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第一話
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「愛してる」
(その言葉。信じられるの?)
抱かれながら身も心も熱くなる片隅で、冷たい隙間風が囁く。
どんなに愛しても無駄な人だった。
私の双子の姉を愛していることなど、言われなくても知っている。
知っているくせに、愛していると言われて抱かれている。愛しているから。
前世からずっと、彼は姉を愛している。
前世からずっと、私は彼を愛している。
前世では彼は姉の夫で。
私は妻の妹で愛人だった。
愛していると言いながら、結婚したのは姉で、政略結婚だったのだと、私を愛人にしていた。
家の都合で結婚しなくてもいいなら、君と結婚すると言いながら、私を抱いていた。
生まれ変わっても選んだのは姉で。
ただ、姉は地位もお金持ちもある相手に見染められて、彼を選ばなかっただけで。
選ばれなかった彼は仕方がなく、代用品である私と付き合っているだけで。
姉が自由の身になれば私を捨てるだろう、彼の偽りの言葉にしがみ付いて。
生まれ変わっても惨めだった。
女友達に姉を愛している彼と付き合っていることを言えば、馬鹿だと言われた。
馬鹿なのはわかっている。
家の都合がない今、プロポーズすらしようとしない彼が私との将来を考えていないことは明白だ。
(あなたには記憶がないの? 記憶がないから私ではなく、姉を愛したの?)
(それとも、不吉な色をしていた私が結婚できないことを知っていて、愛人にしていただけなの? ・・・――そんな、奉仕精神はいらなかった・・・)
今なら不吉などと言われないアルビノも、前世では生まれてすぐに殺されることが普通だった。
身体が弱かった母の、命懸けで臨んだ二度目の出産。一度目は娘だったから、今度こそは、と臨んだ出産で生まれた不吉な娘。
だから。
だから。
屋敷の外に出されることなく育った。
親戚から養子になった義弟は、結婚してあげる、と言って慰めてくれた。
けれど、義弟は病死し、姉は彼と結婚した。
姉も彼も生まれ変わったのだ。義弟も生まれ変わっていても、おかしくはない。
ただ、前世の記憶があるかどうかは、わからない。
記憶が戻っていても、出会えるかどうかもわからない。
義弟が生きていれば、前世の私を馬鹿だと言うだろう。
義弟と再会すれば、今の私も馬鹿だと言うだろう。
最高潮の終焉に向かって熱くなる身体とは反対に心は冷めきっていた。
「愛してるわ」
口から漏れる嬌声は身体の声。心の声は演技の声。
(避妊すらしてくれないんだ)
避妊具どころか、そのまま出された。前世だって、中には出さなかった、というのに。
(その言葉。信じられるの?)
抱かれながら身も心も熱くなる片隅で、冷たい隙間風が囁く。
どんなに愛しても無駄な人だった。
私の双子の姉を愛していることなど、言われなくても知っている。
知っているくせに、愛していると言われて抱かれている。愛しているから。
前世からずっと、彼は姉を愛している。
前世からずっと、私は彼を愛している。
前世では彼は姉の夫で。
私は妻の妹で愛人だった。
愛していると言いながら、結婚したのは姉で、政略結婚だったのだと、私を愛人にしていた。
家の都合で結婚しなくてもいいなら、君と結婚すると言いながら、私を抱いていた。
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ただ、姉は地位もお金持ちもある相手に見染められて、彼を選ばなかっただけで。
選ばれなかった彼は仕方がなく、代用品である私と付き合っているだけで。
姉が自由の身になれば私を捨てるだろう、彼の偽りの言葉にしがみ付いて。
生まれ変わっても惨めだった。
女友達に姉を愛している彼と付き合っていることを言えば、馬鹿だと言われた。
馬鹿なのはわかっている。
家の都合がない今、プロポーズすらしようとしない彼が私との将来を考えていないことは明白だ。
(あなたには記憶がないの? 記憶がないから私ではなく、姉を愛したの?)
(それとも、不吉な色をしていた私が結婚できないことを知っていて、愛人にしていただけなの? ・・・――そんな、奉仕精神はいらなかった・・・)
今なら不吉などと言われないアルビノも、前世では生まれてすぐに殺されることが普通だった。
身体が弱かった母の、命懸けで臨んだ二度目の出産。一度目は娘だったから、今度こそは、と臨んだ出産で生まれた不吉な娘。
だから。
だから。
屋敷の外に出されることなく育った。
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けれど、義弟は病死し、姉は彼と結婚した。
姉も彼も生まれ変わったのだ。義弟も生まれ変わっていても、おかしくはない。
ただ、前世の記憶があるかどうかは、わからない。
記憶が戻っていても、出会えるかどうかもわからない。
義弟が生きていれば、前世の私を馬鹿だと言うだろう。
義弟と再会すれば、今の私も馬鹿だと言うだろう。
最高潮の終焉に向かって熱くなる身体とは反対に心は冷めきっていた。
「愛してるわ」
口から漏れる嬌声は身体の声。心の声は演技の声。
(避妊すらしてくれないんだ)
避妊具どころか、そのまま出された。前世だって、中には出さなかった、というのに。
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