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第21話 未来への選択
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数日後。王都は静かな熱気に包まれていた。
ミレイユの虚偽が白日の下に晒され、リディアの名誉は王宮内外で一気に回復していた。
舞踏会で浴びせられた嘲笑や非難は、今やすべて撤回され、「真に気高き公爵令嬢」としての評価が広まっていく。
「リディア様を信じきれなかった我らの浅慮を、どうかお許しください」
王宮の重臣たちが次々に頭を垂れる光景に、リディアは静かに微笑みで応じた。
彼女にとって赦しは簡単なものではない。だが、必要以上に責めることもまた、自分の矜持に反する。そう思えた。
その一方で、ミレイユ・ランフォードの姿を見かける者はもういない。
彼女は実家に引き取られ、二度と社交界に現れることはなかった。
そして数年後、リディアの耳に、かつて殿下に取り入ろうとした令嬢は辺境で細々と暮らしていると伝わる。
リディアはただ静かに目を伏せ、「過去は過去」とだけ呟いた。
――そんなリディアの側には、常にジュリアンがいた。
彼は公の場でも臆することなくリディアを支え、時に人前で「彼女は私が誇るべき人だ」と断言した。
その真っ直ぐな誠実さは、リディアの心をじわじわと温めていった。
「あなたは、不思議な人ですね」
ある日の中庭で、リディアはふと呟いた。
「私の欠点も弱さも知っているはずなのに、なぜそれでも……」
ジュリアンは迷わず答える。
「欠点や弱さも、あなたを形作る一部です。私は、そのすべてを愛したいのです」
その言葉に、リディアはわずかに瞳を潤ませた。
胸の奥に沈んでいた氷が、溶けていくような心地がした。
「ありがとう」
静かに微笑むその姿は、かつての孤高の令嬢ではなく、誰かを信じ、心を寄せる一人の女性のものだった。
その一方で、セドリックは孤独に決断を下していた。
「兄上。」
呼び止めるジュリアンに、セドリックは苦く微笑む。
「私は愚かだった。彼女を傷つけ、君にまで背を向けた。だが、もう迷わぬ」
彼は玉座からも、リディアからも身を引いた。
「君なら、リディアを幸せにできる。私には、その資格がなかった」
そう言い残し、セドリックは静かに王都を去った。
その背を見送りながら、ジュリアンは深く息を吐く。
兄の影が遠ざかるほど、リディアの笑顔を守る決意が胸に強く刻まれていった。
そして季節がひとつ巡る。
王宮の広間に、祝福の声が響き渡った。
ジュリアンとリディアの正式な婚約が発表され、両家の者たちや重臣たちが列席する中、二人は並んで立っていた。
「リディア・エヴァレット。これからの人生を、共に歩んでほしい」
差し出されたジュリアンの手に、リディアは静かに手を重ねる。
「はい。私もまた、あなたと共に」
その瞬間、広間は歓声と拍手に包まれた。
「次期王太子はジュリアン殿下を」という声すら上がり、彼の存在が強く印象づけられる。
だがリディアにとって大切なのは、地位や称号ではなかった。
彼女の心を救い、支えてくれるただ一人――ジュリアン。
その隣に立つことこそが、何よりの誇りだった。
人々の祝福の輪から少し離れた場所で、執事オスカーがそっと佇んでいた。
長い歳月、リディアを支え、陰で守り続けてきた彼は、静かに胸の奥で呟く。
「ようやく肩の荷が下りましたな」
その声音には、深い安堵と温かな情が滲んでいた。
彼の視線の先で、リディアは誇り高く、そして幸せそうに微笑んでいた。
ミレイユの虚偽が白日の下に晒され、リディアの名誉は王宮内外で一気に回復していた。
舞踏会で浴びせられた嘲笑や非難は、今やすべて撤回され、「真に気高き公爵令嬢」としての評価が広まっていく。
「リディア様を信じきれなかった我らの浅慮を、どうかお許しください」
王宮の重臣たちが次々に頭を垂れる光景に、リディアは静かに微笑みで応じた。
彼女にとって赦しは簡単なものではない。だが、必要以上に責めることもまた、自分の矜持に反する。そう思えた。
その一方で、ミレイユ・ランフォードの姿を見かける者はもういない。
彼女は実家に引き取られ、二度と社交界に現れることはなかった。
そして数年後、リディアの耳に、かつて殿下に取り入ろうとした令嬢は辺境で細々と暮らしていると伝わる。
リディアはただ静かに目を伏せ、「過去は過去」とだけ呟いた。
――そんなリディアの側には、常にジュリアンがいた。
彼は公の場でも臆することなくリディアを支え、時に人前で「彼女は私が誇るべき人だ」と断言した。
その真っ直ぐな誠実さは、リディアの心をじわじわと温めていった。
「あなたは、不思議な人ですね」
ある日の中庭で、リディアはふと呟いた。
「私の欠点も弱さも知っているはずなのに、なぜそれでも……」
ジュリアンは迷わず答える。
「欠点や弱さも、あなたを形作る一部です。私は、そのすべてを愛したいのです」
その言葉に、リディアはわずかに瞳を潤ませた。
胸の奥に沈んでいた氷が、溶けていくような心地がした。
「ありがとう」
静かに微笑むその姿は、かつての孤高の令嬢ではなく、誰かを信じ、心を寄せる一人の女性のものだった。
その一方で、セドリックは孤独に決断を下していた。
「兄上。」
呼び止めるジュリアンに、セドリックは苦く微笑む。
「私は愚かだった。彼女を傷つけ、君にまで背を向けた。だが、もう迷わぬ」
彼は玉座からも、リディアからも身を引いた。
「君なら、リディアを幸せにできる。私には、その資格がなかった」
そう言い残し、セドリックは静かに王都を去った。
その背を見送りながら、ジュリアンは深く息を吐く。
兄の影が遠ざかるほど、リディアの笑顔を守る決意が胸に強く刻まれていった。
そして季節がひとつ巡る。
王宮の広間に、祝福の声が響き渡った。
ジュリアンとリディアの正式な婚約が発表され、両家の者たちや重臣たちが列席する中、二人は並んで立っていた。
「リディア・エヴァレット。これからの人生を、共に歩んでほしい」
差し出されたジュリアンの手に、リディアは静かに手を重ねる。
「はい。私もまた、あなたと共に」
その瞬間、広間は歓声と拍手に包まれた。
「次期王太子はジュリアン殿下を」という声すら上がり、彼の存在が強く印象づけられる。
だがリディアにとって大切なのは、地位や称号ではなかった。
彼女の心を救い、支えてくれるただ一人――ジュリアン。
その隣に立つことこそが、何よりの誇りだった。
人々の祝福の輪から少し離れた場所で、執事オスカーがそっと佇んでいた。
長い歳月、リディアを支え、陰で守り続けてきた彼は、静かに胸の奥で呟く。
「ようやく肩の荷が下りましたな」
その声音には、深い安堵と温かな情が滲んでいた。
彼の視線の先で、リディアは誇り高く、そして幸せそうに微笑んでいた。
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