トップアスリートはセフレを可愛がりたくてたまらない

鶴れり

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どうしたらいいの(3)


「こういう、誠意。雪川修哉ともやってるんなら、俺でもいいだろ?」
「…………」

 グッと歯を食いしばる。
 セフレがいるからといって、誰でもいいわけじゃない。修哉じゃないと嫌だ。
 でもはたから見たらセフレがいる女なんて、尻軽な遊び人と同意義。誰でもいいだろうと言われたら、反論できない。

 嫌。やめて。気持ち悪い。
 でも、少しの間我慢すれば、黙っててもらえる……。
 愛は顔を横に逸らして、固く目を閉じた。

「男っ気がなくて、入社から仕事一筋の雪原が。まさかこんな本性だったとはね……」

 大井の呟きを無視して、ひたすら全身を硬直させる。服が緩められて、少しずつ素肌が冷気にさらされていく。恐ろしくて怖くて、どんどん手足が冷えていくのがわかった。

 ウエストまであるボタンを全て外されて、肩から布が落ちる。

「はっ……なにこれ、すっごいブリブリの下着。これは雪原の趣味? それとも雪川修哉? すごいデザインだな」
「────っ」

 はっと目を見開くと同時に、堰が切れたように涙が溢れた。ぼろぼろと頬を伝って雫が落ちていく。止まらない。

「……っ、っ、っ」
「ちょっ、いきなりどうした? まだ何もしてないだろ……」
「…………っ」

 無言で立ち尽くしたまま、ただひたすら滂沱の涙を流す。そんな愛を見て、大井は意気消沈したように溜め息を吐いた。

「あーあ、萎えた。ほんと、雪原だけは思い通りにいかないな。悪かったから、もう泣くなって」

 大井は乱した洋服を直し、ボタンをつけ直した。

「とりあえず、この写真は消さないから」

 そう言い残して、大井は資料室から出ていってしまった。

 ぺたん、とその場に座り込む。涙は相変わらず止まってくれない。

 ──可愛い、愛ちゃん。

 いつもそう言って修哉が甘やかしてくるから、忘れてしまったのかもしれない。
 大好きなピンク色もフリルもレースも、キツイ顔の可愛げのない自分には似合わないって。

 でも修哉が可愛いって言ってくれるから。甘えても寄りかかっても、いつも当たり前のように受け止めてくれたから。
 修哉はどんなときも愛が求めたら、それ以上のぬくもりを返してくれた。

 自分は愚かだ。愛を甘やかして可愛がって、寄り添ってくれる人なんて、今まで修哉しかいなかったのに。
 修哉といると居心地がよくて甘えてばかりで。自分の弱さから、現実から、逃げていた。

 壊れるのが怖いから、結婚はしたくない。結婚したくないから、誰とも付き合わない。結局、関係が崩れていくことが怖いだけの臆病者なのだ。

「しゅうや……すき。あいたい……」

 愛はしばらくの間、そこから動けなかった。


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