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第三章
第30話 騎士団長と対面しました
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「オーガの群れとワイバーンを討伐したのは君か?」
僕の目の前には騎士団の団長らしき人が立っている。引き締った体と僕より頭1つ高い身長の40歳前後のナイスミドルだ。
「まあ、一応そうです」
何とか村から脱出を試みようとしたのだが、ヘルゲ村長に泣いて引き留められ敢え無く失敗。流石に泣いて引き留める老人を足蹴にして逃げる訳にもいかず、騎士団の到着を待つ事になった。
ワイバーンを回収したりして待つ事数十分。ようやく騎士団が到着。その後ヘルゲ村長が騎士団の団長らしき人に状況を説明すると、騎士団長はこちらに近づいて来て僕に話し掛けてきたという訳だ。
「君はハンターなのか?」
「はい、一応駆け出しですが、ハンターをしています」
「ふむ、歳はいくつだ?」
なんか質問攻めになりそうな予感。
「16歳です」
「ほお、若いな。その歳でワイバーンやオーガロードまで倒すとは……」
しきりに感心する騎士団長。何だかこの後の展開が読めて嫌だな。
「君は騎士団に入る気はないか?」
ほら来た。予想通りだね。
「いえ、僕はハンターのような気ままな仕事が向いていますので」
これで諦めてくれないかな。
「その若さで何と覇気がない。男に生まれたからには上を目指すのが常であろう。君ほどの力があれば、聖騎士だって夢じゃない。そしたら貴族にだってなれるのだぞ」
いや、貴族とかなりたくないです。というより学が無いから貴族になんかなっても、肩身の狭い思いをして全然楽しくなさそうだし。第一、自由気ままに旅が出来ない。
「そう言われましても、貴族様など僕にはとても……」
「ムム。ならば私と賭けをしないか?」
この人、急に何を言い出すんだ?
「賭けですか? どんな賭けです?」
僕の言葉にニヤリと笑い。
「私と剣で勝負し、私が勝ったら君は騎士団に入ってもらう。君が勝ったら、そうだな……。今回の国からの報酬分を2倍払おう」
報酬って、そんなのあったんだ。しかし、2倍って、元々いくらか知らないけど、そんな事、勝手に決めていいのかな?
「あの、ちなみに報酬金額は?」
僕の言葉に満足そうに頷き。
「通常は金貨20枚だ。この報酬が私に勝てば金貨40枚になる。どうだ、いい話だろう?」
確かにすごい大金だ。しかし、お金に困ってないんだよね。それに負けた時のリスクがデカい。
『ちなみにセバスさん。この人のレベルってわかる?』
『はい。レベルは125で御座います』
おお、思ったよりも高い。流石騎士団長って事か。
今の僕のレベルがワイバーン戦後、1つ上がって109だ。
ん~、正直勝てるか微妙。
『レヴィから見てこの騎士団長さんと僕ってどちらが強いと思う?』
『ん~、どうだろう。普通にやったら騎士団長さんかな。魔法を併用して戦えばクラウドが勝つと思うよ』
魔法か。今のところ防壁の事はバレてないみたいだけど、ここで魔法を使ったら防壁の件もたぶんバレるよね。そうしたら益々、勧誘がひどくなりそうだ。
はあ、やっぱり逃げとくのが正解だったな。
「どうだ、やらんか?」
断ったらどうなるのかな?
「えっと、やめ……」
うお! 「やめときます」と言おうとしたら、笑顔ですごい睨まれた。
何という、無言の圧力だ。
『セバスさん、強化系の魔法ならバレないと思います?』
『この男、完全に物理攻撃タイプの戦士ですので、魔力の動きを感知する事は出来ないでしょう。よって、強化系の魔法ならば問題ないかと』
まあ、それならいいか。一応これで勧誘が終わるように言質は取っておかないとな。
「分かりました。お受けします。ただ、僕が勝ったらもう勧誘はしないと約束して下さい。そうじゃないとお受け出来ません」
僕の言葉にしばらく騎士団長さんは考え。
「わかった。約束しよう」
「本当ですね?」
微妙に信用ならない気がする。
「騎士に二言は無い」
取り敢えず、これで言質は取れた。後は勝つだけだ。……勝てるよね。
◇ ◇ ◇
只今、騎士団長のユリウスさんと村の広場で対峙中。
僕は右手に魔剣レヴィ、左手に神盾イジスを構えユリウスさんの攻撃に備える。
流石騎士団長。滲み出る強者の気配で肌が痺れるような感覚が襲って来る。
武器を構え対峙したままの2人を遠巻きから村人や騎士団たちが見守っている。
さてと、どう攻めるか。
現在僕は、ユリウスさんに分からないように、回復魔法に属する身体能力強化魔法を全身に掛けていた。これで筋力、瞬発力、耐久力が強化された状態になる。
取り敢えず正攻法で攻めてみますか。
僕はユリウスさんに向け一気に飛び込み、その勢いのまま剣を撃ち込む。
ガキイィィィン!! と激しく剣と剣がぶつかりあう音が響き渡る。
僕の攻撃を受け止めたユリウスさんの表情が一変する。
先ほどまで見せていた余裕の笑みが一瞬で消え、まさに歴戦の戦士と言った表情が現れた。
今の一撃で本気にさせちゃったかな。だけど負ける訳にいかないんだよね。
僕は再びユリウスさんとの間合いを詰め、剣撃を打ち込んでいく。
ユリウスさんも負けじと剣撃を繰り出す。戦いは時間が経つほどに激しさを増していき、とても試合とは思えない。まるで命を懸けた戦場の戦いのようだ。
やっぱり強いな。まともにやっていたらとても勝てなかっただろうな。でも、このままいけば僕の勝ちだ。身体能力強化に加え、魔力を体力に変換する魔法も合わせて使用してる。地獄の特訓ループの際、セバスさんに散々やられた魔法だが、この魔法を僕もきっちり習得していたのだ。
これにより、戦いが長引けば長引くほど状況は、僕が有利になって行く。
実際、ユリウスさんの顔には玉のような汗が流れ、疲労の色を隠せなくなってきている。
さてと、そろそろ一気に勝負を掛けるかな。
僕は更に身体能力強化魔法を重ね掛けして、一気に勝負にでた。
今までよりも速く、そして重い一撃を剣で受け止めたユリウスさんはその剣撃に耐え切れず、持っていた剣を手放してしまった。
そして僕はユリウスさんの首元に魔剣レヴィを押し当てた。
「ま、参った!」
この瞬間、村人達から一斉の歓声があがり、騎士団からは、驚愕の声が漏れ聞こえた。
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僕の目の前には騎士団の団長らしき人が立っている。引き締った体と僕より頭1つ高い身長の40歳前後のナイスミドルだ。
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何とか村から脱出を試みようとしたのだが、ヘルゲ村長に泣いて引き留められ敢え無く失敗。流石に泣いて引き留める老人を足蹴にして逃げる訳にもいかず、騎士団の到着を待つ事になった。
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「君はハンターなのか?」
「はい、一応駆け出しですが、ハンターをしています」
「ふむ、歳はいくつだ?」
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「ほお、若いな。その歳でワイバーンやオーガロードまで倒すとは……」
しきりに感心する騎士団長。何だかこの後の展開が読めて嫌だな。
「君は騎士団に入る気はないか?」
ほら来た。予想通りだね。
「いえ、僕はハンターのような気ままな仕事が向いていますので」
これで諦めてくれないかな。
「その若さで何と覇気がない。男に生まれたからには上を目指すのが常であろう。君ほどの力があれば、聖騎士だって夢じゃない。そしたら貴族にだってなれるのだぞ」
いや、貴族とかなりたくないです。というより学が無いから貴族になんかなっても、肩身の狭い思いをして全然楽しくなさそうだし。第一、自由気ままに旅が出来ない。
「そう言われましても、貴族様など僕にはとても……」
「ムム。ならば私と賭けをしないか?」
この人、急に何を言い出すんだ?
「賭けですか? どんな賭けです?」
僕の言葉にニヤリと笑い。
「私と剣で勝負し、私が勝ったら君は騎士団に入ってもらう。君が勝ったら、そうだな……。今回の国からの報酬分を2倍払おう」
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「あの、ちなみに報酬金額は?」
僕の言葉に満足そうに頷き。
「通常は金貨20枚だ。この報酬が私に勝てば金貨40枚になる。どうだ、いい話だろう?」
確かにすごい大金だ。しかし、お金に困ってないんだよね。それに負けた時のリスクがデカい。
『ちなみにセバスさん。この人のレベルってわかる?』
『はい。レベルは125で御座います』
おお、思ったよりも高い。流石騎士団長って事か。
今の僕のレベルがワイバーン戦後、1つ上がって109だ。
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『レヴィから見てこの騎士団長さんと僕ってどちらが強いと思う?』
『ん~、どうだろう。普通にやったら騎士団長さんかな。魔法を併用して戦えばクラウドが勝つと思うよ』
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『この男、完全に物理攻撃タイプの戦士ですので、魔力の動きを感知する事は出来ないでしょう。よって、強化系の魔法ならば問題ないかと』
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只今、騎士団長のユリウスさんと村の広場で対峙中。
僕は右手に魔剣レヴィ、左手に神盾イジスを構えユリウスさんの攻撃に備える。
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今の一撃で本気にさせちゃったかな。だけど負ける訳にいかないんだよね。
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これにより、戦いが長引けば長引くほど状況は、僕が有利になって行く。
実際、ユリウスさんの顔には玉のような汗が流れ、疲労の色を隠せなくなってきている。
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僕は更に身体能力強化魔法を重ね掛けして、一気に勝負にでた。
今までよりも速く、そして重い一撃を剣で受け止めたユリウスさんはその剣撃に耐え切れず、持っていた剣を手放してしまった。
そして僕はユリウスさんの首元に魔剣レヴィを押し当てた。
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