稜蘭高校 ドタバタ日記

藤野 朔夜

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夏休みがやってきた

相方が居ないと暇

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「暇だ」
「俺に言われてもね。俺も暇だから」
 正め。目を離したら、どこかへ行きやがった。
 俺ちょっとイラついてるのに、何でこいつ平然と俺の傍に居るんだ?
 前はぶっ倒れそうになってたくせに。
「あー、恭は相方どうしたの?」
 いつもなら圭吾といるだろ、こいつ。なんで一人で、しかも俺の横でダレてんの?
「帰省中。俺は帰ったけど、すぐ近くが家だから。家に居るよりこっちのが静かで良い」
「なんでわざわざ俺のとこまで来るかな?部屋に居たら良いんじゃないの?」
 他にも友人っぽいのと一緒に居るのは見ているんだけど。
 圭吾しか友人が居ないわけじゃないだろうに。
「暇だったから?」
 何で疑問形なんだろうかね。
「歩いてたらあんた居たから。何か面白いこと無いかなとか思って」
 俺は歩く面白発見機か何かなのだろうか。
 そんな物になった覚えは、これっぽちも無い。
 ていうか、教師に対しての口調じゃないんだけどね。まぁ、そこは別に俺は気にしないから、良いんだけど。
「外暑いんだから、部屋の中の方が涼しいだろうに」
 そんなこと言ってる俺も暑いけど。
 なんていうか、日本の暑さってアレだよね。あのー、えっとジメジメしてるの!
 森の中はまだ日差しが遮られてる分、過ごしやすい気がして、ここに居ただけなんだけどね。
 正のとこに行ったらどっか行ってて居ないし。
 職員寮でボーっとしてる気にもならない。
 暑さと正が居ないせいで、俺は結構イライラしてる。
 気にも留めなくなったか、こいつ。まぁ、成長は良いことだよね。
「なぁ、正見なかった?」
 とりあえず一応聞いてみる。
 なんかどっかで見たかもしんないから。
「中条先生?さっき車で出てくの見たけど」
 見てたし!
 つーか、さっきっていつよ。
 俺が正の不在に気付いてから、結構時間経ってる気がしたけど。
「車でねぇ。街にでも行ったか」
 山道を車で走るのは、教師くらいだ。
 俺は車持ってないけどな。
 免許取るのも面倒ったらありゃしない。
 長生きしてると、人間の中に紛れ込もうとすると、面倒だらけだ。それでもここに居たいんだけどな。
 俺はそう思ってここに居るんだから、もうその面倒は仕方ないと割り切ろう。
 じゃなきゃ、正の傍になんか居られない。
「それは知らないけど。街に行けば結構なんでも有るし。ここで暇してるよりは良いかも」
 簡単に言ってるけどね。
 あぁ、どうせなら、俺も連れてってくれたら良かったのに。正のケチ。
 最近はあれだな。どっか観光行こうとか絡んでたからか。面倒嫌いだしなあいつ。
 外面は本当に良いのにな。俺に対しての遠慮がだんだん無くなってる。俺的には良い傾向だから、そこに文句は言わないけど。
「先生は、車持って無いよな。なんで?」
 恭よ。俺の生きてる年数考えたら、簡単に答え出るだろ。
 あ、生きてる年数なんて、わざわざ教えてないか。
 途中から数えるのも面倒で、今が何歳なのか俺自身知らないからな。
「あのな。俺がどんだけ生きてると思ってんだ。最近じゃあ車の免許に教習所通わなきゃなんないとか、面倒以外の何ものでもないっての」
「あ、そか。先生ってさ、結構普通に紛れ込んでるから、ヴァンパイアっての忘れる」
 昔はな、あれ免許とか必要だったか?
 忘れたけど。馬車の時代も有ったんだよなぁ。
 馬車の時代は、今よりのんびりしてた。うん。その程度だな。
 俺人間の世界に居なかった時期も有るし。
 アジスタなんかさ、絶対に時代に取り残されてるよね。ほとんど家に居るし。
 まぁ、アイツについてはどうでも良いけど。
「俺ってば、擬態上手くない?すごいよね、俺」
「元々が人間とそんなに変わりが無いんだから、それは擬態とは言わないと思う」
 まぁ、外見だけならそうだな。
 中身が人間と違うけど。でも流れてる血は赤いんだよ。これでもね。
「外見見分けはたしかにしにくいか。内面なんてこうやって話さなきゃわかんないしねぇ」
 話してても、超能力者にはただの人間だと思われていることの方が多いけど。
 確実に俺がヴァンパイアだって解ってるのって、多分霊能力者でも少ないと思う。
 恭くらいの力でも理解できるのに、俺の本質を見れるはずの霊能力者さえ、俺の本質を見ようとはしない。
 まぁ、面倒にならない様に、事なかれ主義っての?そういうのが多いんだろうな。
 実際俺自身、面倒な存在だと自分で思ってるからね。
「お前地元民なら、中学の頃の同級生からの誘いとか無いの?」
 なんだってまぁ、ここで俺に絡んでても、面白くないだろうに。
「は?俺に友人が居るとか思ってる?シアン先生」
 居るわけないじゃんとか、キッパリ宣ってるこいつ。実はボッチだったのか?
「あぁ?ここじゃ何人か居るだろうに。そいつらは?」
 ここでは圭吾をはじめ、何人か居たと思う。うん。俺はちゃんと見てるからな。
「俺が圭吾以外と何時間も一緒に居られると思ってんの?」
 うわー、こいつ自分がボッチな理由理解してて、そんでそれを直そうとも考えて無い奴だ。
「良二は何だかんだ世話焼きでウザったいし、陸也はあのテンポがすでに無理」
 相手への駄目出しする前に、自分を直そうとか思わんのかね。
「はいはい。圭吾は本当に苦労してんなぁ。俺も面倒嫌いだから、お前どっか行きなさい」
 ここで絡まれ続けるのって、なんだろうな。
 俺ってそんなに絡みやすいか?
 前は逃げてたくせになぁ。
「中条先生が、シアン先生は多少強引に絡んでも怒らないから大丈夫って言ってた。んで、俺は自分の力試し中。先生なんだから付き合ってよ」
 どんなだよ。
 正、なんでこう面倒なの押し付けて来るんだ。
「何?俺とどんだけ一緒に居られるかでも試してんの?」
 そんくらいしかないよな。
 他に思い付かん。前は逃げてたのに、こうして寄って来たってのは、そういう理由か。
「うん。そう。その為には何か会話が必要かと思ってしゃべったんだけど。面倒になってきた」
 おいこら。どんな理由だ。
「俺結構イライラしてるけど。それでもこうやって居られるんだから、成長したな。で、終わりで良い?」
 俺も面倒だっての。
 暑いし、面倒だし、余計にイライラしてくるっての。
「んー。シアン先生だって暇なんだろ?だったら生徒にもう少し優しくしても良いじゃん」
 終わらないのか。終わろうよ。そこは。
「充分に優しい対応してるでしょ。ったくもう。はぁ。本当何がしたいの」
 俺をイラつかせて楽しんでるわけでもなさそうだけどね。
 本当にただの自分の力試しなんだろうな。自分本位だけど。
 しっかし、正の奴、帰って来たらちょーっとばかしお話しなければならないな。
 俺を力試しの材料にするなっての。
 まぁ生徒には当たり散らさないけど。そういう分別くらいは有る。自分より力の弱い人間相手に当たり散らしても、鬱憤は溜まるだけとも言えるんだけどね。
 正のことだから、シレッとそんなこと言いましたっけ?とか言いそうだけど。
 それでもやはりこの扱いは、一言あってしかるべきだろう。うむ、抗議しても良いはずだ。
 あいつのことだから、慕われてるんだと喜べば良いじゃないですか。とかも言いそうだな。
「中条先生とさ、シアン先生って仲良いよな」
 あぁ、周りにはそう見えるかもな。
 実際は俺が絡んでるだけなんだけどね。哀しいことに。
 邪険にされてるのわかってても、正と居たいと願ったのは俺だから。まぁ良いんだけど。
「そうかもね。実際俺が自分の力解放できる相手なんて、正くらいだからねぇ。他は息がつまる」
 今もね。
 まぁもう少しは付き合ってやるけど。
 瑠伊の結界もあるから、問題は無いだろう。
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