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第四話 幼年期の始まり② −999
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わかる、俺に未来はない。
わかる、今の俺は人じゃない。
わかる、ドクに言葉は通じない。
わかる、今の俺に出来ることはない。
「おはようございます。」
「・・・・」
「ふむふむ、大体わかりました。外傷のに対する回復力は一般的な人類の6-700倍ほどあるみたいですね」
「・・・・」
「次は、毒物に対する抵抗力と解毒力の測定をしましょう。」
「・・・・」
「手術の際に使った麻痺毒は、手術の痛みで気絶してしまっていたので反応が見れませんでした。もう一度試す必要があるようですね。」
「・・・・」
「他の毒物も、作用別に数を絞って一つづつ試しましょう。」
「・・・・」
「楽しくなってきましたね。」
「・・・・」
「また来ます。」
バタンッ
俺は考えることをやめた。
期待すると、失望した時辛いから。
希望を持つと、絶望した時辛いから。
抵抗すると、失敗した時辛いから。
俺は全てを受け入れることにした。
だって死ねないのだから。
だから心を閉ざすことにした。
だから俺は辛くない。
人体実験は、初めとても辛かった。
痛い、気持ち悪い、苦しい、まるでこの世の全ての苦痛を集めたようなそんな辛さがあった。
でも、心を閉ざして、痛みを苦しみを当たり前のことにする。そして、ついには何も感じなくなった。
最後に残ったのは、退屈だった。
なぜか俺の体は死ぬことを許さない。だから、ただ意思もなく生命を維持するだけの機械になりたかった。でも、痛みや苦しみを感じなくなった俺に残された退屈は、過去や未来を考えさせた。
過去を考えると今との落差が痛い。
未来を考えると先の見えない闇が怖い。
それがとても辛かった。
だから俺は別のことを考えるようになった。
俺は今を考えるようになった。
幸いにも考えることは絶えず供給された。
運動神経だけを麻痺させる毒
神経を鋭敏にさせる毒
思考を加速させる毒
幸せな幻覚を見せる毒
恐ろしい幻覚を見せる毒
代謝を下げ仮死状態になる毒
筋肉だけを破壊する毒
骨を溶かす毒
細胞を破壊する毒
etc…
毎日効果を試される毒の作用原理を考えることはとても楽しかった。
ドクは考えていることを独り言として言う癖がある。だから今俺の体に起きていることや、この世界の毒に関する知識を沢山くれた。
また、ドクは投薬以外にも様々な人体実験をした。
例えば、魔獣の臓器を移植する実験。
例えば、雷魔術の電気刺激で体を動かす実験。
例えば、身体強化の奇跡で臓器の活動を強化する実験。
俺の体は絶えず刻まれ、内側から外側から焼かれ、観察された。
俺も俺自身を観察した。そうやって俺は退屈を凌いだ。
俺の体は、毒の影響を正しく受ける。皮膚を溶かす毒を投与されると、皮膚は溶ける。体を麻痺させる毒を投与されると、体が麻痺する。
だが、どんな毒でも致命傷にはならない。死に至る寸前までは行くが、決して死ぬことはない。
また、物理、魔術、毒あらゆる影響による外傷も回復が異様に早い。本来体が受け付けない異種族の臓器なども難なく受容してしまうようだ。
生きることに必死というか貪欲と言うか。とても不思議な性質をしているようだ。
だが、そんなことを考え、現実から目を逸らし続けた心ももう限界だった。
体は確かに生き続ける。
だが、心が緩やかに死んでいった。
理由は単純だった。
俺には、生きる理由がなかった。
家族は死んだ。
未来は断たれた。
何を学ぼうが、何を考えようが全てが無意味。
ただ絶望を引き延ばしているだけだった。
もう、何のために生きていけばいいのか、、、
あれ?俺生きる必要あるんだっけ、、?
「おはようございます。」
「 」
「おや?」
そう言ってドクは目を覗き込む。
「ああ、これも心が死んでしまいましたか。」
「 」
「まあ、これで試せることは一通りできました。結局、回復力の原理は肉体的な理由ではないみたいですし。」
「 」
「最近は、これで遊ぶのも飽きてきていましたし、廃棄しますか。検体は他にも沢山います。」
「 」
「あなたの心が死んでいく様を観察するのはとても楽しかったです。」
「 」
「ではさようなら。」
あぁ、やっと死ねる。俺の死んだ心は安堵した。
「やぁ!ひさしぶりぃ!」
「っは!、、、、俺は死んだのか、、、、?」
「まだ生きてるよぉ?でも、せっかく生まれ直させてあげたのに死にたそうにしてたからぁ、少し元気づけてあげようってねぇ!」
「そうか、でも、もういいんだ。俺に希望も、未来も、生きる目的も無い。もう疲れたんだ。辛いのはもう嫌なんだ。」
「そっかぁ、まぁ、君は一度もまともに自分の人生を生きようとしてなかった負け犬だもんねぇ?」
「はぁ?神様に何がわかるんだ!?あの状況でどうしろって!?」
「前世では親の敷いたレールを進むだけ。今世でも困難な状況を理由に諦めるだけ。全部受け身で、自分からは何もしない。お前、まともに自分の人生考えて必死に生きたことあんの?」
「っ!?」
「ごめんねぇ、言い過ぎちゃったかなぁ?でも、僕が言いたいのはさぁ、せっかくだからもうちょっと頑張ってみないかいってことさぁ!」
「でも、、、。」
「君の家族が何で殺されたか知りたいかぃ?」
「いまさら、、そんなこと知ったって、、、。」
「君たちはねぇ、要は生贄になったんだよぉ。力をつけた商国との戦争を恐れた皇帝は、秘密裏に君たちの領地を差し出すことで戦争を回避したのさぁ。表立って領地を差し出すことはできないからぁ、国家子飼いの暗殺者組織を使って君たちの家を襲ったんだよぉ。それを盗賊の仕業ってことにしてぇ、鎮圧することで商国の息のかかった貴族をそこの領主にすげかえることができるってことさぁ。」
「でも!そんなことしたって戦争は避けられないじゃ無いか!しかも、わざわざ殺さなくたって!!」
「そうさぁ、戦争は避けられないねぇ、そして殺す必要だってなかったよぉ?でも、そんなこと君に関係あるかぃ?どうあったってぇ、君は何もできなかったよねぇ?」
「っ、、、あぁ、何もできなかったさっ!だから何だって言うんだよ!どうしようもないじゃ無いか!」
「そうだねぇ、どうしようもなかったねぇ、、
でも、それは君が弱いからだよぉ?」
「俺が弱いから?じゃあなんだ?国には迎えるほどの武力があればよかったとでも言うのか?そんな世迷言今更言ったってどうなる?俺を馬鹿にしたいだけならやめてくれよ、、。」
「ちがうよぉ、武力なんてたいそうなモノじゃないよぉ?君はねぇ、自分で自分の人生を生きる意思が弱いのさぁ。与えられた環境、周りの影響を理由に流されてぇ、受け身で諦めてるばっかりじゃないかなぁ?だから君は他者と争わないでぇ、競わないで生きてきたんだよねぇ?この世界は競争社会だよぉ?闘わない者が幸せに生きていけるわけないよねぇ?」
「確かにそうかもな!だからどうしたんだよ、もう死ぬ俺には関係ないだろ?」
「君は死なないよぉ、何のために僕がギフトをあげたと思ってるのかなぁ?これを見てごらん?」
ーーーーーーーーーーーーーーー
アイン・シュタウフェン 15歳
HP 隗」譫蝉ク榊庄
TP 50
技能
算術 Lv.10(Max)
弁論術 Lv.5
剣術 Lv.3
体術 Lv.3
農耕術 Lv.2
社交術 Lv.4
薬理術 Lv.8
医術 Lv.7
苦痛完全耐性
├毒耐性 Lv.10(Max)
├痛覚耐性 Lv.10(Max)
└精神耐性 Lv.10(Max)
魔術
なし
加護
超回復
ーーーーーーーーーーーーーーー
「なんだこれ、、、。」
「君のパラメータさぁ!おぉ!やっぱりぃ苦痛完全耐性はすごいねぇ!レアだよぉ?そして何と言ってもぉ、僕の加護が一番だよねぇ?」
「こんなの見せられてどうしろってんだ、、」
「HPの欄を見てごらん?」
「、、、バグってんのか、、?」
「簡単に言えばそうだねぇ。もっとわかりやすく言うとぉ、君の生命力は僕の加護のおかげで人の域を外れているのさぁ!
実験の中で実感したでしょぉ?切っても死なない、致死毒を受けても死なない。まあ限度はあるけどぉ、外的要因じゃぁ簡単には死なない。だからぁ、廃棄にも耐えられるってことだよぉ!」
「でも、、、生き残ったって、家族も、身分も、生きる目的もない、、、」
「その全部を奪ったのはだれなのかなぁ?」
「、、、、帝国だ。」
「君の心を殺すような酷い仕打ちをしたのは誰かなぁ?」
「ドクだ。」
「ドクは奇しくも君の家を襲った暗殺者組織の一員なんだよぉ。組織ついて君はどう思うのかなぁ?」
「許せない。殺してやりたいぐらい憎い。」
「なら君はどうしたいのかなぁ?」
「俺と同じ目に合わせてやる。全て奪ってやる。もういっそ死にたいと思うまで苦しめて、全てを踏み躙って惨めに殺してやる。」
「それが君の生きる意志なんだねぇ?」
「俺の人生は今ドン底だ、マイナスなんだよ。だから、奪わないといけない。あいつらに奪われた全てを奪い返さないと俺の人生は0に、プラスにはならないんだよ。だから奪う、俺が幸せになる為に。」
「もう大丈夫そうだねぇ!じゃあ現実に戻ろうかぁ!僕は君の幸せな人生を願っているよぉ!」
意識が遠のいていく。前と同じだ、俺は現実に戻る。
遠のいていく意識の中で神様の声が確かに聞こえた。
「この世界は競争で出来ている!強者は弱者を踏み躙り上に立つ!弱肉強食!それが社会!それこそが世界!幸せになる為には争わなければならない!競わなければならない!」
「汝、その、"頂"に至まんことを!!」
目が覚めた。
世界は紅蓮に染まっていた。
ここは、どこだ。
起き上がって辺りを見渡すと、そこは焼却炉だった。
息を吸えば肺は焼け、動くだけで関節の皮膚は千切れる。
だが、不思議と痛みはない。苦痛もない。
1,000℃にも及ぶ焼却炉の炎よりも、俺の心を燃やす憎しみの炎の方が熱い。
焼却炉の排気口が見える。
生きよう。生き延びよう。そして奪おう。俺から全てを奪った奴らから。そして殺そう。俺を害する全てを。
それが社会だ。それが世界だ。
そう、これが俺の人生だ。
俺は俺の為に生きる。
俺の二度目の人生は、今、マイナスから始まった。
わかる、今の俺は人じゃない。
わかる、ドクに言葉は通じない。
わかる、今の俺に出来ることはない。
「おはようございます。」
「・・・・」
「ふむふむ、大体わかりました。外傷のに対する回復力は一般的な人類の6-700倍ほどあるみたいですね」
「・・・・」
「次は、毒物に対する抵抗力と解毒力の測定をしましょう。」
「・・・・」
「手術の際に使った麻痺毒は、手術の痛みで気絶してしまっていたので反応が見れませんでした。もう一度試す必要があるようですね。」
「・・・・」
「他の毒物も、作用別に数を絞って一つづつ試しましょう。」
「・・・・」
「楽しくなってきましたね。」
「・・・・」
「また来ます。」
バタンッ
俺は考えることをやめた。
期待すると、失望した時辛いから。
希望を持つと、絶望した時辛いから。
抵抗すると、失敗した時辛いから。
俺は全てを受け入れることにした。
だって死ねないのだから。
だから心を閉ざすことにした。
だから俺は辛くない。
人体実験は、初めとても辛かった。
痛い、気持ち悪い、苦しい、まるでこの世の全ての苦痛を集めたようなそんな辛さがあった。
でも、心を閉ざして、痛みを苦しみを当たり前のことにする。そして、ついには何も感じなくなった。
最後に残ったのは、退屈だった。
なぜか俺の体は死ぬことを許さない。だから、ただ意思もなく生命を維持するだけの機械になりたかった。でも、痛みや苦しみを感じなくなった俺に残された退屈は、過去や未来を考えさせた。
過去を考えると今との落差が痛い。
未来を考えると先の見えない闇が怖い。
それがとても辛かった。
だから俺は別のことを考えるようになった。
俺は今を考えるようになった。
幸いにも考えることは絶えず供給された。
運動神経だけを麻痺させる毒
神経を鋭敏にさせる毒
思考を加速させる毒
幸せな幻覚を見せる毒
恐ろしい幻覚を見せる毒
代謝を下げ仮死状態になる毒
筋肉だけを破壊する毒
骨を溶かす毒
細胞を破壊する毒
etc…
毎日効果を試される毒の作用原理を考えることはとても楽しかった。
ドクは考えていることを独り言として言う癖がある。だから今俺の体に起きていることや、この世界の毒に関する知識を沢山くれた。
また、ドクは投薬以外にも様々な人体実験をした。
例えば、魔獣の臓器を移植する実験。
例えば、雷魔術の電気刺激で体を動かす実験。
例えば、身体強化の奇跡で臓器の活動を強化する実験。
俺の体は絶えず刻まれ、内側から外側から焼かれ、観察された。
俺も俺自身を観察した。そうやって俺は退屈を凌いだ。
俺の体は、毒の影響を正しく受ける。皮膚を溶かす毒を投与されると、皮膚は溶ける。体を麻痺させる毒を投与されると、体が麻痺する。
だが、どんな毒でも致命傷にはならない。死に至る寸前までは行くが、決して死ぬことはない。
また、物理、魔術、毒あらゆる影響による外傷も回復が異様に早い。本来体が受け付けない異種族の臓器なども難なく受容してしまうようだ。
生きることに必死というか貪欲と言うか。とても不思議な性質をしているようだ。
だが、そんなことを考え、現実から目を逸らし続けた心ももう限界だった。
体は確かに生き続ける。
だが、心が緩やかに死んでいった。
理由は単純だった。
俺には、生きる理由がなかった。
家族は死んだ。
未来は断たれた。
何を学ぼうが、何を考えようが全てが無意味。
ただ絶望を引き延ばしているだけだった。
もう、何のために生きていけばいいのか、、、
あれ?俺生きる必要あるんだっけ、、?
「おはようございます。」
「 」
「おや?」
そう言ってドクは目を覗き込む。
「ああ、これも心が死んでしまいましたか。」
「 」
「まあ、これで試せることは一通りできました。結局、回復力の原理は肉体的な理由ではないみたいですし。」
「 」
「最近は、これで遊ぶのも飽きてきていましたし、廃棄しますか。検体は他にも沢山います。」
「 」
「あなたの心が死んでいく様を観察するのはとても楽しかったです。」
「 」
「ではさようなら。」
あぁ、やっと死ねる。俺の死んだ心は安堵した。
「やぁ!ひさしぶりぃ!」
「っは!、、、、俺は死んだのか、、、、?」
「まだ生きてるよぉ?でも、せっかく生まれ直させてあげたのに死にたそうにしてたからぁ、少し元気づけてあげようってねぇ!」
「そうか、でも、もういいんだ。俺に希望も、未来も、生きる目的も無い。もう疲れたんだ。辛いのはもう嫌なんだ。」
「そっかぁ、まぁ、君は一度もまともに自分の人生を生きようとしてなかった負け犬だもんねぇ?」
「はぁ?神様に何がわかるんだ!?あの状況でどうしろって!?」
「前世では親の敷いたレールを進むだけ。今世でも困難な状況を理由に諦めるだけ。全部受け身で、自分からは何もしない。お前、まともに自分の人生考えて必死に生きたことあんの?」
「っ!?」
「ごめんねぇ、言い過ぎちゃったかなぁ?でも、僕が言いたいのはさぁ、せっかくだからもうちょっと頑張ってみないかいってことさぁ!」
「でも、、、。」
「君の家族が何で殺されたか知りたいかぃ?」
「いまさら、、そんなこと知ったって、、、。」
「君たちはねぇ、要は生贄になったんだよぉ。力をつけた商国との戦争を恐れた皇帝は、秘密裏に君たちの領地を差し出すことで戦争を回避したのさぁ。表立って領地を差し出すことはできないからぁ、国家子飼いの暗殺者組織を使って君たちの家を襲ったんだよぉ。それを盗賊の仕業ってことにしてぇ、鎮圧することで商国の息のかかった貴族をそこの領主にすげかえることができるってことさぁ。」
「でも!そんなことしたって戦争は避けられないじゃ無いか!しかも、わざわざ殺さなくたって!!」
「そうさぁ、戦争は避けられないねぇ、そして殺す必要だってなかったよぉ?でも、そんなこと君に関係あるかぃ?どうあったってぇ、君は何もできなかったよねぇ?」
「っ、、、あぁ、何もできなかったさっ!だから何だって言うんだよ!どうしようもないじゃ無いか!」
「そうだねぇ、どうしようもなかったねぇ、、
でも、それは君が弱いからだよぉ?」
「俺が弱いから?じゃあなんだ?国には迎えるほどの武力があればよかったとでも言うのか?そんな世迷言今更言ったってどうなる?俺を馬鹿にしたいだけならやめてくれよ、、。」
「ちがうよぉ、武力なんてたいそうなモノじゃないよぉ?君はねぇ、自分で自分の人生を生きる意思が弱いのさぁ。与えられた環境、周りの影響を理由に流されてぇ、受け身で諦めてるばっかりじゃないかなぁ?だから君は他者と争わないでぇ、競わないで生きてきたんだよねぇ?この世界は競争社会だよぉ?闘わない者が幸せに生きていけるわけないよねぇ?」
「確かにそうかもな!だからどうしたんだよ、もう死ぬ俺には関係ないだろ?」
「君は死なないよぉ、何のために僕がギフトをあげたと思ってるのかなぁ?これを見てごらん?」
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アイン・シュタウフェン 15歳
HP 隗」譫蝉ク榊庄
TP 50
技能
算術 Lv.10(Max)
弁論術 Lv.5
剣術 Lv.3
体術 Lv.3
農耕術 Lv.2
社交術 Lv.4
薬理術 Lv.8
医術 Lv.7
苦痛完全耐性
├毒耐性 Lv.10(Max)
├痛覚耐性 Lv.10(Max)
└精神耐性 Lv.10(Max)
魔術
なし
加護
超回復
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「なんだこれ、、、。」
「君のパラメータさぁ!おぉ!やっぱりぃ苦痛完全耐性はすごいねぇ!レアだよぉ?そして何と言ってもぉ、僕の加護が一番だよねぇ?」
「こんなの見せられてどうしろってんだ、、」
「HPの欄を見てごらん?」
「、、、バグってんのか、、?」
「簡単に言えばそうだねぇ。もっとわかりやすく言うとぉ、君の生命力は僕の加護のおかげで人の域を外れているのさぁ!
実験の中で実感したでしょぉ?切っても死なない、致死毒を受けても死なない。まあ限度はあるけどぉ、外的要因じゃぁ簡単には死なない。だからぁ、廃棄にも耐えられるってことだよぉ!」
「でも、、、生き残ったって、家族も、身分も、生きる目的もない、、、」
「その全部を奪ったのはだれなのかなぁ?」
「、、、、帝国だ。」
「君の心を殺すような酷い仕打ちをしたのは誰かなぁ?」
「ドクだ。」
「ドクは奇しくも君の家を襲った暗殺者組織の一員なんだよぉ。組織ついて君はどう思うのかなぁ?」
「許せない。殺してやりたいぐらい憎い。」
「なら君はどうしたいのかなぁ?」
「俺と同じ目に合わせてやる。全て奪ってやる。もういっそ死にたいと思うまで苦しめて、全てを踏み躙って惨めに殺してやる。」
「それが君の生きる意志なんだねぇ?」
「俺の人生は今ドン底だ、マイナスなんだよ。だから、奪わないといけない。あいつらに奪われた全てを奪い返さないと俺の人生は0に、プラスにはならないんだよ。だから奪う、俺が幸せになる為に。」
「もう大丈夫そうだねぇ!じゃあ現実に戻ろうかぁ!僕は君の幸せな人生を願っているよぉ!」
意識が遠のいていく。前と同じだ、俺は現実に戻る。
遠のいていく意識の中で神様の声が確かに聞こえた。
「この世界は競争で出来ている!強者は弱者を踏み躙り上に立つ!弱肉強食!それが社会!それこそが世界!幸せになる為には争わなければならない!競わなければならない!」
「汝、その、"頂"に至まんことを!!」
目が覚めた。
世界は紅蓮に染まっていた。
ここは、どこだ。
起き上がって辺りを見渡すと、そこは焼却炉だった。
息を吸えば肺は焼け、動くだけで関節の皮膚は千切れる。
だが、不思議と痛みはない。苦痛もない。
1,000℃にも及ぶ焼却炉の炎よりも、俺の心を燃やす憎しみの炎の方が熱い。
焼却炉の排気口が見える。
生きよう。生き延びよう。そして奪おう。俺から全てを奪った奴らから。そして殺そう。俺を害する全てを。
それが社会だ。それが世界だ。
そう、これが俺の人生だ。
俺は俺の為に生きる。
俺の二度目の人生は、今、マイナスから始まった。
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