴だけど、朝練にも毎日出ていて。
それが・・・どうしてこんなことになってしまったのか。
私の男を見る目がなかったから?
理解できなくて亮に説明を求める。
「・・・。なに言ってんのか、わかってんの、亮?! 彼女に他の男にヤらせろって、どうしてそんなこと言えるのよ?!」
「仕方がないんだよ! 夏川先輩の彼女とヤったのがバレちゃったんだよ! 夏川先輩、めっちゃ怒ってて、お前の彼女とヤらせろって言うからさー。頼むよ、実花(みか)」
夏川先輩の彼女とヤった?!
私がいるのに浮気したっていうの?!
なに考えてんのよ?!
回数が足りなかったって言うの?!
それともテクニック?
どちらにしろ浮気しといて、浮気相手の彼氏に怒られたからって、どうして私を差し出すのよ?!
こいつの頭の中どうなってんの?!
サイテー! サイテー! サイテー!
慰謝料、欲しいのはこっちよ!
なんで浮気された私が慰謝料代わりに差し出されなきゃいけないわけ?!
あんたは私を慰謝料代わりに差し出せるのはわかった。
私とは考えが違いすぎるのもわかった。
私の気持ちも考えてよ!
私の純情返してよ!
こいつは朝練でお腹がすいたからって、私が作ってきたお弁当を一限目が始まる前に食べてしまうような奴で。
宿題ができていないからと私にノートを写させてもらうような奴で。
先輩の彼女と浮気するような奴で。
なんか良いとこないような気がしてきた。
なんで付き合っていたんだろう?
こんなクズと付き合うくらいなら、オタク道を極めて立派な腐女子から喪女になってやるんだった。
「浮気したの?! サイテー。なんで私が浮気した亮の尻拭いをしなきゃいけないわけ? 私、別れさせてもらうから、自分でなんとかしてよ!」
「なんとかできないから実花に頼んでいるんだろ?!」
胸がムカムカしてくる。
そう言えば、朝練が終わったあんたに会いに行った時に女子マネが私のことを睨んでいたことあったっけ。
あの女子マネともできていたんでしょ?
あの時は女子マネはみんなと仲が良いとか、気のせいだとか言っていたけどそうでしょ?!
それだけじゃ物足りなくて彼氏(それも先輩)持ちの子にまで手を出して・・・。
私がつまらなかったから浮気した?
私がつまらないと思ったなら、浮気する前に別れればいいじゃない。
浮気したのだって今回が初めてじゃないんでしょ?
私はただのキープで、あんたは私が知らないのをいいことに浮気しまくっていたんでしょ?
浮気の常習者じゃないと浮気した慰謝料に彼女とヤりたいだなんて言われて、頷くはずないじゃない!
馬鹿にするのもいい加減にして!
「浮気なんかはじめからしなきゃいいじゃない! 浮気しておいて、私に頼るなんて馬鹿にしてるの?!」
「馬鹿にしてたら頼るかよ?!」
「馬鹿にしてないなら浮気なんかしないわよね! 私は絶対、嫌。浮気するくらい手が早いなら、さっさと別の彼女作ってそっちに頼んで。じゃあね」
誰とでも寝られるなら、彼氏なんか作らないから。
あんたみたいな浮気症でヒモのような彼氏を作るぐらいなら、援助交際したほうがまだお金になるだけマシじゃない!
と言うか、絶対裏切らない彼氏を二次元に求めてやる!
三次元に戻ってくるのはクズに傷付けられた心が癒された時だ。
「待てよ! 置いてくなよ! 俺が夏川先輩に怒られるだろ?!」
夏川と言えば、テニス部の部長・夏川悠斗(はると)。テニス部の誇る王子様。
私は付き合っていた同じクラスの浮気男しか見ていなかったから、気付かなかったけど、みんなが騒いでいたのが納得できるほどイケメンだ。
付き合っていた彼女だってレベルの高い子ばかりだって聞くし、そんな部長の彼女に手を出すって、どう言うことなの?!
レギュラーを取れば、休日は遠征ばかりで恋人と付き合う時間がないってあんたも言っていたけど、そんな夏川先輩の留守を狙ったかのように彼女と浮気するあんたはなんなの?!
あまりにも構われなくて、二カ月も付き合えば彼女たちのほうから別れを切り出すって言う噂だけど、夏川先輩が怒りたいのは浮気相手であるあんたじゃないの?!
後輩のくせに先輩の彼女に手を出すなんてどうかしてる・・・。
「勝手に怒られたらいいじゃない! 私は関係ないから! 私もその夏川先輩みたいにあんたに慰謝料請求したいくらいよ!」
勝手に怒られろ!
私はもう知らない!
彼女なんかじゃない!
「たかがセックスするだけでなに怒ってんだよ!」
「たかがセックス?! だったら、あんたが掘られろっ!!」
口の中にまで上って来た胃液で胸糞悪くて、信じられないほど汚かった。
◇◇◇
「は? 今、なんて言ったの?」
私は聞き間違えたのかと思って、亮(りょう)に言う。
サプライズなことをするとかでやって来た亮の友達の家で、青い顔で神経質に身体を揺らして亮は私から目をそらして言った。
家の人はいない。亮が鍵を預かっていたおかげで私たちは入ることができたが、この家には今、亮と私だけしかいない。
勝手に家の中を探索するわけにはいかないから、亮に案内された部屋にいる。
亮の友達の部屋らしく、寒色系でまとめられた男の子の部屋だ。テニスのラケットや硬式のボールが入っている缶が部屋にあるところを見ると、部活の友達なんだろう。
「夏川先輩とヤって欲しいんだ」
ありえない。
ありえないことを恋人に告げられた。
信じらんない。
信じらんない。
どうしてそんなこと言えるのよ。
亮は遊んでいるってタイプじゃなくて、どこにでもいるごく普通なタイプだ。
高校で出会って、付き合いだした私の初恋の相手で初めての恋人。世界で活躍する日本人テニスプレーヤーがテレビを賑わすようになったからとテニスをはじめたような奴だけど、朝練にも毎日出ていて。
それが・・・どうしてこんなことになってしまったのか。
私の男を見る目がなかったから?
理解できなくて亮に説明を求める。
「・・・。なに言ってんのか、わかってんの、亮?! 彼女に他の男にヤらせろって、どうしてそんなこと言えるのよ?!」
「仕方がないんだよ! 夏川先輩の彼女とヤったのがバレちゃったんだよ! 夏川先輩、めっちゃ怒ってて、お前の彼女とヤらせろって言うからさー。頼むよ、実花(みか)」
夏川先輩の彼女とヤった?!
私がいるのに浮気したっていうの?!
なに考えてんのよ?!
回数が足りなかったって言うの?!
それともテクニック?
どちらにしろ浮気しといて、浮気相手の彼氏に怒られたからって、どうして私を差し出すのよ?!
こいつの頭の中どうなってんの?!
サイテー! サイテー! サイテー!
慰謝料、欲しいのはこっちよ!
なんで浮気された私が慰謝料代わりに差し出されなきゃいけないわけ?!
あんたは私を慰謝料代わりに差し出せるのはわかった。
私とは考えが違いすぎるのもわかった。
私の気持ちも考えてよ!
私の純情返してよ!
こいつは朝練でお腹がすいたからって、私が作ってきたお弁当を一限目が始まる前に食べてしまうような奴で。
宿題ができていないからと私にノートを写させてもらうような奴で。
先輩の彼女と浮気するような奴で。
なんか良いとこないような気がしてきた。
なんで付き合っていたんだろう?
こんなクズと付き合うくらいなら、オタク道を極めて立派な腐女子から喪女になってやるんだった。
「浮気したの?! サイテー。なんで私が浮気した亮の尻拭いをしなきゃいけないわけ? 私、別れさせてもらうから、自分でなんとかしてよ!」
「なんとかできないから実花に頼んでいるんだろ?!」
胸がムカムカしてくる。
そう言えば、朝練が終わったあんたに会いに行った時に女子マネが私のことを睨んでいたことあったっけ。
あの女子マネともできていたんでしょ?
あの時は女子マネはみんなと仲が良いとか、気のせいだとか言っていたけどそうでしょ?!
それだけじゃ物足りなくて彼氏(それも先輩)持ちの子にまで手を出して・・・。
私がつまらなかったから浮気した?
私がつまらないと思ったなら、浮気する前に別れればいいじゃない。
浮気したのだって今回が初めてじゃないんでしょ?
私はただのキープで、あんたは私が知らないのをいいことに浮気しまくっていたんでしょ?
浮気の常習者じゃないと浮気した慰謝料に彼女とヤりたいだなんて言われて、頷くはずないじゃない!
馬鹿にするのもいい加減にして!
「浮気なんかはじめからしなきゃいいじゃない! 浮気しておいて、私に頼るなんて馬鹿にしてるの?!」
「馬鹿にしてたら頼るかよ?!」
「馬鹿にしてないなら浮気なんかしないわよね! 私は絶対、嫌。浮気するくらい手が早いなら、さっさと別の彼女作ってそっちに頼んで。じゃあね」
誰とでも寝られるなら、彼氏なんか作らないから。
あんたみたいな浮気症でヒモのような彼氏を作るぐらいなら、援助交際したほうがまだお金になるだけマシじゃない!
と言うか、絶対裏切らない彼氏を二次元に求めてやる!
三次元に戻ってくるのはクズに傷付けられた心が癒された時だ。
「待てよ! 置いてくなよ! 俺が夏川先輩に怒られるだろ?!」
夏川と言えば、テニス部の部長・夏川悠斗(はると)。テニス部の誇る王子様。
私は付き合っていた同じクラスの浮気男しか見ていなかったから、気付かなかったけど、みんなが騒いでいたのが納得できるほどイケメンだ。
付き合っていた彼女だってレベルの高い子ばかりだって聞くし、そんな部長の彼女に手を出すって、どう言うことなの?!
レギュラーを取れば、休日は遠征ばかりで恋人と付き合う時間がないってあんたも言っていたけど、そんな夏川先輩の留守を狙ったかのように彼女と浮気するあんたはなんなの?!
あまりにも構われなくて、二カ月も付き合えば彼女たちのほうから別れを切り出すって言う噂だけど、夏川先輩が怒りたいのは浮気相手であるあんたじゃないの?!
後輩のくせに先輩の彼女に手を出すなんてどうかしてる・・・。
「勝手に怒られたらいいじゃない! 私は関係ないから! 私もその夏川先輩みたいにあんたに慰謝料請求したいくらいよ!」
勝手に怒られろ!
私はもう知らない!
彼女なんかじゃない!
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