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春、出会い、そして……
第四章 ①
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教室での話しはすぐに終わった。
自己紹介なんかもしたけれど、章と勇はうまく入り込んだために、普通にクラスに溶け込んで話しを聞いた。
入学式ということもあり、それほど多くの話しもなかったので、解散してすぐに章は勇と共に保健室に向かった。
今日だけで、保健室訪問は三度目だ。でも、これからも多分保健室にはよく行くことになるだろうな、と章は思いながら。自分の体調云々ではなく、聖がそこにいるからだ。それに、保健室なら話しもしやすいだろう。
コンコンコン
礼儀正しくノックをする。中から応答があり、章は扉を開けた。
「お、終わったか」
何かの書類みたいなものを聖は見ていたが、入って来た章と勇を認め、机に書類を置いた。
「村越は、寮生だったな」
聖はは勇に確認を取る。
勇は「はい」と小さく頷いた。
寮は門限内であれば、出歩き自由だ。他の新一年生だって、寮の部屋に閉じこもってはいないだろう。連れて行くのに問題はない。
コンコンコン
再びノックの音がする。聖は「どうぞ」と答えながら、白衣を脱ぎ椅子にかけている。
「時間取れたか?」
扉を開けて入って来たのは、秋人と純だ。
「はい、少し抜けれました」
純が答える。
秋人は怠さを隠す必要がなくなったからか、大きなため息をついている。
「おいおい、あれくらいでへばってるなよ」
聖は秋人に苦笑いをし、背中をバシッと叩く。シャキッとしろ、ということだろう。
聖をちらりと見やる秋人は、どこか恨めしそうだ。慣れない自分にも、イラついているのかもしれない。
「さて、じゃあ。行くぞ」
書類なんかをしまい終わった聖が、全員に声をかける。
勇はハテナを浮かべるしかない。てっきり、保健室で話しが聞けるものだと思っていたのだから。
「行くって、どこにですか?」
勇に問われて、あー、そういえば、その説明もしていなかったと、思い至る聖たち。
なんだかんだと有りすぎて、パニックになっているのは勇だというのに、配慮ができていない。そこは謝るべきところだろう。
「ごめんね。村越君。何も説明できないままだったね」
純が申し訳なさそうに勇に話しかける。
「これから行くのは、俺たちの家だ」
単純な返答をする秋人。
否、間違いではないが、色々はしょり過ぎである。面倒なのかと秋人の顔を聖は見るが、新たな村越勇という存在との距離感を掴みあぐねているようにも取れる。
「い、え?」
勇は困惑だらけである。それはそうだろう、と思うものの、「とりあえず、ついて来い」と聖は歩きはじめることにした。
事務所では全員が待っているだろうし、話しなら自分の車に乗っている間でもできるのだから。
「あ、は、はい」
慌てたように勇がついてくる。
純は聖と並び、その後ろを勇が。最後尾が秋人と章である。
「秋人、大丈夫?」
章の秋人を心配する声を聞きながら、一度生徒玄関で高校生たちと分かれた聖は、職員玄関へと向かう。
職員駐車場の聖の車は、勇以外はわかっているので、わざわざ迎えに行かなくてもやって来るだろう。
一端抜けるだけなので、鞄は保健室に置いたままだ。ポケットに、財布と携帯とキーケース。それだけあれば充分である。
本当は、帰って休んでしまいたい気持ちが、秋人と同じくらいあるのだが。
秋人のように外に出さないだけで、気怠いのは聖も同じだ。ただ、年長者としての意地と、柚木家の見栄だ。柚木家の見栄なんて、なくなってしまえば良いと家を出たはずなのに、未だについて回ってくることに、少々うんざりしてしまう。
さっさと車に乗り込み、高校生四人を待つ。
そういえば、昼ご飯をどうするべきか、何も正に聞いていなかったと、聖は携帯を取り出した。
呼び出し音数回、相手が出ない事で、かける相手を変えた。正が電話に出ないのは珍しいと思いながら。
「秀か、昼どうする?」
出た相手に、要件をスパッと伝える。
なんだかんだ話すのは億劫だし、秀相手にそんなものは必要ない。
秀からの返答は、簡単に済ませられるように、宅配できるレストランにすでに注文済みだとのことだ。
こちらの要望が聞かれていないが。そこは文句を飲み込んで聖は「わかった」と電話を切る。
特にこれじゃないと嫌だという物ははいし、勇以外については過ごした時間内で、ある程度の好き嫌いはわかっている。
勇については、亜希羅が知っていたとしても、驚かないので問題ないだろう。そう結論付けた。
コンコンコン
軽いタッチで、車の窓が叩かれる。
もしかしたら、電話をしていたので待っていたかもしれない。
助手席の窓からこちらを窺う純に、入ってこいと合図する。
後ろは章を真ん中に、勇と秋人が乗り込む。
「そういやあ、純。免許取りに行くって?」
たしか、誕生日を過ぎなければ仮免での路上運転ができないはずなので、誕生日が過ぎたら行くと言っていたようなと聖が口にする。
「えぇ、太一が運転面倒だからって、取りに行って来いってうるさいんですよ」
苦笑する純は、太一の我が儘に振り回され過ぎだと思う。
しかし、純自身が太一の我が儘を仕方ないの一言で済ませて、聞いてしまっているので、他人が口出すことではないだろう。例えそれが従兄でも。と聖は思ってそこは口にしなかった。
「電話は誰と?」
やはり、電話をしていたことで、待たせていたようだ。
純に問われて、聖は隠すことでもないので答える。
「秀にな。昼どうするのかと思って。正さんにかけたんだけど出なかったから」
ミラー越しに、勇の目が見開かれたのが見えた。
多分、昼がどうのとか、頭になかったのだろう。
「あ、そういえば。どうするんです?」
純も今思い至ったかのような問いだ。
気遣いのできる純が忘れ去るとは、と聖は笑ってしまう。
「宅配できるレストランに注文済みだとさ」
簡潔に答えながら、「もちろん村越の分も」と付け足す。
慌てふためいているのは、他人の家に行き、なおかつ昼ご飯を一緒にすることからか。別のことなのかは勇が口を開く前に、ビルの駐車場に車が入ってしまったことで、掻き消えてしまった。
「ビル?」
小さく呟かれた勇の声を拾って、章がこの上に住居が有るのだと教えている。
二階は事務所だが、上に住居が有るのは間違いではない。
さっきから、はしょり過ぎな上に、まともに解説もしていないが、まぁ良いだろう。事務所に入れば亜希羅がいるはずで、勇に納得のいく回答を与えられるのは多分彼女である。
否、力については、聖が解説しても良いのだが。
勇と亜希羅は昔会っていることを亜希羅自身が言っていたので。勇も旧知の知人がいることで、緊張しないで話しができたらそれにこしたことはない。
勇を連れて、ロビーを突っ切ってエレベーターへと向かう。
事務所の名前にハテナが浮かんでいる勇を見ながら、誰も解説はしなかった。
自己紹介なんかもしたけれど、章と勇はうまく入り込んだために、普通にクラスに溶け込んで話しを聞いた。
入学式ということもあり、それほど多くの話しもなかったので、解散してすぐに章は勇と共に保健室に向かった。
今日だけで、保健室訪問は三度目だ。でも、これからも多分保健室にはよく行くことになるだろうな、と章は思いながら。自分の体調云々ではなく、聖がそこにいるからだ。それに、保健室なら話しもしやすいだろう。
コンコンコン
礼儀正しくノックをする。中から応答があり、章は扉を開けた。
「お、終わったか」
何かの書類みたいなものを聖は見ていたが、入って来た章と勇を認め、机に書類を置いた。
「村越は、寮生だったな」
聖はは勇に確認を取る。
勇は「はい」と小さく頷いた。
寮は門限内であれば、出歩き自由だ。他の新一年生だって、寮の部屋に閉じこもってはいないだろう。連れて行くのに問題はない。
コンコンコン
再びノックの音がする。聖は「どうぞ」と答えながら、白衣を脱ぎ椅子にかけている。
「時間取れたか?」
扉を開けて入って来たのは、秋人と純だ。
「はい、少し抜けれました」
純が答える。
秋人は怠さを隠す必要がなくなったからか、大きなため息をついている。
「おいおい、あれくらいでへばってるなよ」
聖は秋人に苦笑いをし、背中をバシッと叩く。シャキッとしろ、ということだろう。
聖をちらりと見やる秋人は、どこか恨めしそうだ。慣れない自分にも、イラついているのかもしれない。
「さて、じゃあ。行くぞ」
書類なんかをしまい終わった聖が、全員に声をかける。
勇はハテナを浮かべるしかない。てっきり、保健室で話しが聞けるものだと思っていたのだから。
「行くって、どこにですか?」
勇に問われて、あー、そういえば、その説明もしていなかったと、思い至る聖たち。
なんだかんだと有りすぎて、パニックになっているのは勇だというのに、配慮ができていない。そこは謝るべきところだろう。
「ごめんね。村越君。何も説明できないままだったね」
純が申し訳なさそうに勇に話しかける。
「これから行くのは、俺たちの家だ」
単純な返答をする秋人。
否、間違いではないが、色々はしょり過ぎである。面倒なのかと秋人の顔を聖は見るが、新たな村越勇という存在との距離感を掴みあぐねているようにも取れる。
「い、え?」
勇は困惑だらけである。それはそうだろう、と思うものの、「とりあえず、ついて来い」と聖は歩きはじめることにした。
事務所では全員が待っているだろうし、話しなら自分の車に乗っている間でもできるのだから。
「あ、は、はい」
慌てたように勇がついてくる。
純は聖と並び、その後ろを勇が。最後尾が秋人と章である。
「秋人、大丈夫?」
章の秋人を心配する声を聞きながら、一度生徒玄関で高校生たちと分かれた聖は、職員玄関へと向かう。
職員駐車場の聖の車は、勇以外はわかっているので、わざわざ迎えに行かなくてもやって来るだろう。
一端抜けるだけなので、鞄は保健室に置いたままだ。ポケットに、財布と携帯とキーケース。それだけあれば充分である。
本当は、帰って休んでしまいたい気持ちが、秋人と同じくらいあるのだが。
秋人のように外に出さないだけで、気怠いのは聖も同じだ。ただ、年長者としての意地と、柚木家の見栄だ。柚木家の見栄なんて、なくなってしまえば良いと家を出たはずなのに、未だについて回ってくることに、少々うんざりしてしまう。
さっさと車に乗り込み、高校生四人を待つ。
そういえば、昼ご飯をどうするべきか、何も正に聞いていなかったと、聖は携帯を取り出した。
呼び出し音数回、相手が出ない事で、かける相手を変えた。正が電話に出ないのは珍しいと思いながら。
「秀か、昼どうする?」
出た相手に、要件をスパッと伝える。
なんだかんだ話すのは億劫だし、秀相手にそんなものは必要ない。
秀からの返答は、簡単に済ませられるように、宅配できるレストランにすでに注文済みだとのことだ。
こちらの要望が聞かれていないが。そこは文句を飲み込んで聖は「わかった」と電話を切る。
特にこれじゃないと嫌だという物ははいし、勇以外については過ごした時間内で、ある程度の好き嫌いはわかっている。
勇については、亜希羅が知っていたとしても、驚かないので問題ないだろう。そう結論付けた。
コンコンコン
軽いタッチで、車の窓が叩かれる。
もしかしたら、電話をしていたので待っていたかもしれない。
助手席の窓からこちらを窺う純に、入ってこいと合図する。
後ろは章を真ん中に、勇と秋人が乗り込む。
「そういやあ、純。免許取りに行くって?」
たしか、誕生日を過ぎなければ仮免での路上運転ができないはずなので、誕生日が過ぎたら行くと言っていたようなと聖が口にする。
「えぇ、太一が運転面倒だからって、取りに行って来いってうるさいんですよ」
苦笑する純は、太一の我が儘に振り回され過ぎだと思う。
しかし、純自身が太一の我が儘を仕方ないの一言で済ませて、聞いてしまっているので、他人が口出すことではないだろう。例えそれが従兄でも。と聖は思ってそこは口にしなかった。
「電話は誰と?」
やはり、電話をしていたことで、待たせていたようだ。
純に問われて、聖は隠すことでもないので答える。
「秀にな。昼どうするのかと思って。正さんにかけたんだけど出なかったから」
ミラー越しに、勇の目が見開かれたのが見えた。
多分、昼がどうのとか、頭になかったのだろう。
「あ、そういえば。どうするんです?」
純も今思い至ったかのような問いだ。
気遣いのできる純が忘れ去るとは、と聖は笑ってしまう。
「宅配できるレストランに注文済みだとさ」
簡潔に答えながら、「もちろん村越の分も」と付け足す。
慌てふためいているのは、他人の家に行き、なおかつ昼ご飯を一緒にすることからか。別のことなのかは勇が口を開く前に、ビルの駐車場に車が入ってしまったことで、掻き消えてしまった。
「ビル?」
小さく呟かれた勇の声を拾って、章がこの上に住居が有るのだと教えている。
二階は事務所だが、上に住居が有るのは間違いではない。
さっきから、はしょり過ぎな上に、まともに解説もしていないが、まぁ良いだろう。事務所に入れば亜希羅がいるはずで、勇に納得のいく回答を与えられるのは多分彼女である。
否、力については、聖が解説しても良いのだが。
勇と亜希羅は昔会っていることを亜希羅自身が言っていたので。勇も旧知の知人がいることで、緊張しないで話しができたらそれにこしたことはない。
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