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本編後
恵里香の知らないところで世界は回っていく2
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基礎練習が終わった友也が来るのを部室の前で待っている日向(ひなた) 真理は、代わりにオレを見つけて笑顔になった。
女の子にこんな表情を見せたくないけど、嫌悪感で顔が歪んだ。友也じゃないっつーのに、なんで喜ぶんだよ。
それで思い出した。
この女は彼氏がいるのにオレにも声をかけてきたっけ。
オレはその場限りの女もも好きだが、人間関係を壊すようなもんは嫌いだ。「誰々の彼女だー!」「俺の彼女盗ったー!」と言われるのが煩わしい。
日向みたいな人間関係を滅茶苦茶にするタイプは一番嫌いだ。
オレに相手にされていないとわかっているはずなのに、なんで笑顔になんだよ。ムカつくなー。
なんで、石動が言わねーんだよ。
そりゃあ、あいつだって、この女を嫌っていることは知っている。だけど、オレにこの女に話せってーのは、ちょっと違う。
オレは女の子が好きだけど、こーゆー女は論外。
いつもは女の子に優しいオレも、優しくできないタイプがある。それが日向 真理のようなタイプだ。
女の子がしてもいい素直じゃないとこは、好きの反対をしてしまうことだけ。所謂、ツンデレってやつ。
遊び慣れてる子も、そうじゃない子も、一生懸命な姿がいいんであって、節操のないタイプはホント、嫌いだ。
あー! クソッ! 蕁麻疹出てくる!
言うだけ言って、さっさと終わらせて帰るか。
「悪いけど、友也は来ないよ」
話したくもないから、声だって尖る。
「桜井先輩? 部長さんがどうかしたんですか?」
オレが嫌っているのを隠そうとしていないのに、この女の笑顔は揺るがない。
気持ち悪い。
「どうかしたのじゃないっつーの、この性悪女。いたいけな男の純情をもてあそびやがって」
「もてあそぶって、私何もしていませんよ? なんで、そんなこと言うんですか?」
「無自覚装うのはやめてくれる? そういうタイプ、オレ、滅茶苦茶嫌いなんだっつーの。オレって、ごく普通だから、無自覚な女って大嫌いなわけ。自分に正直ならともかく、周り振り回して澄ました顔しているのが、ホント、ムカつくっつーの」
「なんでそんなこと言うんですか。ひどいじゃないですか」
口を尖らせて、抗議する。この女じゃなかったら、可愛く見えただろうが、残念だけどオレの神経に障るだけだった。
「だって、オレ悪くないもん。オレは誰かと付き合ってる女とはヤラねーし、誰か一人と付き合うだなんて全世界の女性が嘆いて自殺しちゃうから誰とも付き合わねーし、真理ちゃんと違って誠実でしょ?」
「何言ってるんですか? 夏川くんだけの私と桜井先輩を比べないでください」
悠斗(はると)だけだって?
嘘も大概にしてくれよ。
友也以外にも手を出しまくってんの知ってんだぞ?
あー、キモイ。
可愛く見えない。
クリーチャーだよ。
なに、このクリーチャー。
外見だけなら良いほうなのに、中身はクリーチャー。
表情すら本当じゃない。
気持ち悪。
女の子には優しいオレだけど、クリーチャーは無理。
こんなのと付き合ったら、感染してオレもクリーチャーになりそう。
ゾンビに噛まれたら、ゾンビになるドラマがあったけど、ソレ、現実じゃね?
「とぼけるのはやめてくれない? そういうのも、オレ嫌いなんだっつーの。嘘くさい。嘘くさくて気持ち悪い。積極的なら積極的でいいじゃない。目移りするなら目移りした相手とヤったっていいじゃない。だけど、それを隠して何かを口実に遊びまわるのってズルいよね。つまみ食いしたいだけなら、つまみ食いできる身軽な立場でしたらいいのに、誰かと付き合っているのを装って男に近付いたり、煽ったり、勇気出して声かけて来てくれる女の子たちに対して卑怯だっつーの!」
オレが嫌いな理由を教えてやったら、傷付きましたって顔しやがった。
「そんな・・・。私、そんなつもりなんかなくて・・・」
言ってることとやってることが正反対。
クリーチャーは怖いわ~。
悠斗も別れて正解。
恵里香ちゃんも逃げて正解。
友也もしっかりクリーチャーに感染しているから、隔離しとかなきゃなー。そっちは石動がしてくれるそうだけどさ。
「そんなつもりがなくて、友達の彼氏NTったり、彼氏の先輩とヤれるんだ。誠実って、言葉の意味わかってる?」
プンプンって感じだけど、オレのほうが怒りたいからね。
「それぐらい知ってます」
「それでよく入試通ったね。理事長の親戚とかコネ入学? それとも裏金?」
煽ってやったら、可愛らしく怒ってみせた。
あー。キモ。
怒らすんじゃなかった。
こんなキモイ顔見たくねー。
「失礼なこと言わないでください。うちは公立校だから実力で入ったに決まっているじゃないですか」
私立にでも行って、そっちで乙女ゲーみたいなことしろっつーの。
一般人のとこで被害広めんなよ。
あー。さっさと追い払って帰るか。
元々、そのつもりだったし。
「だって、ね~。そうそう。もう、テニス部に近付くのはやめてもらえる? 部長(・・)からの指示で、テニス部はこれからコート周辺も部室にも彼女の出待ちが禁止になったんだ。野外だと夏は暑いし、冬は寒くて、女の子には悪いからね。待つなら図書室とか校門にしてもらえる?」
「ええ?! そうなんですか?! 初めて聞きましたー!」
意味ありげに言った最初の言葉をスルーして、反応しやがった。
ホント、いい根性してやがる。
クリーチャーのメンタルは人間と違いすぎるわ。
「うん。オレも初めて言ったからね。だから、真理ちゃん。さっさと目の前から消えてくれる? オレ言ったよね? 真理ちゃんみたいな子って、大嫌いだって。これ以上目の前にいられたら、女の子に優しいオレも優しくできねーし」
「わかりました。ありがとうございます、桜井先輩」
こう言ったけどさ、この女、次の日もここにいやがった。
友也は受験に切り替えた他の三年と同じように見回りをするようになって、ここにいても会えないって気付くまで数日。
ホント、クリーチャーは人の話聞かねーな。
女の子にこんな表情を見せたくないけど、嫌悪感で顔が歪んだ。友也じゃないっつーのに、なんで喜ぶんだよ。
それで思い出した。
この女は彼氏がいるのにオレにも声をかけてきたっけ。
オレはその場限りの女もも好きだが、人間関係を壊すようなもんは嫌いだ。「誰々の彼女だー!」「俺の彼女盗ったー!」と言われるのが煩わしい。
日向みたいな人間関係を滅茶苦茶にするタイプは一番嫌いだ。
オレに相手にされていないとわかっているはずなのに、なんで笑顔になんだよ。ムカつくなー。
なんで、石動が言わねーんだよ。
そりゃあ、あいつだって、この女を嫌っていることは知っている。だけど、オレにこの女に話せってーのは、ちょっと違う。
オレは女の子が好きだけど、こーゆー女は論外。
いつもは女の子に優しいオレも、優しくできないタイプがある。それが日向 真理のようなタイプだ。
女の子がしてもいい素直じゃないとこは、好きの反対をしてしまうことだけ。所謂、ツンデレってやつ。
遊び慣れてる子も、そうじゃない子も、一生懸命な姿がいいんであって、節操のないタイプはホント、嫌いだ。
あー! クソッ! 蕁麻疹出てくる!
言うだけ言って、さっさと終わらせて帰るか。
「悪いけど、友也は来ないよ」
話したくもないから、声だって尖る。
「桜井先輩? 部長さんがどうかしたんですか?」
オレが嫌っているのを隠そうとしていないのに、この女の笑顔は揺るがない。
気持ち悪い。
「どうかしたのじゃないっつーの、この性悪女。いたいけな男の純情をもてあそびやがって」
「もてあそぶって、私何もしていませんよ? なんで、そんなこと言うんですか?」
「無自覚装うのはやめてくれる? そういうタイプ、オレ、滅茶苦茶嫌いなんだっつーの。オレって、ごく普通だから、無自覚な女って大嫌いなわけ。自分に正直ならともかく、周り振り回して澄ました顔しているのが、ホント、ムカつくっつーの」
「なんでそんなこと言うんですか。ひどいじゃないですか」
口を尖らせて、抗議する。この女じゃなかったら、可愛く見えただろうが、残念だけどオレの神経に障るだけだった。
「だって、オレ悪くないもん。オレは誰かと付き合ってる女とはヤラねーし、誰か一人と付き合うだなんて全世界の女性が嘆いて自殺しちゃうから誰とも付き合わねーし、真理ちゃんと違って誠実でしょ?」
「何言ってるんですか? 夏川くんだけの私と桜井先輩を比べないでください」
悠斗(はると)だけだって?
嘘も大概にしてくれよ。
友也以外にも手を出しまくってんの知ってんだぞ?
あー、キモイ。
可愛く見えない。
クリーチャーだよ。
なに、このクリーチャー。
外見だけなら良いほうなのに、中身はクリーチャー。
表情すら本当じゃない。
気持ち悪。
女の子には優しいオレだけど、クリーチャーは無理。
こんなのと付き合ったら、感染してオレもクリーチャーになりそう。
ゾンビに噛まれたら、ゾンビになるドラマがあったけど、ソレ、現実じゃね?
「とぼけるのはやめてくれない? そういうのも、オレ嫌いなんだっつーの。嘘くさい。嘘くさくて気持ち悪い。積極的なら積極的でいいじゃない。目移りするなら目移りした相手とヤったっていいじゃない。だけど、それを隠して何かを口実に遊びまわるのってズルいよね。つまみ食いしたいだけなら、つまみ食いできる身軽な立場でしたらいいのに、誰かと付き合っているのを装って男に近付いたり、煽ったり、勇気出して声かけて来てくれる女の子たちに対して卑怯だっつーの!」
オレが嫌いな理由を教えてやったら、傷付きましたって顔しやがった。
「そんな・・・。私、そんなつもりなんかなくて・・・」
言ってることとやってることが正反対。
クリーチャーは怖いわ~。
悠斗も別れて正解。
恵里香ちゃんも逃げて正解。
友也もしっかりクリーチャーに感染しているから、隔離しとかなきゃなー。そっちは石動がしてくれるそうだけどさ。
「そんなつもりがなくて、友達の彼氏NTったり、彼氏の先輩とヤれるんだ。誠実って、言葉の意味わかってる?」
プンプンって感じだけど、オレのほうが怒りたいからね。
「それぐらい知ってます」
「それでよく入試通ったね。理事長の親戚とかコネ入学? それとも裏金?」
煽ってやったら、可愛らしく怒ってみせた。
あー。キモ。
怒らすんじゃなかった。
こんなキモイ顔見たくねー。
「失礼なこと言わないでください。うちは公立校だから実力で入ったに決まっているじゃないですか」
私立にでも行って、そっちで乙女ゲーみたいなことしろっつーの。
一般人のとこで被害広めんなよ。
あー。さっさと追い払って帰るか。
元々、そのつもりだったし。
「だって、ね~。そうそう。もう、テニス部に近付くのはやめてもらえる? 部長(・・)からの指示で、テニス部はこれからコート周辺も部室にも彼女の出待ちが禁止になったんだ。野外だと夏は暑いし、冬は寒くて、女の子には悪いからね。待つなら図書室とか校門にしてもらえる?」
「ええ?! そうなんですか?! 初めて聞きましたー!」
意味ありげに言った最初の言葉をスルーして、反応しやがった。
ホント、いい根性してやがる。
クリーチャーのメンタルは人間と違いすぎるわ。
「うん。オレも初めて言ったからね。だから、真理ちゃん。さっさと目の前から消えてくれる? オレ言ったよね? 真理ちゃんみたいな子って、大嫌いだって。これ以上目の前にいられたら、女の子に優しいオレも優しくできねーし」
「わかりました。ありがとうございます、桜井先輩」
こう言ったけどさ、この女、次の日もここにいやがった。
友也は受験に切り替えた他の三年と同じように見回りをするようになって、ここにいても会えないって気付くまで数日。
ホント、クリーチャーは人の話聞かねーな。
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え?これで終わりなんですか???
申し訳ございません。
この話は話の中で何年も経過されるとヒーローもタイトルも変わってしまうので、これで終わりです。
続編はオフィスラブ物なので別タイトルで行う予定です。
完結まで書いてると喜んで読んでみたら、お話が中途半端に終わってて残念でした。
その後とか、書かれないのでしょうか?
寝とっても秘密にしてたら意味ないし、ただの自己満足なのでもやもやします。
申し訳ございません。
今の段階では別の方が書かれている昔、恋人に浮気されてそのまま男から遠ざかったな話や、恋愛から遠ざかっているヒロインの過去が書かれていない話を読む時に、こういう過去なんだろうなと補完していただく話になっています。
この話の続きは恋愛感情に鈍感になった恵里香さんがまた恋ができるようになる5年~10年先の話なので別連載しようかと考えています。