43 / 69
第六章
第62話 開戦
しおりを挟む
ブックマーク&ポイントありがとう御座います。
********************************************
あれは1年程前だった。俺はブリンテルト王国、大森林方面防衛軍第二軍々団長として、国王に招集され王城に赴いた。
そこには俺だけでなく、王国中の軍事面の幹部がほぼ全員揃っていた。
しかし、俺も含め皆、招集された理由も分からず、困惑気味の様子だった。
やがて国王が、一人の中年の男と共に現れた。
その男とは、かつてブリンテルト王国最高の魔術師と言われた男、ローレンツ卿だった。
そして俺たちがここに招集された理由――ローレンツ卿がもたらした情報は、とてもじゃないが簡単に信じられるような内容ではなかった。
――邪神復活――
そして、1年後に起こる邪神の完全覚醒。
そんな眉唾物の情報を正直信じられなかった。しかし、1年後に予想されるという完全覚醒した邪神に対抗するため、俺達は集められ、軍の増強を王命として仰せつかった。
王命である。例えそれが信じられない内容であったとしても、俺たちはその為に全力を尽くさねばならない。
それから俺たちは、軍の上層部以外には邪神復活を秘密にしながらも、兵を集め、鍛え上げてきた。それは我国だけでなかった。あの真偽の程が不明な情報に、世界中の国々が行動を起こした事に正直驚きを禁じ得ない。
各国が軍備拡張を進める中、ローレンツ卿が言う1年が過ぎようとしていた。
◇ ◇ ◇
俺の視界には、見渡す限りの魔物の群れ……、いや、魔物の軍がブリンテルト王国の領土内に侵入してきている。
「いよいよ、きたか……」
一ヶ月前にそれは突然始まった……
その日は、暖かく過ごし易い日だった。天気は快晴、流れる風も穏やかだった。なのに、体の芯からくる震えを抑える事が出来なかった。
世界中の人々は一斉に感じたのだ。
暗く澱んだおぞましい気配。そして、他を圧倒する濃密な闇の気配。光に属する者にとって最悪の存在が現れた事を。
その日から世界は一変してしまった。
世界中で魔物がより凶暴化し、大きな群れとなって村や街を次々に襲い始めたのだ。
我らブリンテルト王国軍は、それらの魔物を討伐しながら各地を転戦した。
しかし、それはこれから始まる邪神軍との戦いにおいて、ただの前哨戦でしかなかった。
そして今、邪神軍は本格的な侵攻を開始したのだ。
ついに本格侵攻を開始した邪神軍は、多種多様な魔物で構成されていた。
オーガやトロールなどの人型から、ウルフやタイガー、ベアーなどの獣型、そして異形の化物まで、その数は1万を優に超える。
それを迎え撃つのは、ブリンテルト王国大森林方面防衛軍全五軍、二万。そしてハンターギルドから集められた義勇兵、五千。総数二万五千の大軍だ。
俺が指揮する森林方面防衛軍第二軍は今回の戦場において前線に配置されていた。
「閣下。邪神との戦闘状態に入りました」
最前線から報告が入る。視線の先では既に戦塵が上がり始めている。ついに邪神軍と初の本格的な戦争が始まったのだ。
序盤の戦いは優勢に展開出来ていた。俺が率いる第二軍は各隊が常に連携し、次々押し寄せる魔物を各個撃破していく。
強力な個の力を、訓練で培った連携でねじ伏せる。そんな戦いが序盤に展開されていた。だが、突如現れた黒い軍団によって、戦況は一変する。
僅か300体ほどの黒い軍団。――細く長い手足に黒い体、そしてコウモリのような翼を持つ魔人。その双眸は赤く光り、それが何者であるかを我らに知らしめる。
――魔族――
その姿は伝説にある魔族の姿。レッサーデーモン。
魔族において下位に当たるレッサーデーモン。だが、下位と言ってもそれは魔族としてだ。文献に残されたレッサーデーモンのレベルは150。あのオーガロードを超える強さを持った化物が300体。そして更に文献にはこうある。――邪神の完全覚醒がなされた時、魔族の力はより高く引き上げられると――どれだけ力が引き上げられているか分からないが、正直洒落にならない存在だ。
黒い軍団が参戦してから、戦場は奴等の蹂躙の場と変わり、それに伴い邪神軍の反転攻勢が始まった。
今まで完璧に機能してきた陣形は崩壊し、各隊の連携もままならなくなる。
魔族は指揮官を狙い襲ってくる為、指揮系統は混乱し立て直しも撤退もままならず、兵は次々と命を失っていく。
一時撤退を指示したが、とてもじゃないが全軍に伝わりそうにもない。それどころか今では俺が居る場所すら混戦の中にあった。
完全に俺のミス。判断の遅れが今の状況をつくってしまった。
後悔の念が押し寄せる中、俺は少しでも状況を改善させようと指示を飛ばし、自らも前にでて戦う。だが、指示は混戦の中かき消され、組織だった抵抗がますます出来なくなっていく。
このままではジリ貧だ。
序盤の戦いが上手く進んだ為に、敵の戦力を甘く見てしまった。自らの戦力を過信していた。俺自身の無能さに怒りすら込み上げてくる。
かくなる上は、この身を犠牲にしてでも、一人でも多くの部下をこの戦場から生かして返してみせる。
――そう思った時だった――
ドラゴンのブレスのような赤い閃光が、邪神軍を横断するように走った。続いて邪神軍に立ち上る巨大な炎の壁。
「な、なんだ、あれは……」
炎の壁が燃え上がる中、新たな驚きは俺のすぐ近く起こった。
それは先ほどの邪神軍を襲った閃光と違い、矢のような細い閃光だった。赤く光るその閃光は戦場に雨のように降り注ぎ、次々と魔物だけを撃ち抜いていく。
「今度はなんだ!?」
状況が分からないまま、状況が好転していく。
なにが起きている? 降り注ぐ閃光の元を求めて目で追う。そして――
そこには少年が居た。漆黒の鎧とマントを纏、漆黒の盾を持った亜麻色の髪をした少年。その少年が美しい白いペガサスに乗り、無数の閃光を魔物に向け次々と撃ち出していたのだ。
「あれは……、もしかして黒の勇者か……」
黒の勇者。それは、邪神が覚醒してから突如として現れた最強の戦士。その戦士は各地の戦場に現れ、次々に魔物を殲滅しては何も言わず、また別の戦場に向け立ち去っていくという。
その最強の存在が今この戦場に現れたのだ。
************************************************
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ブックマークや評価ポイントを頂けると、とても励みになります。
アルファポリス様でランキング参加する事にしました。下のバナーからよろしくお願いします。
********************************************
あれは1年程前だった。俺はブリンテルト王国、大森林方面防衛軍第二軍々団長として、国王に招集され王城に赴いた。
そこには俺だけでなく、王国中の軍事面の幹部がほぼ全員揃っていた。
しかし、俺も含め皆、招集された理由も分からず、困惑気味の様子だった。
やがて国王が、一人の中年の男と共に現れた。
その男とは、かつてブリンテルト王国最高の魔術師と言われた男、ローレンツ卿だった。
そして俺たちがここに招集された理由――ローレンツ卿がもたらした情報は、とてもじゃないが簡単に信じられるような内容ではなかった。
――邪神復活――
そして、1年後に起こる邪神の完全覚醒。
そんな眉唾物の情報を正直信じられなかった。しかし、1年後に予想されるという完全覚醒した邪神に対抗するため、俺達は集められ、軍の増強を王命として仰せつかった。
王命である。例えそれが信じられない内容であったとしても、俺たちはその為に全力を尽くさねばならない。
それから俺たちは、軍の上層部以外には邪神復活を秘密にしながらも、兵を集め、鍛え上げてきた。それは我国だけでなかった。あの真偽の程が不明な情報に、世界中の国々が行動を起こした事に正直驚きを禁じ得ない。
各国が軍備拡張を進める中、ローレンツ卿が言う1年が過ぎようとしていた。
◇ ◇ ◇
俺の視界には、見渡す限りの魔物の群れ……、いや、魔物の軍がブリンテルト王国の領土内に侵入してきている。
「いよいよ、きたか……」
一ヶ月前にそれは突然始まった……
その日は、暖かく過ごし易い日だった。天気は快晴、流れる風も穏やかだった。なのに、体の芯からくる震えを抑える事が出来なかった。
世界中の人々は一斉に感じたのだ。
暗く澱んだおぞましい気配。そして、他を圧倒する濃密な闇の気配。光に属する者にとって最悪の存在が現れた事を。
その日から世界は一変してしまった。
世界中で魔物がより凶暴化し、大きな群れとなって村や街を次々に襲い始めたのだ。
我らブリンテルト王国軍は、それらの魔物を討伐しながら各地を転戦した。
しかし、それはこれから始まる邪神軍との戦いにおいて、ただの前哨戦でしかなかった。
そして今、邪神軍は本格的な侵攻を開始したのだ。
ついに本格侵攻を開始した邪神軍は、多種多様な魔物で構成されていた。
オーガやトロールなどの人型から、ウルフやタイガー、ベアーなどの獣型、そして異形の化物まで、その数は1万を優に超える。
それを迎え撃つのは、ブリンテルト王国大森林方面防衛軍全五軍、二万。そしてハンターギルドから集められた義勇兵、五千。総数二万五千の大軍だ。
俺が指揮する森林方面防衛軍第二軍は今回の戦場において前線に配置されていた。
「閣下。邪神との戦闘状態に入りました」
最前線から報告が入る。視線の先では既に戦塵が上がり始めている。ついに邪神軍と初の本格的な戦争が始まったのだ。
序盤の戦いは優勢に展開出来ていた。俺が率いる第二軍は各隊が常に連携し、次々押し寄せる魔物を各個撃破していく。
強力な個の力を、訓練で培った連携でねじ伏せる。そんな戦いが序盤に展開されていた。だが、突如現れた黒い軍団によって、戦況は一変する。
僅か300体ほどの黒い軍団。――細く長い手足に黒い体、そしてコウモリのような翼を持つ魔人。その双眸は赤く光り、それが何者であるかを我らに知らしめる。
――魔族――
その姿は伝説にある魔族の姿。レッサーデーモン。
魔族において下位に当たるレッサーデーモン。だが、下位と言ってもそれは魔族としてだ。文献に残されたレッサーデーモンのレベルは150。あのオーガロードを超える強さを持った化物が300体。そして更に文献にはこうある。――邪神の完全覚醒がなされた時、魔族の力はより高く引き上げられると――どれだけ力が引き上げられているか分からないが、正直洒落にならない存在だ。
黒い軍団が参戦してから、戦場は奴等の蹂躙の場と変わり、それに伴い邪神軍の反転攻勢が始まった。
今まで完璧に機能してきた陣形は崩壊し、各隊の連携もままならなくなる。
魔族は指揮官を狙い襲ってくる為、指揮系統は混乱し立て直しも撤退もままならず、兵は次々と命を失っていく。
一時撤退を指示したが、とてもじゃないが全軍に伝わりそうにもない。それどころか今では俺が居る場所すら混戦の中にあった。
完全に俺のミス。判断の遅れが今の状況をつくってしまった。
後悔の念が押し寄せる中、俺は少しでも状況を改善させようと指示を飛ばし、自らも前にでて戦う。だが、指示は混戦の中かき消され、組織だった抵抗がますます出来なくなっていく。
このままではジリ貧だ。
序盤の戦いが上手く進んだ為に、敵の戦力を甘く見てしまった。自らの戦力を過信していた。俺自身の無能さに怒りすら込み上げてくる。
かくなる上は、この身を犠牲にしてでも、一人でも多くの部下をこの戦場から生かして返してみせる。
――そう思った時だった――
ドラゴンのブレスのような赤い閃光が、邪神軍を横断するように走った。続いて邪神軍に立ち上る巨大な炎の壁。
「な、なんだ、あれは……」
炎の壁が燃え上がる中、新たな驚きは俺のすぐ近く起こった。
それは先ほどの邪神軍を襲った閃光と違い、矢のような細い閃光だった。赤く光るその閃光は戦場に雨のように降り注ぎ、次々と魔物だけを撃ち抜いていく。
「今度はなんだ!?」
状況が分からないまま、状況が好転していく。
なにが起きている? 降り注ぐ閃光の元を求めて目で追う。そして――
そこには少年が居た。漆黒の鎧とマントを纏、漆黒の盾を持った亜麻色の髪をした少年。その少年が美しい白いペガサスに乗り、無数の閃光を魔物に向け次々と撃ち出していたのだ。
「あれは……、もしかして黒の勇者か……」
黒の勇者。それは、邪神が覚醒してから突如として現れた最強の戦士。その戦士は各地の戦場に現れ、次々に魔物を殲滅しては何も言わず、また別の戦場に向け立ち去っていくという。
その最強の存在が今この戦場に現れたのだ。
************************************************
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ブックマークや評価ポイントを頂けると、とても励みになります。
アルファポリス様でランキング参加する事にしました。下のバナーからよろしくお願いします。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる