わたしの王子の願いごと

高橋央り

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7. 最愛の人だから…

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ふたりの唇が、触れる寸前、皇真が言う。

「オレ様と一緒に、人生を歩いていこうな――…」

はっ――

オレ様という言葉を聞いて、正気に戻った美菜は、
「きゃっ!!」と言って、皇真の胸を叩く。

小さな溜め息を吐きながら、離れて背筋を伸ばした皇真は、
152cmの美菜が見上げるほどの長身だった。

美菜は、彼が自分のためにどれだけ屈んでくれていたかを知って、
叩いたことに、少し罪悪感を覚えた。


それでも、美菜は安堵している自分に気付く。

胸にはやっぱり、大好きな憲斗への想いがあった。

「やっぱり私…、どうしても好きな人が…」

「はぁぁっ。3回目の告白も失敗かぁっ」

皇真は頭を振りながら、笑顔で言った。


「あ、メ、メガネを…返して下さい……」

美菜の言葉を無視して、皇真は未来予測パソコンの
キーボードを触っている。

ポンッとエンターキーか何かを最後に叩いた皇真は、
戻って来て、美菜にメガネを掛ける。

皇真の指が、髪に少し触れたので、
美菜は心がくすぐったいような気がした。

皇真の顔を改めて見た美菜は、右にカールしている彼の前髪が
可愛くてセクシーで、またドキッとする。

「最愛の人だから、助けようと思ったんだけどね…。
案外…、運命の人はさ、自分で選ぶんだよっ…」

そう言いった皇真は、少し悲しい瞳を見せた。
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