嘘つき山猫は赤面症

nyakachi

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独り暮らしと独りゴト

負けた気がする

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出勤すると、向井先輩がニヤけた顔で手招きする。
席は正面なので、そのまま座りつつ挨拶する

「おはようございます。
   なんてしょうか?」
「お持ち帰りされたの?」

ぐはっ。

なんつーことを。
目の下あたりが、火であぶられたように熱くなる。


「まさか」
「ふーん。
  美味しいお茶をだしてもらったって聞いたけどー?」

ぐっ。

やめて!
私のライフはもうゼロよ!

「送ってもらったらお茶ぐらいだしますよー」
なるたけ平静を装うが、ばれてないだろうか?

今日の仕事の大半が資料の清書でたすかった。
打ち込むだけの作業に無心になる。

相変わらずニヤけた向井先輩が声に出さずに口をぱくぱく。

う・ま・か・っ・た⋅⋅⋅⋅⋅⋅?

何が?

「なんもないですよ、あるわけないでしょー」

仕事しましょーよ

「おやー、なんか色気がもれてるからこれはなんかあったかと思ったんだけどね」
「何言ってるんですか?
   いやですよ、ちゃんと名前も知らない人とそんなことする気にならないですよー」

噓。

ちり、と胸が痛む。

正直、色恋めんどくさいから襲ってくれたら人肌恋しく思うのは収まったかな、なんて思ったけども。
ヤルだけヤッて帰れー、なんてできるはずもなく。
あれで良かったんだ、と思い込むことにしたのは寝る直前。

向井先輩経由なので悪い人ではないだろうし、顔はよく見てないからわかんないけど、不快感はないし、そもそも自分が人に文句言える容姿はしていない。

不快感はない。

上々ではないかな?

いや、こんなこと思ったって2度目があるわけないから考えるだけ無駄だな。

「気にいらない?」

向井先輩は会議資料なのか幾つもの書類の束をまとめながら優雅に首を傾げるてくる。
私語をしつつも、手元は凄まじ速さで束が積み上げられていく。
「いや、気にいると気にいらないとかじゃなくてですね」
「じゃあ、なーに?」
「いや、先輩、私をどーしたいんです?」

もー、仕事に集中させてください。
あ、打ち間違えた。
はぁー。

「なんか会社にいる時の姿しかしらないからプライベートはどんなんだろうと思って」
「それって、自分とつながってる人だと情報流してもらえるからってことですか?」

いやですよ、そんなの!
よかった!間違い起こさなくて!
ぶるぶるっと体が震えた。

「そこまで悪趣味じゃないよー、それにあいつとは彼氏経由の知人であって私の友達じゃないし」

ん?

「カレシ?」

微笑みが花開く、ってこんなかんじなんだろうな。

「あれから付き合うことになったの」

あー、リア充バンザイ!



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