わたしの王子の願いごと

高橋央り

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36.会いたかった

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目を覚ました憲斗は、美菜を見て目を見開く。
美菜は、憲斗の瞳を見ることのできた奇跡に胸を熱くし、涙を零す。

憲斗は少し戸惑った後、状況を理解して、口をゆっくりと開く。

「み…美菜……」

ゴホッ…ゴホッ……

憲斗は激しく咳込んだ。
美菜は、呼吸さえ苦しそうな憲斗に、「大丈夫、大丈夫よ」と言い、手を握る。


少し落ち着いた憲斗は、肩で息をしながら声を出す。

「な、何で……、俺は………誰も…守れない…だから……」

美菜は顔を振って微笑む。

「大丈夫。全部分かってる。分かってるよ」

数秒後、頷いた憲斗の瞳から、涙が零れた。

それを見た美菜も、また涙を流す。


「会いたかった…、会いたかったよ!ホントはね…。会えないまま……だったんだよ」

美菜の言葉に、憲斗は少し首を捻る。

ベッドの脇に蹲った美菜の頭を、憲斗が撫でる。

下を向いたまま、美菜は思いを爆発させるように言う。

「不安だった!…。両想いって全然知らなかった!バカ!…バカ!……」


憲斗の手が急に力強く、美菜の額を押した。

顔を上げられた美菜は、くしゃくしゃの顔を隠そうと横を向く。

しかし、憲斗の指に顎をくるりと回され、美菜の顔は憲斗の方に向けられた。

美菜は何だか少し面白くて微笑う。

憲斗の表情は真剣だった。


憲斗はセクシーな優しい声で言う。

「ありがとう、会いに来てくれて。凄く嬉しいよ。美菜のことがずっと好きだったから――」

美奈はドキッとして、自分の髪の毛が乱れていることや、涙まみれなことが、恥ずかしくなってきた。

シャープな顎、サラサラの黒髪、上品な口元、輝く瞳、やっぱりこの人が、私の王子様だ。美菜はそう思った。

本当に幸せ。今、人生で一番幸せ。ふたりきりでいられて、触れられて、生きていてこんなに幸せなことがあったんだ。美菜はそう感じた。

美菜は憲斗の長い指に触れる。


人生のピークだ。最高に幸せ。これまででも、この先もきっとずっと変わらない。憲斗が大好きで、一緒にいれる今が、一番………。

そこで美菜は、憲斗の命がもうすぐ消えることを思い出した。

もう、憲斗に会えなくなってしまう――…

そう思うと、また涙が零れた。


憲斗は手を握り締めて、「ごめんな…ごめんな……」と言う。

美菜は、憲斗のせいじゃないと、顔をゆっくりと振る。

「私も、憲斗のことが好き。大好き。絶対に憲斗がいい。一緒にいたい…。もっと早く、両想いって知りたかったよ…」

「うん…。ごめん、大好きだったから…、い、言えな…かっ、がほっ……」

憲斗は大きく咳込んだ。

美菜が見ると、彼は少し血を吐いていた。

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