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高校だし 球技大会
①
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「恭は球技大会、何出るかクラスで決めた?」
今日はクラスで球技大会の話しをした。俺はちょっとワクワクしている。
「あぁ、今日の午後はその話しだったな。圭吾は何にしたんだ?俺はサッカー。とりあえず人数いるし、適当に出来そうだから」
適当って恭。あいかわらずだな。
なんか生徒会がごたついてるとか、色々聞くけど。俺たちにとっては関係なくて。
やるっていう行事である球技大会が、無くならなきゃそれで良い。みたいな感じ。
恭は桐生生徒会長のこと、気にしてるかもしれないけど。俺たちの話題にはならない。恭が話さないだけかもしれないけど。
「俺もサッカーなんだよ。バレーとかバスケ飛ぶじゃん?俺が出たら駄目って言われてさ。そんでテニスはラケットも持ったこと無いから、サッカーにした」
何か力の加減とか色々で、駄目だって言われてるクラスの人間結構いた。
あれは駄目、これは駄目って能力で駄目出しされるとか思わなかった。
「あー、なんか俺のクラスも有ったな、そういうの。力加減出来ないと、けがしたりさせたりするからって、制限かかるみたいだな」
やっぱ霊能力者クラスでも有るんだな。
部活なんかでやってる人は、力加減を間違えないようにが、一番最初にやることらしい。
普通は体力作りじゃないのか、って思ったけど。大会とかも出るとなると、俺たちみたいな力が有るとある意味反則だもんな。
「制御出来てなくて、駄目だって言われるのは仕方ないかなぁって。俺の課題はそこだしさ」
一年はやっぱり俺みたいなの多くて、制限に引っ掛かるクラスメイトは多かった。
「忍先輩が、生徒会ゴタゴタしてるから、球技大会大変かもって」
あ、桐生会長と話しはできたんだ。
しかも名前で呼んでる。先輩は付いてるけど。
「そうなんだ。俺にまで噂回ってくるくらいだから、相当大変なんだなとは思ってた」
桐生会長と恭のことは、俺は立ち入れない話し。
だから、話題になるなら生徒が知ってることを話すくらいだよな。
「柳のことが有って、何度か話す機会は有って。でも生徒会で忙しいからって、あんまり長くは話せないかな。リコールも出るかもって」
「え、それは桐生会長がリコールされるってこと?」
柳ってのは、元魔物だ。なんかその前は、青海と同じだったみたいだけど。
前世については、俺はわからないことだから。
「いや、忍先輩と副会長以外の役員が、リコール対象って。仕事してないらしいぞ」
ただ球技大会が控えてるから、すぐにはリコールにはならないらしいって。
球技大会後の、夏休み前かな。夏休み過ぎたら今度は体育祭だし。
「夏休みの間に、体育祭準備始めるから、夏休み前なんだろうな。仕事してないなら、リコールってわかるし。ただゴタゴタして、球技大会で生徒に迷惑かけなきゃ良いけどって言ってた」
桐生会長って、本当に生徒のこと考えてるよな。
「俺は球技大会無くならなくて良かったと思ってるよ。全校でやる最初の行事じゃん?」
というか、学年の行事も無いけど。
一学年二クラスだしね。三年は修学旅行とか、有ったりするんだろうか。
「まぁな。あんま忍先輩に無理してほしくはないけど。副会長とか、風紀と保健は忍先輩の味方みたいだから、大丈夫だってさ」
恭は桐生会長のこと、気にかけてるんだな。
俺も、桐生会長だけが無理してる状況だったら、嫌だけど。
「そっか。何も起こらなきゃ良いね」
前みたいにゴタゴタし過ぎるの、やっぱり困るからさ。
「そうだな」
恭はちょっと苦い顔してる。
でも俺たちが生徒会のこと考えても、どうしようも無いってわかってはいるんだ。
だから恭はそれ以上は言わなかった。
※
信じられない。
仕事してないって、だって後期はそんなに仕事無いじゃない。
八木崎君だって、何も言わなかったし。それって無いからなんでしょ?
桐生が会長にならなきゃ、私が副会長だったのに。
隣のクラスでも話題にさえなってなかった桐生忍。彼女がいきなり会長になんて、ならなきゃ良かったのよ。
ま、良いわ。仕事なんて、球技大会が最初のようなものだったし。
八木崎君だって、あんなこと言ってたけど、自分が会長じゃないの、怒ってるに決まってるし。
球技大会の資料が出来て無くて、保健や風紀に糾弾されるところを、合同会議で見るはずだったのに。
何、あれ。
仕事してました?資料出来てます?
だから私たちを呼ばなかった?
必要ない?
ふざけんじゃないわよ。
球技大会で、人手が足りなくてボロボロの生徒会を、見せれば良いわ。
手伝ってなんてやるもんですか。
私をないがしろにした報い、受けたら良いのよ。
役員どもはわかっていない。
大方後期に仕事が無いとでも、思ってたんだろう。
だが、誰が器物破損だのけんかだのの、報告書類をまとめて職員に出してたと思ってるんだ?
八木崎がやっていた。そういうことだ。
後期から、奴らが仕事してないとは知っていた。
が、それは八木崎が考えるべきことだろうと、俺はただ報告書類を生徒会に提出していただけだ。
前期になれば、必要だと動くだろうと、八木崎も考えていたんだろう。
そこで出て来たのが桐生忍だ。アイツはクラスでも力の無い方と位置付けられていた。
蓋を開けてみたらとんでもない力の持ち主だった訳だが。
こんなことは、よく有ることだろう。力の有る者が、会長になる。だから桐生が選ばれた。
自然な流れだと思った。
会長職に慣れる為にと、卒業式から桐生の仕事になった。
反発したのは、元副会長くらいだっただろうと推測している。桐生が出たから、奴は会計になったからな。
だからと言って、他の役員を先導して仕事を放棄して良いという話しは無い。
八木崎の目論見は外れ、奴らは余計に仕事をしなくなった。生徒会室にさえ、行かなくなった。
それは知っていたが。八木崎がわざわざ昼休みに時間を割いて、仕事をしていたのも知っていた。
桐生がしっかりとした引き継ぎもなく、それでも会長職をやっていたのも知っている。
書類を出しに行けば、桐生が居たからな。後期は八木崎が居た。前期は桐生だ。
後期も前期もとおして、会長しか仕事をしていないのは明白だった。
球技大会の資料は、しっかりした物が出来ていた。こちらからの訂正など要らないほどに。
前年度の資料を見て、桐生が作った物に、八木崎が意見を出して作り上げたんだろう。
奴らは呼ばれなかったことを怒ったが。奴らが来てたとしても、何の役にも立たないのは八木崎の言ったとおりだ。
奴らは勘違いしている。資料がたとえ出来ていなかったとして、攻められるのは桐生じゃない。
穴の有る資料は、本来の仕事をすべき会計や書記が、仕事をしていないことを証明する以外のことを示さない。
本来仕事をすべき奴らが居たとして、穴の有る資料だったとして。奴らは質問に答えられたのか?
否だ。前年度の資料さえ見てないだろう。今年度の予算も見ていないだろう。
そんな奴らが、質問されて答えられるかと聞かれたら、無理だろうの一言だ。
自分のしていることの愚かさに気付かない。
だからこそ、桐生は会長権限での役員入れ替えを視野に入れた。
俺も風紀として、リコールを視野に入れている。
奴らが役員でいられるのは、球技大会の間までだ。それ以上は、俺も我慢ならない。
桐生が動くか、俺たち風紀が動くか。
さて、どちらが先なんだろうな。
今日はクラスで球技大会の話しをした。俺はちょっとワクワクしている。
「あぁ、今日の午後はその話しだったな。圭吾は何にしたんだ?俺はサッカー。とりあえず人数いるし、適当に出来そうだから」
適当って恭。あいかわらずだな。
なんか生徒会がごたついてるとか、色々聞くけど。俺たちにとっては関係なくて。
やるっていう行事である球技大会が、無くならなきゃそれで良い。みたいな感じ。
恭は桐生生徒会長のこと、気にしてるかもしれないけど。俺たちの話題にはならない。恭が話さないだけかもしれないけど。
「俺もサッカーなんだよ。バレーとかバスケ飛ぶじゃん?俺が出たら駄目って言われてさ。そんでテニスはラケットも持ったこと無いから、サッカーにした」
何か力の加減とか色々で、駄目だって言われてるクラスの人間結構いた。
あれは駄目、これは駄目って能力で駄目出しされるとか思わなかった。
「あー、なんか俺のクラスも有ったな、そういうの。力加減出来ないと、けがしたりさせたりするからって、制限かかるみたいだな」
やっぱ霊能力者クラスでも有るんだな。
部活なんかでやってる人は、力加減を間違えないようにが、一番最初にやることらしい。
普通は体力作りじゃないのか、って思ったけど。大会とかも出るとなると、俺たちみたいな力が有るとある意味反則だもんな。
「制御出来てなくて、駄目だって言われるのは仕方ないかなぁって。俺の課題はそこだしさ」
一年はやっぱり俺みたいなの多くて、制限に引っ掛かるクラスメイトは多かった。
「忍先輩が、生徒会ゴタゴタしてるから、球技大会大変かもって」
あ、桐生会長と話しはできたんだ。
しかも名前で呼んでる。先輩は付いてるけど。
「そうなんだ。俺にまで噂回ってくるくらいだから、相当大変なんだなとは思ってた」
桐生会長と恭のことは、俺は立ち入れない話し。
だから、話題になるなら生徒が知ってることを話すくらいだよな。
「柳のことが有って、何度か話す機会は有って。でも生徒会で忙しいからって、あんまり長くは話せないかな。リコールも出るかもって」
「え、それは桐生会長がリコールされるってこと?」
柳ってのは、元魔物だ。なんかその前は、青海と同じだったみたいだけど。
前世については、俺はわからないことだから。
「いや、忍先輩と副会長以外の役員が、リコール対象って。仕事してないらしいぞ」
ただ球技大会が控えてるから、すぐにはリコールにはならないらしいって。
球技大会後の、夏休み前かな。夏休み過ぎたら今度は体育祭だし。
「夏休みの間に、体育祭準備始めるから、夏休み前なんだろうな。仕事してないなら、リコールってわかるし。ただゴタゴタして、球技大会で生徒に迷惑かけなきゃ良いけどって言ってた」
桐生会長って、本当に生徒のこと考えてるよな。
「俺は球技大会無くならなくて良かったと思ってるよ。全校でやる最初の行事じゃん?」
というか、学年の行事も無いけど。
一学年二クラスだしね。三年は修学旅行とか、有ったりするんだろうか。
「まぁな。あんま忍先輩に無理してほしくはないけど。副会長とか、風紀と保健は忍先輩の味方みたいだから、大丈夫だってさ」
恭は桐生会長のこと、気にかけてるんだな。
俺も、桐生会長だけが無理してる状況だったら、嫌だけど。
「そっか。何も起こらなきゃ良いね」
前みたいにゴタゴタし過ぎるの、やっぱり困るからさ。
「そうだな」
恭はちょっと苦い顔してる。
でも俺たちが生徒会のこと考えても、どうしようも無いってわかってはいるんだ。
だから恭はそれ以上は言わなかった。
※
信じられない。
仕事してないって、だって後期はそんなに仕事無いじゃない。
八木崎君だって、何も言わなかったし。それって無いからなんでしょ?
桐生が会長にならなきゃ、私が副会長だったのに。
隣のクラスでも話題にさえなってなかった桐生忍。彼女がいきなり会長になんて、ならなきゃ良かったのよ。
ま、良いわ。仕事なんて、球技大会が最初のようなものだったし。
八木崎君だって、あんなこと言ってたけど、自分が会長じゃないの、怒ってるに決まってるし。
球技大会の資料が出来て無くて、保健や風紀に糾弾されるところを、合同会議で見るはずだったのに。
何、あれ。
仕事してました?資料出来てます?
だから私たちを呼ばなかった?
必要ない?
ふざけんじゃないわよ。
球技大会で、人手が足りなくてボロボロの生徒会を、見せれば良いわ。
手伝ってなんてやるもんですか。
私をないがしろにした報い、受けたら良いのよ。
役員どもはわかっていない。
大方後期に仕事が無いとでも、思ってたんだろう。
だが、誰が器物破損だのけんかだのの、報告書類をまとめて職員に出してたと思ってるんだ?
八木崎がやっていた。そういうことだ。
後期から、奴らが仕事してないとは知っていた。
が、それは八木崎が考えるべきことだろうと、俺はただ報告書類を生徒会に提出していただけだ。
前期になれば、必要だと動くだろうと、八木崎も考えていたんだろう。
そこで出て来たのが桐生忍だ。アイツはクラスでも力の無い方と位置付けられていた。
蓋を開けてみたらとんでもない力の持ち主だった訳だが。
こんなことは、よく有ることだろう。力の有る者が、会長になる。だから桐生が選ばれた。
自然な流れだと思った。
会長職に慣れる為にと、卒業式から桐生の仕事になった。
反発したのは、元副会長くらいだっただろうと推測している。桐生が出たから、奴は会計になったからな。
だからと言って、他の役員を先導して仕事を放棄して良いという話しは無い。
八木崎の目論見は外れ、奴らは余計に仕事をしなくなった。生徒会室にさえ、行かなくなった。
それは知っていたが。八木崎がわざわざ昼休みに時間を割いて、仕事をしていたのも知っていた。
桐生がしっかりとした引き継ぎもなく、それでも会長職をやっていたのも知っている。
書類を出しに行けば、桐生が居たからな。後期は八木崎が居た。前期は桐生だ。
後期も前期もとおして、会長しか仕事をしていないのは明白だった。
球技大会の資料は、しっかりした物が出来ていた。こちらからの訂正など要らないほどに。
前年度の資料を見て、桐生が作った物に、八木崎が意見を出して作り上げたんだろう。
奴らは呼ばれなかったことを怒ったが。奴らが来てたとしても、何の役にも立たないのは八木崎の言ったとおりだ。
奴らは勘違いしている。資料がたとえ出来ていなかったとして、攻められるのは桐生じゃない。
穴の有る資料は、本来の仕事をすべき会計や書記が、仕事をしていないことを証明する以外のことを示さない。
本来仕事をすべき奴らが居たとして、穴の有る資料だったとして。奴らは質問に答えられたのか?
否だ。前年度の資料さえ見てないだろう。今年度の予算も見ていないだろう。
そんな奴らが、質問されて答えられるかと聞かれたら、無理だろうの一言だ。
自分のしていることの愚かさに気付かない。
だからこそ、桐生は会長権限での役員入れ替えを視野に入れた。
俺も風紀として、リコールを視野に入れている。
奴らが役員でいられるのは、球技大会の間までだ。それ以上は、俺も我慢ならない。
桐生が動くか、俺たち風紀が動くか。
さて、どちらが先なんだろうな。
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