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第三章 多々良さんと金曜日
多々良さんとお部屋(3)
しおりを挟む「学校の宿題を手伝ってもらおうにも、ないし。家のことを手伝ってもらおうと思っても、一人でできてしまうし。あなたを呼ぶ口実なんて、パシリの用事しかないのよ。」
「先週は何でしたっけ」
「低脂肪マヨネーズ」
近くのコンビニになかったから、自転車を走らせて大きなスーパーまで行ったのを思い出したところで、おや、と気付く。
いつもの多々良さんと、様子が違う気がする。具体的に言えば目はうるんでいるし、頬はいつもより赤い。
「もしかして風邪ひいてますか? 多々良さん」
多々良さんの手が、一瞬だけ止まった。
無視をされてしまった。
「熱は測りましたか?」
多々良さんは口を紡ぎながら首を横に振る。完璧な少女でも、風邪をひくことがあるらしい。されど多々良さんのプライドのようなものは折れない。
多々良さんは両親とは離れて暮らしているが、その代わり二人の兄弟と一緒に住んでいる。しかし、まだ帰ってきていないみたいだ。
そもそも、この家の中で、多々良さん以外の多々良さんと会ったことはない。
手を無理やり額に付ければ、じんわり熱くなった。
通常の温度ではないことはまぁ明らかで、すぐにでも横にならせたいくらいである。
「学校で、ウサギを飼っているのだけど」
唐突に話題を変える等のことはもう慣れている。
「可愛いですか?」
「三匹、飼ってて。仲良しで、まるで私たち兄弟みたいで、親近感がわいて―――。白くて。かわいくて。でも
ね、見分けがつかないの。」
「それは―――大変ですね」
多々良さんは小さく頷いた。
「ねぇ、君は、いつもそんな感じなの?」
と思ったら机に顔を伏せた。
図書館の時と、同じようなことを言われた、が、今は考える時間ではない。
様子がいつもと少し違うのも、熱があるせいである。ウサギの話など聞いている場合ではなかった。
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