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第四章
第39話 赤い狼がいっぱい
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カエサル迷宮にこもってから4日目。今日の昼過ぎに4層を攻略し、ついに5層の攻略に入っていた。ここまで来るのにタイガー・ベアを始め、ホーンスネーク、ダークスパイダー、グレートホーンなど100レベル前後の魔物を複数倒しレベルもついに110に上がった。
そして現在の僕は迷宮の廊下を全力疾走している。後ろを見ると体長2mを超える複数の赤色の狼、ファイアウルフが追いかけて来ていた。
なぜこうなったのか。事の起こりは、2体のファイアウルフに遭遇した事だ。ファイアウルフのレベルは93、この迷宮でも一番低いレベルの魔物らしい。2体とはいえ自分より17もレベルが低い相手、何とかなるだろうと思い安易に近づいた。すると、1体のファイアウルフが俺に向け猛然と襲い掛かって来た。当然僕も迎撃する為武器を構え、ファイアウルフの体を一刀両断し倒すことに成功した。ここまでは完璧だと自分でも思う。だがしかし
そこで僕はある事に気が付いた。あれ? もう一体は?
さっきまでもう1体いたはずのファイアウルフがどこにも見当たらない。その時はどこかに逃げたのだろうと思い先に進む事にしたのでが。それからわずか10分後、僕は迷宮を全力疾走する事になったしまた。
まあ、簡単に言えば仲間を呼ばれたみたいなんだよね。しかも6体も。つまり今、僕は合計7体のファイアウルフから逃げている最中なのです。さすがにレベル差が17あっても7体はヤバいです。
「レヴィ、セバスさん今回は流石に無理! 助けて!!」
『大丈夫! クラウドなら出来る!』
『今のクラウド様ならこの危機も乗り越えられるでしょう』
どうしてそんなに僕の事を過大評価するかな。
「せめて、クイだけでも助っ人で出してください。それなら何とかなりますから!!」
『……、畏まりました。今回は許可致しましょう』
やった―!! 言ってみるもんだ。
「じゃあ、クイ。僕の指示で人化して狼どもに氷属性魔力で強化した矢を撃ちまくって」
『了解です』
僕はそのまま迷宮の廊下を走る。丁度良さそうな直線が続く廊下を見つけるとそこに飛び込み身体能力強化の魔法を掛け一気に加速して、狼どもから距離を取る。距離が出来た事を確認すると自分のすぐ後に土魔法で簡単な土の壁を創った。どうせすぐ壊されるがこれで数十秒だが時間が作れる。
再びその魔法の土壁から距離を取ると、僕は土壁の方を向き構える。ここでクイに人化してもらい一緒に反撃の準備をする。僕は魔法で氷の槍を複数展開し、クイは氷魔法属性の矢を複数番える。
「準備はこれで充分。いつでもきたまえ、ファイアウルフどもめ」
と強がって見てもドキドキは止まらない。やがて土壁にヒビが入りつい壁は砕かれ崩壊した。
「撃て――!!」
俺の掛け声とともに青白く光る無数の氷の槍と矢は一斉に7体のファイアウルフに降り注ぐ。俺とクイはそれだけで終わらず、第二弾、第三弾と次々氷の槍と矢の雨をファイアウルフの下に降らせていく。
最初の攻撃から約30秒が過ぎた頃、ファイアウルフがいた所には魔石と赤い毛皮、そしてオレンジ色の牙が7個ずつ残されているだけだった。
おお、思ったよりも圧勝だったかな? クイもいたし、弱点属性も突いたからこその圧勝だったね。
『これなら、次はクラウドだけで充分だね』
『そうですね。今のクラウド様なら問題ないでしょう』
うわ! しまった。圧勝し過ぎた。このままだと、どんどん要求がきつくなりそうだ。
◇ ◇ ◇
それから落ちている魔石や素材を回収しているとセバスさんから報告が入る。
『ここから3分ほどの距離で2体魔物と3名のハンターが戦っているようです』
ハンターか。カエサル迷宮に入ってから初めてだな。どんな人達なんだろう?
「ちなみに状況はどうなっているか分かる?」
『少々お待ちを……。状況はハンター側が押されているようです。どうやら1人重傷の者がおり、その者を庇いながら戦っている為と思われます』
あまりよろしくない状況のようだ。助けた方がいいのかな? こういった場合どうするのが一般的なのか、迷宮初心者の僕には判断が付かない。
「セバスさん。こういった場合は助けに行ってもいいんですかね?」
『状況にもよりますが今回の場合、このままいけば全滅もあり得ますので、助けられた方がよろしいかと』
危ないんだ! ちょっと急いだ方がいいな。
「分かりました。すぐに向かいます。セバスさん案内お願いします」
『畏まりました』
という事で僕はセバスさんの案内で戦闘中のハンターの下に走った。
移動を開始して約3分。僕の耳に魔物の咆哮が聞こえてきた。近い! 僕は走りながらいつでも攻撃できるよう魔法で雷の槍を準備する。
『そこの角を左に曲がった所です』
僕はそのまま走りながら曲がり角を左に曲がる。するとそこにはタイガー・ベア2体と戦う3人の女性の姿が有った。
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カエサル迷宮にこもってから4日目。今日の昼過ぎに4層を攻略し、ついに5層の攻略に入っていた。ここまで来るのにタイガー・ベアを始め、ホーンスネーク、ダークスパイダー、グレートホーンなど100レベル前後の魔物を複数倒しレベルもついに110に上がった。
そして現在の僕は迷宮の廊下を全力疾走している。後ろを見ると体長2mを超える複数の赤色の狼、ファイアウルフが追いかけて来ていた。
なぜこうなったのか。事の起こりは、2体のファイアウルフに遭遇した事だ。ファイアウルフのレベルは93、この迷宮でも一番低いレベルの魔物らしい。2体とはいえ自分より17もレベルが低い相手、何とかなるだろうと思い安易に近づいた。すると、1体のファイアウルフが俺に向け猛然と襲い掛かって来た。当然僕も迎撃する為武器を構え、ファイアウルフの体を一刀両断し倒すことに成功した。ここまでは完璧だと自分でも思う。だがしかし
そこで僕はある事に気が付いた。あれ? もう一体は?
さっきまでもう1体いたはずのファイアウルフがどこにも見当たらない。その時はどこかに逃げたのだろうと思い先に進む事にしたのでが。それからわずか10分後、僕は迷宮を全力疾走する事になったしまた。
まあ、簡単に言えば仲間を呼ばれたみたいなんだよね。しかも6体も。つまり今、僕は合計7体のファイアウルフから逃げている最中なのです。さすがにレベル差が17あっても7体はヤバいです。
「レヴィ、セバスさん今回は流石に無理! 助けて!!」
『大丈夫! クラウドなら出来る!』
『今のクラウド様ならこの危機も乗り越えられるでしょう』
どうしてそんなに僕の事を過大評価するかな。
「せめて、クイだけでも助っ人で出してください。それなら何とかなりますから!!」
『……、畏まりました。今回は許可致しましょう』
やった―!! 言ってみるもんだ。
「じゃあ、クイ。僕の指示で人化して狼どもに氷属性魔力で強化した矢を撃ちまくって」
『了解です』
僕はそのまま迷宮の廊下を走る。丁度良さそうな直線が続く廊下を見つけるとそこに飛び込み身体能力強化の魔法を掛け一気に加速して、狼どもから距離を取る。距離が出来た事を確認すると自分のすぐ後に土魔法で簡単な土の壁を創った。どうせすぐ壊されるがこれで数十秒だが時間が作れる。
再びその魔法の土壁から距離を取ると、僕は土壁の方を向き構える。ここでクイに人化してもらい一緒に反撃の準備をする。僕は魔法で氷の槍を複数展開し、クイは氷魔法属性の矢を複数番える。
「準備はこれで充分。いつでもきたまえ、ファイアウルフどもめ」
と強がって見てもドキドキは止まらない。やがて土壁にヒビが入りつい壁は砕かれ崩壊した。
「撃て――!!」
俺の掛け声とともに青白く光る無数の氷の槍と矢は一斉に7体のファイアウルフに降り注ぐ。俺とクイはそれだけで終わらず、第二弾、第三弾と次々氷の槍と矢の雨をファイアウルフの下に降らせていく。
最初の攻撃から約30秒が過ぎた頃、ファイアウルフがいた所には魔石と赤い毛皮、そしてオレンジ色の牙が7個ずつ残されているだけだった。
おお、思ったよりも圧勝だったかな? クイもいたし、弱点属性も突いたからこその圧勝だったね。
『これなら、次はクラウドだけで充分だね』
『そうですね。今のクラウド様なら問題ないでしょう』
うわ! しまった。圧勝し過ぎた。このままだと、どんどん要求がきつくなりそうだ。
◇ ◇ ◇
それから落ちている魔石や素材を回収しているとセバスさんから報告が入る。
『ここから3分ほどの距離で2体魔物と3名のハンターが戦っているようです』
ハンターか。カエサル迷宮に入ってから初めてだな。どんな人達なんだろう?
「ちなみに状況はどうなっているか分かる?」
『少々お待ちを……。状況はハンター側が押されているようです。どうやら1人重傷の者がおり、その者を庇いながら戦っている為と思われます』
あまりよろしくない状況のようだ。助けた方がいいのかな? こういった場合どうするのが一般的なのか、迷宮初心者の僕には判断が付かない。
「セバスさん。こういった場合は助けに行ってもいいんですかね?」
『状況にもよりますが今回の場合、このままいけば全滅もあり得ますので、助けられた方がよろしいかと』
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「分かりました。すぐに向かいます。セバスさん案内お願いします」
『畏まりました』
という事で僕はセバスさんの案内で戦闘中のハンターの下に走った。
移動を開始して約3分。僕の耳に魔物の咆哮が聞こえてきた。近い! 僕は走りながらいつでも攻撃できるよう魔法で雷の槍を準備する。
『そこの角を左に曲がった所です』
僕はそのまま走りながら曲がり角を左に曲がる。するとそこにはタイガー・ベア2体と戦う3人の女性の姿が有った。
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