婚約破棄され悪役令嬢にされました

綾取

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第22話 未来への誓い

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 季節は柔らかな陽射しに包まれた春。王都の大聖堂には、人々の祝福の声が溢れていた。

 リディアとジュリアンが祝福される中、クラリッサとオーリスもまた人々の前で並び立っていた。
最初は皮肉屋と冷徹な才女という不思議な取り合わせに囁きもあったが、今では「よくお似合い」と誰もが頷く。

 また、かつて厳しく娘を律してきたリディアの両親も、今はその幸せな姿を静かに喜んでいた。


 新たに夫婦となったリディアとジュリアン。その姿は、かつて「悪役令嬢」と呼ばれた彼女を知る者たちにとって、まるで別人のように映っていた。だが、リディア自身は知っている。――変わったのではなく、本来の自分を取り戻しただけなのだと。

 ジュリアンは彼女の手を優しく取り、誓いを交わした日から変わらぬ眼差しで支え続けていた。彼の存在は、リディアに「ありのままの自分でいていい」と教えてくれた。

 彼女の名誉は完全に回復し、今では王族と公爵家の橋渡し役として多くの人々に慕われている。リディアは誇り高く、そして柔らかな笑みを見せる女性へと成長していた。

 その傍らでオスカーが控えている。相変わらず冷静で無駄のない仕草の執事だが、ふと一瞬だけ表情を和らげた。

「ようやく肩の荷が下りました」
 小さく漏れたその呟きは、誰の耳にも届かなかった。だが確かに、忠実なる執事の胸には深い安堵が刻まれていた。

 かつて彼女を陥れようとした令嬢の名が、今や人々の口にのぼることはない。
 リディアにとってそれは、もはや取るに足らぬ過去の一片でしかなかった。

 リディアは静かに窓辺に立ち、遠くを見つめる。あの日々の痛みも、孤独も、すべてが自分を形作ったものだと。過去を否定するのではなく、受け入れて歩み出せる強さを得たのだ。

「私はもう、“悪役令嬢”ではありません」
 小さく呟いたその声には、誇りと希望が宿っていた。

 ジュリアンが隣に立ち、そっと彼女の手を握る。
「これからも、共に歩みましょう」

「ええ。いつまでも」
 その答えは、静かながら確かな未来への誓いだった。

 こうして、かつて「悪役令嬢」と呼ばれた少女の物語は幕を閉じる。
 だが、それは同時に、新たな人生の始まりでもあった。
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