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魔国編

27 時の力

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今まで見た事もないほどの美で作られた顔
男とも女とも言えない中性的な声と体型をした人が立っていた
その人は私を見てフッと口元を緩め優しく見つめ下し口を開いた

… やっと我に気づいたか、我の愛しい子よ …

そう言って優しく私の頬を撫でる存在から私は目を逸らすことも離すこともせず見つめ返した

… また、こうして愛しい子の時を刻める事ができ我は嬉しい …
「ずっと…ずっと、忘れていてごめんなさい」
… 寂しかったが致し方ない事だ …
「でも、今この時まで私はずっと忘れていたわ」
… 幼き愛しい子にはあの時何もできなかったのだ、それに …

ポロポロと溢れる涙を指で優しく拭われていく
だけどその顔は眉が下がりすまなさそうな、申し訳なさそうな悲しい顔だった

… 愛しい子の時を一部抜いた我の責任だ …
「記憶を、抜いた ?」
… そうだ、愛しい子の前の継子の時が止まった時に愛しい子はとても悲しんでいたはずだ …
「…はい、大好きだった大爺ちゃんが亡くなって託されたネジを見ると思い出して哀しくて悲しくて涙が止まらなくて…泣きやまなくちゃって思ってた時に」
… さらなる別れが来た …
「大叔母さんにネジと時計を取られた…」
… あの時の幼き愛しい子は、あのままでは全てのを憎み怨み拒絶をしていたかもしれなかった …
「全ての… ?」

それは何のこと ? と疑問に思い首を傾げ見つめると悲しい顔をさらに歪めた

… 継子と過ごした時間、我を持ち去った者達の時間、愛しい子が生まれ育った地球の時間、そして …

首を傾げて見つめたままだった私の顔を両手ではさみ目の前の存在は額と額を合わせた

… 愛しい子自身が生まれ、生き、これから歩む未来の時間 …
「私、自身の時間…」
… 実際にそうだった。こんな思いするのなら継子と思い出など作るのでは無かったと、なぜ、継子の時が止まったのに悲しみもせずお金の事ばかり考えるものがいまだ時を歩んでいるのか、なぜ、自分の周りでこんな不幸ばかり起こるのか …




そう言われ頭の中に蘇る記憶…
大爺ちゃんが亡くなりこんな思いするのなら遊びに来なければ良かったと泣きくれ、2ヶ月が経とうとした時大叔母さん達に時計とネジを取り上げられ、何故…大爺ちゃんは死んだのに大爺ちゃんの悪口ばかり言い今尚お金のことだけ気にし死んだことを喜んだ人達が生きていているのか、何故…私はこんな世界に生きているんだろう…

「こんな人達…こんな世界なんて…
無くなればいいのに…
全ての時が…止まれば、いぃ…の…」
… そこまでだ愛しい子よ、これ以上恨まないでくれ。愛しい子がそれを望んでしまえば我はその力を使わねばとならぬ、さすれば愛しい子の大切にしてきたモノ、全てが無くなってしまう、それは儚き悲しき事だ。今はこの時を忘れ眠れ、また再び時を望んだ時に会おう。我の愛しい子、主よ …
「おおじぃ、ちゃ、ん…」



そうだあの時不思議な声が聞こえて私は気が付いたら大爺ちゃんの家から自分お家に戻っていたんだ
それから後は…なんにも辛いとかもなく楽しく過ごしてた

「あれは、あのまま普通に過ごせていたのは」
… 我が愛しい子の記憶を奥深くにしまい忘れるようにしたからだ …
「そうだったんだ…」
… 時が来るまで記憶と力を停めていた …
「どうして今… ??」
… 愛しい子は自身で我を認識し我の力を理解した …
「さっきの…」
… 今の愛しい子ならば自在に時の力を使えるだろう …

タイクロノスの言葉に瞼を閉じ深く深呼吸をし、体の中を巡る魔力とは違う力を感じた後、私は瞼をゆっくり開けタイクロフトを見つめた



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