トップアスリートはセフレを可愛がりたくてたまらない

鶴れり

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プロローグ(2)※


 修哉は愛をベッドに運ぶと、パーカーと下衣を脱ぎ捨てた。逆三角形の鍛え上げられた立派な身体が、照明に照らされる。

 スポーツクライミングをしている彼は、特に肩や腕の筋肉が盛り上がって発達している。全身を使うスポーツなので、腹筋や背筋も凹凸があって、触ると弾力があって硬い。

「修哉、また筋肉増えた?」
「んーそうかも。最近トレーニング量を増やしたから」
「そっか」

 男らしい身体を撫でているうちに、修哉は下着一枚になった。今度は愛のシャツのボタンを外し始める。丁寧な手つきで脱がせ、シャツとスカートをシワにならないように畳んで床に置くと、キャミソールに手をかけた。

「はい、ばんざーい」

 促されるように手を挙げると、あっという間に互いに下着姿になる。

「愛ちゃん、これ新しい下着? 可愛いね、レースだ」
「あ……」

 すっかり失念していた。今日の下着は先週買ったばかりの新しいもの。白を基調としたレース地にピンクのスズランの刺繍があしらわれている。
 ピンクなんて似合わないと思ったけれど、どうせ下着は誰にも見られないからと、思い切って自分好みの可愛らしいデザインを選んだのだ。

「わ、私がピンクとかレースとか、似合ってないよね。すぐ取るから──」
「なんで? すごく可愛いし似合ってる」
「そんな、嘘……」
「愛ちゃん、実はカワイイもの好きだよね。キラキラしたのとか、フリルとか。気にせず好きなもの着ればいいのに」
「だって私キツイ顔してるし、そもそもふわふわガーリー系とかキャラじゃないでしょ」

 修哉の無骨な手が、ブラジャーのレースを撫でる。敏感な先端にも刺激が伝わって、肩に力が入った。

「よく愛ちゃんは自分のことキツイ顔って言うけど、俺からしたら可愛い女の子だけどなぁ。ピンクもレースも白い肌に映えてよく似合ってる。でも、俺だけに見せてくれるのもイイな。俺だけが知ってる、可愛い愛ちゃんって感じで」
「なにそれ……」

 下着越しに胸の先端を指で摘まれて、淡い悦楽が生まれる。

「せっかくカワイイ下着つけてるから、今日はこのまましてもいい? あ、でも下はぐちゃぐちゃになっちゃうから脱いだほうがいいね」
「あっ……!」

 修哉は愛の身体を片手で浮かせると、するするとショーツを脱がせてしまった。そっと枕へ愛の頭を沈めると、太い腕の檻に囲まれて、食べられるように口づけが降ってくる。

「ん……っ」

 激しいけれど、どこか思いやりを感じられる情熱的なキス。上顎や歯列、頰の内側の粘膜まで丁寧に舐められて、舌を絡めあってじゅるりと吸われる。

「はあっ、はぁ……」

 唇が離れて、透明の糸が伝う。それすらも舐めとられると、首筋、耳、鎖骨と舌を這わされる。ぞくぞくと愉悦が背筋を駆け上っていく。
 修哉の巧みな舌技に気を取られていると、ブラジャーをぐっと引かれて胸の膨らみがまろびでた。

「ここ、もう固くなってる」
「あんっ」

 薄紅色に色づき、芯を持った乳首を舐められてビクンと身体が跳ねた。優しく舌で転がされ、反対側は親指と人差し指で捏ねまわされる。

「気持ちよさそうだね。だんだんえっちな顔になってきた」
「うん……きもちいい……」
「してほしいことあったら、遠慮なく言って。そのための俺、でしょ」
「んう……」

 再びねっとりとしたキスを交わして、双丘をやわやわと揉み込まれる。

 修哉は恋人ではない。こうしてたまに会って焼き鳥を食べて、互いに気持ちよくなるだけの淫らな関係なのだ。

 手探りで修哉の胸筋を撫で、胸の小さな突起をさわさわと撫でる。修哉も興奮しているのか、すでに固くなっていた。ピク、と硬い身体が震える。

「こら、だめだよ。今日は愛ちゃんを気持ちよくする日だから」

 修哉に触れようとする手のひらを掴まれて、そのまま指を絡められる。

「愛ちゃん、自分で脚開いて」
「ん……」

 両手を繋ぎながら、おずおずと膝を立て、ゆっくり脚を開く。

「もっと大きく。これじゃあ舐めれない」
「修哉、電気消したいよ……」
「やだ。愛ちゃんの全部見たい。それにもう何回も見てるのに……まだ恥ずかしいの?」
「恥ずかしいに決まってるよ。こんな汚いとこ……ひああぁっ!」

 股の間に顔を埋めた修哉は、手を繋いだまま器用に脚を押し開いて、秘裂にしゃぶりついた。襞全体を舐め回して、蜜穴にくぷくぷと舌の先端を押し込まれて、甘美な痺れに襲われる。
 はしたない嬌声をあげながら、修哉の手を力強く握りしめた。

「────……っ! ひあ……っ!!」

 不意にあわいの上にある花芯を押し潰されて、背がのけ反り下半身が震えた。

「愛ちゃんの好きなところ、いっぱいしてあげるね」
「あああっ……! しゅうや──っ」

 軽く達して痺れが充満しているなか、追い打ちをかけるように指で秘裂をなぞり、そのまま二本の指を挿れられる。

「ゆびっ、だめぇ……っ!」
「愛ちゃん、俺の指好きだよね。ほんと可愛いなぁ。クライミングしてて良かったって思うよ」

 クライマーである修哉の指は、男性でも一際太い。手指で全身の体重を支えて持ち上げるため、関節が異様に太いのだ。
 それを一気に二本も受け入れ、バラバラに動かされて性感帯を刺激されたら、たまったものではない。

「やっ、しゅうや、ちからつよすぎっ……いっちゃう、それ、すぐいっちゃうからぁ……!」
「うん。いっぱいイこっか。ココでしょ?」
「ふああぁっ……──っ!」

 ぐっとお腹の裏側を強く押されて、快感が弾ける。目の前がチカチカとして、浮遊感に襲われる。

「すごい、愛ちゃんのナカ俺の指ぎゅうぎゅうに締めつけてくる。一応指はクライマーの命なんだけど?」
「あぁ……っ、そん、な……むりぃ……!」
「仕方ないなぁ。今日は愛ちゃんを可愛がる日だから、特別ね」

 修哉は意地悪に嗤って、下着からこぼれている乳首に吸いついた。
 それと同時に再び太い指を根元まで挿入し、弱いところをぐりぐりと掻き回される。
 二つの性感帯を同時に刺激されると、あっという間に絶頂の頂に押し上げられた。

「っ! しゅう──ああああぁっ!!」

 ぐぢゅ、という蜜液が掻き混ぜられる卑猥な音と、快楽に溺れきった自分の嬌声が、狭いワンルームに鳴り響いた。

「いっぱいイけたね。気持ちよかった?」
「あ……あっ……う……しゅう……」
「涙目になって……顔も身体もとろとろになったね?」

 肘のほうまでびしょびしょに濡れた腕を見て、うっとりと嗤った修哉は下穿きを下ろし、いつの間にか用意してあった避妊具を取り出した。
 大きく膨らんだ屹立の先端から、透明な露が滴っている。その上に避妊具を被せていく。

「あ、修哉……私もしてあげるから……っ」
「だーめ。また今度、俺が慰めてほしいときにして? 今日は愛ちゃんがとことん蕩ける番だよ」
「ああ……──!!」

 ズズ──と熱く硬い肉槍がはいってくる。肉襞を掻き分け、奥へ奥へ進む熱が気持ちよくてたまらない。

「まって……しゅうや、やさしく、って……!」
「あぁ、そうだった。最初は、優しいのがいいんだっけ」

 修哉は身体を押し倒し、隙間なく肌を密着させると耳朶を喰んだ。

「可愛い、愛ちゃん。ナカあったかくて狭くて気持ちいい。愛ちゃんも気持ちいい?」
「あ、あぁ……きもちいいよぉ……きもちよすぎて、もう、わたし……」
「まだ奥まで挿れてないよ? 愛ちゃん、エッチするたびに感度がよくなるね。俺たちやっぱり身体の相性抜群なのかなぁ」

 ゆるゆると腰が動かされて、甘美な愉悦が脳まで沁み渡っていく。
 もう、修哉のことしか考えられない。
 あんなに傷ついて嫌な思いをした傷痕が、まるで魔法のように跡形もなくなっていく。

 身体を重ねることで、傷を舐め合って、慰め合う──それが愛と修哉の関係。そこに恋愛感情はない。
 一般的にそれはセックスフレンド、つまりセフレと呼ばれるもので、褒められた関係性ではない。けれど結婚願望もなく、恋人を作る気のない愛にとって最高に都合が良かった。

「しゅうやっ、も、おく、して。いっぱいついて……っ」
「え? 優しくって言ったのは愛ちゃんなのに。もう奥いじめてほしくなっちゃった?」
「うんっ、いやなこと、ぜんぶわすれたいの。わすれさせて──」

 どろどろに甘やかされて、溶かされて、慰められて。
 こうしてふしだらな関係を続けているうちに、いつの間にか愛にとって修哉は心の安定剤みたいなものになっていた。
 修哉の逞しい筋肉に包まれて、甘い言葉をかけてもらって、頭が真っ白になるまでイかされて。

「可愛い、愛ちゃん」

 身体だけのふしだらな関係──そこにあるのは分け合う熱のぬくもりと、深い快楽だけだ。



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