僕の装備は最強だけど自由過ぎる

丸瀬 浩玄

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第七章

第85話 伝説級の魔物を蹂躙しよう

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「ハッ!!」

 僕が剣を一閃すると、眼前に迫っていた邪竜帝アジ・ダハーカの体は真っ二つになる。

 持つ剣はレヴィの魂が抜けた抜け殻のようなモノだが、それでもヴァルハラでパワーアップしたレヴィならば、例え魂の抜け殻であっても昔あの迷宮でアジ・ダハーカと戦った時のレヴィよりも強力な剣へと進化している。

 当然僕自身も半神人デミゴッド化して、以前とは比べものにならない程力が増している。

 その二つの力が合わされば、当時ですら1分も掛からなかった相手だ、瞬殺という結果は当然だったみたいだ。

 体を真っ二つされたアジ・ダハーカは、その巨体をまるで大木が倒れるようにゆっくりと傾け大きな音を立て倒れる。その後しばらく痙攣をしていたようだがやがてそれも無くなり、全く動かなくなった。

 僕はその様子を視界の隅で確認しながら次の獲物に襲い掛かり仕留めて行く。

 魔物の数は多い。アジ・ダハーカクラスの魔物が視界を埋め尽くしている。例えアジ・ダハーカを倒したからと言ってホッとしている時間は無いのだ。


 そんな僕に新たに襲い掛かって来たのは、白色の毛並みが美しい巨大な虎だった。普通の虎の3倍はありそうな体躯をした虎がまるで空中を駆けるように僕に迫って来ていた。

 そんな白虎の頭を盾で殴りつける。

 グシャリと何とも言えない嫌な感触が盾を通して伝わると、白虎の頭は熟れた果実が地面に落ちたように破裂し、そのまま下へ落下していく。

 そんな白虎の姿を最後まで見届ける事無く、素早くその場から離れる。すると、今まで僕が居た場所を一筋の閃光が通り過ぎる。

 その閃光を辿り、攻撃した者に目を向ける。

 そしてそこには巨大な蛇が居た。

 一つの体に8つの頭を8つの尾を持った巨大な蛇。いや、アレは蛇では無く蛇龍か。

 その大きさ、そして漂わせる存在感、どちらも邪竜帝アジ・ダハーカに勝るとも劣らない強大な龍。始めて戦う相手だが、強敵と言って差し支えない相手かな。ただ、強いと言っても所詮はアジ・ダハーカクラス。正直僕の相手じゃない。

 僕は剣に風の神気を纏はせる。魔剣レヴィが緑色のオーラに包まれるのを確認すると、そのまま纏わせた神気を解放するように剣を振り抜く。

 剣の一振りにより解放された風の神気は、不可視の刃となって八頭龍に襲い掛かりその長い8つの首をいとも簡単に刎ねていく。

 トドメに剣をもう一振りすると、8つの頭部を失いながらも立ち続けていた胴体分の真っ二つに斬り裂いた。



 八頭龍を倒した僕は、次の標的に目を向けながらも周りの戦況を確認していく。

 最初に目を向けたのはレヴィ。

 見る限り予想通りの強さのようだ。

 眼前に迫った巨大な蛇の牙を、踊るように躱すと一瞬のうちにぶつ切り状態にしてしまった。相変わらずとんでも無いと強さだと思う。

 強さ的には、今の僕なら能力差で絶対勝てると思うけど、実際同じ能力値で勝負したら絶対勝てないと思う。いや、マジで……。

 まあ。経験の差があるから当然と言えば当然なんだろうけど。

 あっ! 後ろからこっそり近づいていた蜘蛛型の魔物が蹴り一発で爆散してしまった。もう流石蛾としか言いようがないね。


 さて、レヴィは特に問題無いとして次はセバスさんの様子を見てみよう。

 セバスさんは空中に飛んで、戦場全体を見下ろしながら火炎弾のような魔法をそこら中に撃ちまくっている。

 どうやら、炎系の魔法のようだが、威力がハンパない。

 今もレヴィに近づこうとしていた巨大な蟻型の魔物に向けて一発撃ち込んでいるが、直撃された蟻はまるで超高熱の溶岩でも浴びせられたように急激に溶解して行っている。

 ふつう、あのランクの魔物は、いくら溶岩を掛けられたとしても、そう簡単に溶けに筈なのにあんなに簡単に溶ける事を考えると、あの火炎弾、異常に高温なんだろと思う。

 そんなセバスさんを危険と判断したのか、ワイバーン程もある巨大な鳥がセバスさんの死角から襲い掛かろうと突撃して行く。

 だがしかしセバスさんは、そちらに視線を移す事無く、風魔法の刃を鳥の向け撃ち込みそのまま地上の魔物に向けても火炎弾の雨を降らせる。

 当然の風の刃を受けた鳥の魔物は、今の一撃で真っ二つになりそのまま落下して行く。一応あれでもレベル500クラスの化物なんだけどね……

 地上の火の海と相まってまさに絵に描いたような蹂躙劇ですね。


 続いてはイジスさんの様子かな……

 って、これは凄いね……

 何処から出したのか、いつの間にかイジスさんの右手には、イジスさんの身の丈の3倍はありそうな巨大な剣が握られている。そしてその剣を一振りする度に、魔物の血で創られた水たまりが池のように拡大して行っている。

 全身に返り血ちと肉片を浴びて真っ赤に染まるイジスさんの姿は中々にエグイ。少し引くレベルだ。

 それに右手に握られた大剣。あんな巨大な剣を右手一本で振りまわすって、違和感がハンパない。まさに武神いった感じだ。まあ、僕も出来るっちゃ出来るけど……

 そんな大剣をイジスさん一振りするごとに血飛沫が上がり、魔物達の断末魔の悲鳴が響き渡って聞こえてくる。

 その度に足元の広がる血の池は拡大をし続け、大量の魔物死骸がそこら中に転がる。中々に凄まじい光景になっていると思う。

 確かイジスさんって、盾だったはずなのに今回の戦闘では一切盾を使って無いようだけど、やっぱり実力差があり過ぎて使う必要無しって感じなんだろうか? 恐らくそうだろうな……

 という事でイジスさんも問題無し。


 では次を見てみようかな。
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