わたしの王子の願いごと

高橋央り

文字の大きさ
38 / 51

37.ドラゴン……

しおりを挟む
「憲斗っ!…」

美菜は焦りながら、ナースコールを何度も押す。

憲斗は目を瞑って、咳を繰り返している。

「憲斗っ、憲斗ぉっ!!…」





ウウウゥゥ―――――

煙の上がる高速道路に、パトカーや救急車が向かっている。

炎に包まれている車の運転席で、皇真の体が燃えている。

何故か、皇真は燃えている自分の体を見ていた。

「え?……どういうこと?!」


皇真は自分の手を見た。

薄っすら透明だった。

「あ、これ死んだってことか…。すげぇ……、いや死んだのか……。うわぁ…困るな………マジか…」

唇を噛んだ皇真は、前方に何かがいることに気付く。

「ん?……え!?」

皇真の目の前にいたのは、ドラゴンだった!!!


地面から頭までが7m程で、翼のある、濃い緑色のドラゴンだ。

皇真は一瞬フリーズし、瞬きを繰り返し、「ドラゴン?!」と言った。

ドラゴンはゆっくりと大きな口を開く。

「わしは天使だ―――!!」


「て、天使……、あ…」

皇真は、シミュレーションでの憲斗の願いごとの天使を思い出した。

「じゃ、じゃあオレ様の願い事を…」

そう言いながら、皇真は自分が死んでしまったことを改めて思い起こし、険しい表情を浮かべた。

ドラゴンは「わしは天使だ…」と繰り返している。


皇真は鼻で笑い、「いや、どう見ても、ドラゴンだろ」と言った。

ドラゴンは、皇真を睨み、「じゃあ、もう帰る…」と顔を背けた。

焦った皇真は、「いやいやいや、天使、天使、天使だっ。天使様っ!」と両手を広げて言った。

「そう、わしは天使だ。お前の願い事を叶えに来た。叶えてやる願い事の数は、心の美しさで決まる。お前は……1つだな」

「え?1つ……。うーん泣かせたレディが多いかなぁ…。でも勝手にオレ様のファンになって―――…、まぁ、そうだな。みんなの期待には応えてあげられなかった……。申し訳なかった…。ファンには感謝してる…。ああ…みんなにも会えないのかぁ…困った……」

皇真は舌を出して言った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

愛しているなら拘束してほしい

守 秀斗
恋愛
会社員の美夜本理奈子(24才)。ある日、仕事が終わって会社の玄関まで行くと大雨が降っている。びしょ濡れになるのが嫌なので、地下の狭い通路を使って、隣の駅ビルまで行くことにした。すると、途中の部屋でいかがわしい行為をしている二人の男女を見てしまうのだが……。

🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。

設楽理沙
ライト文芸
2026.1.4 73話見直した際、瑛士の台詞《本音/懺悔》を加筆しました。😇 ☘ 累計ポイント/ 200万pt 超えました。ありがとうございます。 ―― 備忘録 ――    第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。  最高 57,392 pt      〃     24h/pt-1位ではじまり2位で終了。  最高 89,034 pt                    ◇ ◇ ◇ ◇ 紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる 素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。 隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が 始まる。 苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・ 消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように 大きな声で泣いた。 泣きながらも、よろけながらも、気がつけば 大地をしっかりと踏みしめていた。 そう、立ち止まってなんていられない。 ☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★ 2025.4.19☑~

処理中です...