合成獣少女の異世界譚

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 「ちょっといーい? ──さん」

 「…何ですか」

 クラスの中でも成績の悪いグループの女子たちが気色の悪い猫なで声で話しかけてくる。こういう時に言われることはいつも決まっている。

 「悪いんだけどー、ウチら忙しいからさー、この宿題やっといてくんない?」

 「──さん天才だからこんくらいすぐに終わっちゃうよねー」

「そうそう、わたしたちとは頭の出来ってやつが違うからねー。あ、もう行かなきゃだから、よろしくねー?」

 断る間もなく彼女たちは教室から出ていった。まあ断る気はなかったから余計なことをされる前に行ってくれただけ良かった。

 さて、そうなると早めに帰らないと行けなくなったな。学校の中でやってたら中途半端な正義感を持った連中に見つかった時に面倒だ。
 そう判断して支度を済ませ教室を出て少し歩くと下級生の姿が見えた。

 「うわ、なんだあれ、絆創膏とか包帯だらけ。コスプレか?」

 「バカ、声がでけぇよ! あれ全部本物だよ、あんま関わんねぇ方が良いぞ、面倒くせぇ事になるだけだからな。学校中の不良にいじめられてるらしいぜ、巻き込まれたらたまんねぇよ」

 「ああ、まああんな状態でも可愛い顔してんの分かるからな、目ぇつけられるのも分かるわ。…やっぱヤることヤってんのかね?」

 「さあな、それでもおかしくはないと思うけど。どちらにしろ俺らが手を出せるような相手じゃねぇだろ」

 「ははは! 違ぇねぇや!」

 なかなかに下品な陰口を叩きながら去っていった。…あ、ちなみにまだそういう経験はない、危ないときもあるが上手いことかわしている。しかし…

 「はぁ、今日も来てたらどうしようかな…」

 母さんはたびたび家に男を連れ込んで来る。多い時には十人ぐらい来ていたっけ。
 しかも父さんがいようがいまいがお構い無しだからなおさらたちが悪い。基本小心者だからなぁ…

 父さんは母さんが男を連れ込む時には私を家から遠ざける、故に私が連中に言い寄られた事は一度もない。
 といっても、それは私を男から守る為とかではない。父さんもまた、私を狙ってる訳だ。まあ実際に襲う勇気があるかというと話は別だ。
 つまるところそういう方面に関しては今までは比較的安全だったのだが…

 「チッ、母さんめ、父さんのいない隙を狙ったな。私を売るように頼まれたか?」

 当然だが父さんが家にいない日だってある。そういう時の為に父さんの予定をチェックしていたんだが、母さんに脅されでもしたのか今日の情報は手に入ってなかった。
 普段は話しかけても反応すらしない癖に、こういう時の根回しはしっかりしてるとはね。

 「まあ帰ってきたのに気づかれてはいないみたいだし、図書館にでも行けば─」

 「お、嬢ちゃんがここの子?」

 ッ!? 突然後ろから聞こえた声に驚き振り向くとそこには三人の男が気持ち悪い笑みを浮かべながら立っていた。…まずい、これじゃあ脇を通り抜けて逃げることもできない。

 「うわ、めっちゃ傷だらけじゃんw。何、いじめられてんの?」

 「でも結構かわいくね? 俺は全然イケるわ」

 「まあ立ち話もなんだしとりあえず入ろうぜ。鍵、持ってるよね、開けてくんない?」

 「…はい」

 この場から逃げることはできそうにない、その時までに打開策でも浮かべばいいが、駄目そうなら…諦めるしかないだろう。
 妊娠でもしたら産むにも下ろすにも金はかかるし、将来的にもデメリットが多すぎる。本当に面倒な事になった…

 「ねぇねぇお嬢ちゃん名前は?」

 「…──です」

 「──ちゃん処女?」

 「…そうです」

 「好みのタイプとかはある?」

 「…いえ、別に」

 母さんがいるであろうリビングへ行く間にも男たちは下世話な質問は投げかけてくる。適当に答えつつリビングの扉を開けるとそこには惨状が広がっていた。

 「─あっ、あんっ、あぁっ!」

 「もっと締めろやババア! 緩いんだよ!」

 「あぁぁん! もっと、もっとぉぉ!」

 「ぶはは! こいつラリっちまってて何も聞いてねぇな!」

 「どうせならもっと打ってみようぜ、どうなるか見てみてぇ!」

 …正直想像以上に酷い。私は今からあんなのに混ざらなきゃいけないのだろうか。

 「おーいお前ら、一旦止めてこっちちゅうもーく」

 私を連れてきた男の一人がリビングにいた男たちを呼ぶと母さんを犯していた連中も含めて全員がこちらを向いた。この男はリーダーの様な立場なのだろうか。

 「よーし、お前らよく聞け。この嬢ちゃんがそいつの娘の──ちゃんだ。遊ぶのはいいが壊しちまわないように気をつけろよ。薬も少しにしとけ、その女と違って若い分脆いからな」

 「アニキ! 穴空けたり、中に出したり、ケツを使ってもいいんですかい?」

 「おう、ただ完全に壊したり、傷を拡げたりすんじゃねぇぞ。傷が治りゃ売りもんにもなるかもしれねぇからな。んじゃ、オレはちょっくら用があるから出てくるわ」

 「へい! ありがとうございやすアニキ!」

 そう言うとリーダーの男は去っていった。後に残るのは私と盛りきった男たちと頼りにはなりそうもない母さんだけだ。

 「へへへ、それじゃあ──ちゃん、おとなしくしてくれよ?」

 男たちは私の方を向くと肩に手を置き押し倒してくる。そしてすぐさま服を剥いていった。

 「ヒュー、最近のいじめは怖ぇなぁ。体中傷だらけだぜ。気をつけにゃぁアニキに怒られちまうよ」

 「つーかやけにおとなしいな? もうちょっと抵抗とかない訳?」

 「…抵抗したら余計酷いことになりそうなので」

 「かー、顔はかわいいのにかわいげがねぇなぁ! …でもそうやってクール気取ってると余計にいじめたくなるってのも覚えといた方がいいぜ?」

 「─っグ!?」

 腹部に痛みが走る。喉を込み上げてくるのを感じるがなんとか耐えた。殴ってきたりはしないと安心していたのだけどね。

 「お、おい何してんだよ」

 「だいじょぶだって。こんだけ傷だらけなら一発くらいバレねぇよ」

 「それより早く下着も脱がしてくれよ、もう我慢できねぇ!」

 「わかってるっつーの。ほーれご開帳だ!」

 その言葉と同時に乳房と秘部が露になる。
 …思っていたほど何かを感じることはなかった。こういうのは羞恥心や不快感を覚えると知識にはあったのだが、そういう感情に疎いのだろうか。

 「うっは、たまんねぇなこのちっぱい!」

 「うわ出たよこいつの貧乳好き」

 「つーかちっぱいって言えるほどの胸もなくね?」

 「──ちゃん、もっと栄養とった方が良いよ?」

 「おお、こっちもつるっつるだな。まるっきり幼児体型だぜ」

 「へー、毛がないとさわり心地もいいし超ぷにぷにしてんな!」

 男たちは無遠慮にベタベタと触ってくる。これにはさすがに僅かばかりの不快感を覚えた。

 しばらく体を触られていると一人の男が性器を取り出してこちらへ来た。

 「もう限界だ、オレが最初に挿れる!」

 「はぁ!? ちょっと待て順番を決めてからだろ!」

 「うるせぇ! お前らが遅ぇのが悪いんだ!」

 そう言うと男は私の股間の辺りに性器を向けて座り込む。そして性器同士が触れ合う。
 …いよいよか。私は数秒後に訪れるであろう痛みに身構えた。

 男が腰を突き出す、その瞬間。…そこで私の記憶は途切れている。
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