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第3章 変身レッスン
第14話 二度目のデート
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「ももさん。待ってたよ」
待ち合わせ場所に行くと、既に蓮さんがきていた。私を見つけると、軽く右手をあげる。
目が合うと、わずかに首を傾けて笑った。相変わらずの王子様スマイルだ。
「おまたせ!」
ももなら、元気いっぱいに挨拶する。だってその方が、可愛いって思ってもらえるから。
客観的に見てももらしい行動をするのではなく、ももがしそうな行動をとる。考え方を変えただけで、前よりもずっとやりやすくなった。
「今日も可愛いね」
「でしょ?」
褒められた時、ももなら謙遜なんてしない。だって、自分が一番、自分の可愛さを信じているから。
とはいえ、ももとして振る舞うのに完璧に慣れたわけじゃない。今だって、顔がちょっと赤くなってしまった。
「今日は、二回目のデートだね」
歩き出した蓮さんが、自然に私の手を握った。目が合うと、唇の端だけを上げて蓮さんが笑う。
まるで、悪戯が成功した子供みたいな笑顔だ。
蓮さんがこんな表情をするのはどうしてなんだろう。如月さんには、蓮さんがどう見えているんだろう。
「うん。今日は二人で、思いっきり楽しもうね」
分からない。分からないからきっと、これから知っていけるはずだ。
◆
私たちがやってきたのは、池袋にある水族館。商業施設の中にあるから行きやすいし、広すぎず狭すぎず、適度な大きさだ。
「なにから見る?」
私の手を握ったまま、蓮さんが私の顔を覗き込んだ。
「ペンギン、とか?」
水族館といえば、ペンギンって気がする。もちろん、他にもいろいろな生き物がいるのは分かってるんだけど。
「いいね。行こうか」
「うん!」
ペンギンコーナーは人気だったけれど、なんとか見やすい位置に行くことができた。水の中をすいすいと泳いでいる子もいるし、陸にあがってじっとしている子もいる。
水槽前にペンギンの名前や特徴を書いたパネルがあったけれど、正直、区別なんてつかない。
「どれがどの子が分かる?」
パネルを指差しながら蓮さんを見ると、蓮さんは一瞬だけ考え込むような顔をして、すぐに軽い溜息を吐いた。
「残念ながら、分からないな」
「一緒だね」
そろって一歩前に出て、ペンギンを観察する。やっぱり一匹ずつの違いなんてよく分からないけれど、可愛いのは確かだ。
◆
館内を見てまわった後、私たちは売店コーナーにやってきた。雑貨類や食べ物からぬいぐるみまで、いろいろな物が売っている。
「せっかくだから、今日の記念になにか買わない?」
私が言うと、すぐに蓮さんは頷いてくれた。二人で並んで、なにかいいものがないかを物色する。
手軽なのは、お菓子かな。でも、食べたらなくなっちゃうのはちょっともったいない気がする。
クリアファイルとかペンなら学校でも使えるけど、ちょっと使いにくそうだ。
「これとか、どうかな」
蓮さんが手にとったのは、ペンギンのマスコットだった。チャームがついているから、鞄やポーチにもつけられる。
「いいね! 一番印象に残ってるの、ペンギンだし」
今日のデートを象徴するアイテムとしては、これが一番いい気がする。
それに、マスコットをおそろいで持つなんて、なんだかすごく友達っぽくていい。
「色も一緒にする? それとも、色違いにする?」
言いながら、蓮さんが何種類かのマスコットを指差した。
実際のペンギンに似せた黒や灰色の物から、ピンクや紫まで、いろいろな色のマスコットがある。
「じゃあ、お互いのをお互いが偉ぶっていうのはどう?」
普通に自分で選ぶよりも、きっと記憶に残るはず。そう思って提案したら、蓮さんはすぐに頷いてくれた。
◆
「ももさんには、これかなって」
蓮さんが私に渡したのは、灰色のペンギンだった。可愛いけれど、ちょっとびっくりする。
てっきり、ピンク色のペンギンを渡されると思っていたから。
「これ、嫌だった?」
「ううん。ちょっとびっくりしただけ」
「ピンクにしようかとも思ったんだけど、なんとなく、色が僕の髪に似てるかなって」
そう言うと、蓮さんはくすっと笑った。
ちょっと色っぽい、今まで見たことがない笑い方だ。
「ももさんには、これを見るたびに、僕を思い出してほしかったから」
「……それ、ちょっと狡くない?」
王子様すぎるというか、人たらし過ぎるというか。
如月さんの理想の性格なんだろうけど、どきどきさせられるこっちの身にもなってほしい。
「私が選んだのはこれね」
私が蓮さんに渡したのは、ピンク色のペンギンだ。
「……もしかして、同じ理由?」
「違うよ。ただ、私が一番可愛いと思う物を、人にもおすすめしたいってだけ」
「それ、ももさんらしいね」
ももらしいなんて、初めて言われた。
そう言われるくらい、今の私はちゃんと、天使ももになれてるのかな。
なんだか誇らしくて、顔がにやけるのを止められなかった。
待ち合わせ場所に行くと、既に蓮さんがきていた。私を見つけると、軽く右手をあげる。
目が合うと、わずかに首を傾けて笑った。相変わらずの王子様スマイルだ。
「おまたせ!」
ももなら、元気いっぱいに挨拶する。だってその方が、可愛いって思ってもらえるから。
客観的に見てももらしい行動をするのではなく、ももがしそうな行動をとる。考え方を変えただけで、前よりもずっとやりやすくなった。
「今日も可愛いね」
「でしょ?」
褒められた時、ももなら謙遜なんてしない。だって、自分が一番、自分の可愛さを信じているから。
とはいえ、ももとして振る舞うのに完璧に慣れたわけじゃない。今だって、顔がちょっと赤くなってしまった。
「今日は、二回目のデートだね」
歩き出した蓮さんが、自然に私の手を握った。目が合うと、唇の端だけを上げて蓮さんが笑う。
まるで、悪戯が成功した子供みたいな笑顔だ。
蓮さんがこんな表情をするのはどうしてなんだろう。如月さんには、蓮さんがどう見えているんだろう。
「うん。今日は二人で、思いっきり楽しもうね」
分からない。分からないからきっと、これから知っていけるはずだ。
◆
私たちがやってきたのは、池袋にある水族館。商業施設の中にあるから行きやすいし、広すぎず狭すぎず、適度な大きさだ。
「なにから見る?」
私の手を握ったまま、蓮さんが私の顔を覗き込んだ。
「ペンギン、とか?」
水族館といえば、ペンギンって気がする。もちろん、他にもいろいろな生き物がいるのは分かってるんだけど。
「いいね。行こうか」
「うん!」
ペンギンコーナーは人気だったけれど、なんとか見やすい位置に行くことができた。水の中をすいすいと泳いでいる子もいるし、陸にあがってじっとしている子もいる。
水槽前にペンギンの名前や特徴を書いたパネルがあったけれど、正直、区別なんてつかない。
「どれがどの子が分かる?」
パネルを指差しながら蓮さんを見ると、蓮さんは一瞬だけ考え込むような顔をして、すぐに軽い溜息を吐いた。
「残念ながら、分からないな」
「一緒だね」
そろって一歩前に出て、ペンギンを観察する。やっぱり一匹ずつの違いなんてよく分からないけれど、可愛いのは確かだ。
◆
館内を見てまわった後、私たちは売店コーナーにやってきた。雑貨類や食べ物からぬいぐるみまで、いろいろな物が売っている。
「せっかくだから、今日の記念になにか買わない?」
私が言うと、すぐに蓮さんは頷いてくれた。二人で並んで、なにかいいものがないかを物色する。
手軽なのは、お菓子かな。でも、食べたらなくなっちゃうのはちょっともったいない気がする。
クリアファイルとかペンなら学校でも使えるけど、ちょっと使いにくそうだ。
「これとか、どうかな」
蓮さんが手にとったのは、ペンギンのマスコットだった。チャームがついているから、鞄やポーチにもつけられる。
「いいね! 一番印象に残ってるの、ペンギンだし」
今日のデートを象徴するアイテムとしては、これが一番いい気がする。
それに、マスコットをおそろいで持つなんて、なんだかすごく友達っぽくていい。
「色も一緒にする? それとも、色違いにする?」
言いながら、蓮さんが何種類かのマスコットを指差した。
実際のペンギンに似せた黒や灰色の物から、ピンクや紫まで、いろいろな色のマスコットがある。
「じゃあ、お互いのをお互いが偉ぶっていうのはどう?」
普通に自分で選ぶよりも、きっと記憶に残るはず。そう思って提案したら、蓮さんはすぐに頷いてくれた。
◆
「ももさんには、これかなって」
蓮さんが私に渡したのは、灰色のペンギンだった。可愛いけれど、ちょっとびっくりする。
てっきり、ピンク色のペンギンを渡されると思っていたから。
「これ、嫌だった?」
「ううん。ちょっとびっくりしただけ」
「ピンクにしようかとも思ったんだけど、なんとなく、色が僕の髪に似てるかなって」
そう言うと、蓮さんはくすっと笑った。
ちょっと色っぽい、今まで見たことがない笑い方だ。
「ももさんには、これを見るたびに、僕を思い出してほしかったから」
「……それ、ちょっと狡くない?」
王子様すぎるというか、人たらし過ぎるというか。
如月さんの理想の性格なんだろうけど、どきどきさせられるこっちの身にもなってほしい。
「私が選んだのはこれね」
私が蓮さんに渡したのは、ピンク色のペンギンだ。
「……もしかして、同じ理由?」
「違うよ。ただ、私が一番可愛いと思う物を、人にもおすすめしたいってだけ」
「それ、ももさんらしいね」
ももらしいなんて、初めて言われた。
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なんだか誇らしくて、顔がにやけるのを止められなかった。
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