トップアスリートはセフレを可愛がりたくてたまらない

鶴れり

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どうしたらいいの(修哉視点)(7)


「ずっと会いたかった。久々の愛ちゃん……ちょっと補充させて?」
「修哉……会社ではやめて。もし誰かに見られたらどうするの」
「ごめん、愛ちゃんに怒られると思ったんだけど、どうしても我慢できなくて。……寂しかった」
「しゅう、や……」

 愛の柔らかな頬を撫でながら、コツンと額を合わせる。ふわりと愛の甘さのある香りが鼻腔をくすぐって、胸の奥にあたたかいものが広がった。

「愛ちゃん、何かあった? なんか元気がなさそうに見えるんだけど」
「元気だよ。最近ドラマにハマっちゃって、夜寝るのが遅くなっちゃったから……そう見えるだけだよ」
「……ほんと?」

 口角をあげてコクンと頷く愛。何もないと本人が言うのならそうなのかもしれない。けれど愛の性格上、ストレスを溜め込んで我慢して、一人で抱え込んでしまうきらいがある。

「何かあったらすぐ連絡するんだよ?」
「うん、大丈夫だよ。ありがとう」

 アーモンドの形をした大きな眼に、視線が吸い込まれそうになる。
 近くにいると触れたくなって、触れるともっと触れたくなる。

「ねぇ……キスしてもいい?」
「何言ってるの。会社なんだからダメに決まっ……」

 愛の後頭部を抑え、拒否を紡ぐ唇を塞ぐ。「んっ」という甘ったるいくぐもった声に、下半身が反応してしまいそうになるのを堪えた。
 柔らかくてあたたかい唇。甘美で蜜のような唾液。久々の愛の味がやたら甘ったるく感じる。

「ごめん、ダメって聞こえなかった」
「ばか、絶対聞こえてた……」

 愛の耳朶を軽く喰んで、そのまま首筋に唇を滑らす。愛の柔らかい肌からもほんのり甘い香りがして、その匂いがたまらなく好きだ。

「やっ! 痕つけちゃダメっ!」

 強く胸を突き押される。その慌てた態度と、青ざめた愛の表情を見て、修哉は確信した。
 愛と修哉の関係がバレたのだと。

 バレることは正直構わなかった。他の男が愛に寄りつかないように、わざと愛からは見えない場所に鬱血痕を残していたから。
 頑なに会社で距離を取ろうとする理由も納得した。

 それに加えて打ち合わせ中の愛の態度、空気感。おそらくバレたのはチームのメンバーなのだろうなと察した。

「愛ちゃん、聞いて。俺は何があっても愛ちゃんの味方だから。いつでもどんなときでも、俺を求めてくれたら会いにいく。これだけは忘れないで」
「なに……言ってるの。こんなセフレ相手に……。それに第一、大会中だったらどうするの?」
「棄権して愛ちゃんのところに行くよ」

 なんでもないことかのようにサラリと告げると、愛は驚いて目を瞬かせ、フッと笑った。

「そんなお馬鹿なアスリートなんて、聞いたことないよ」

 やっと表情を和らげた愛を見て、修哉も嬉しくなる。やっぱり愛は笑っている顔が可愛い。

「馬鹿になるくらい、愛ちゃんが大事なんだよ。だから無理しないで」
「うん……ありがとう」

 もう一度優しく腰を抱くと、愛が物欲しそうな目で見つめてくる。
 そんな風に甘えられたら、また触れたくなってしまう。
 そっと顔を寄せて様子を窺うと、愛が静かに目を閉じる。会社ではダメと言っておいて、キスをせがむ愛に心臓が締めつけられた。

「可愛い、愛ちゃん」

 愛おしくて可愛がりたくてたまらない。
 軽く口づけをして、もっとと欲が出てしまう前に愛を解放した。このままでは非常階段で襲ってしまいたくなってしまう。

 先に廊下へ出る愛を見送って、修哉は大きく深呼吸をした。

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