【完結】嘘も恋も、甘くて苦い毒だった

綾取

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変わりゆく風景

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 学園の庭園を歩くユリウスとメリッサ。昼休みの心地よい日差しの中、ユリウスはどこか落ち着かない表情を浮かべながらも、メリッサと並んで歩いていた。最近、メリッサの提案を受け入れて、彼女と行動を共にしてみることにしたが、その度に胸の中で何かがひっかかるような気がしてならなかった。
「こうして一緒にいると、本当に付き合っているみたいね」と、メリッサが微笑みながら呟く。
 ユリウスはぎこちなく笑った。「まあ、そうだな。これで、エリシアへの噂が少しでも消えてくれればいいんだが」
「ええ、私もそう思うわ。」
メリッサは優しげにユリウスを見つめる。その表情には親しみと慈愛を込めて、そしてごくわずかに計算も見え隠れしていた。
 ふと、遠くから数人の生徒がこちらを見ているのが分かる。クラスメイトたちだ。
「ユリウスって本当に素敵」
「メリッサとお似合いじゃない?」
「メリッサとなら悔しいけど頷けるわね。でも最近、エリシアと一緒のところを見ないけど、どうしたのかしら?」
そんな囁きが風に乗って耳に届いてくる。噂好きな生徒たちは、興味深そうに2人の姿を目で追っていた。
 メリッサは満足げに微笑む。(順調ね……)

 それから数日間、メリッサとユリウスは「恋人らしく」振る舞った。2人で図書室で本を読んでいるところを見せ、昼休みに一緒に食事をする。それによって、クラスの雰囲気は徐々に変わり始めていた。
「ユリウスとメリッサって付き合っているのかしら?」
「なら、エリシアは本当にただの友達だったのかしら?」
クラスメイトたちは次第にエリシアへの疑いを解き始め、彼女に向けられていた視線は今度はユリウスとメリッサに向けられていく。
 まだ変化の理由に気付いていないエリシアも、周囲の態度が変わった事に気づき、ほっと胸を撫で下ろしていた。
(よかった……)
彼女は心からそう思っていた。
 一方、その頃、メリッサは別の場所で新たな布石を打っていた。

「私、ユリウスと付き合うことにしたの。エリシアへの誤解も解けるし……」
噂好きの女子たちと談笑しながら、あえて気負わずに言葉を零す。
「えっ?」
「それ、本当?」
女子たちの目が輝く。
「でも、あんまり広めないでね?」
彼女は控えめに微笑み、言葉を添えた。
「分かったわ。」
「でも、メリッサはそれでいいの?」
ここで一瞬の沈黙を作る。そして、メリッサは少し伏し目がちに呟いた。
「きっかけはどうあれ、私はユリウスと付き合えて嬉しいな。」
その言葉に、女子たちは密かに目を見交わす。(これで、少しずつ……)

メリッサの発言はすぐに広まり、ユリウスとメリッサの関係が本物のように受け止められ始める。それと同時に、エリシアに向けられる関心は、さらに薄れていった。
 その頃、エリシアの耳に思いがけない噂が入ってきた。
「ねえ、知ってる? ユリウスとメリッサ、付き合ってるんだって!」
昼休みの廊下。すれ違った女生徒たちの会話が、はっきりと聞こえた。
「えっ……?」
思わず足を止める。
「ほら、この間も一緒にいたし、本当に仲が良さそうだったよね。」
「ユリウスって優しいし、メリッサさんも上品で素敵だし、お似合いだよね。」
彼女たちは微笑みながら歩き去っていく。エリシアは驚き、その場に立ち尽くした。
(ユリウスが……メリッサと?)
ユリウスはいつも優しくて、困った時にはそばにいてくれた。彼とメリッサが最近仲良くしているのは知っていたけれど、そんな関係だったなんて……
「エリシア?」
声をかけられて顔を上げると、リリィが心配そうに覗き込んでいた。
「大丈夫? 何かあった?」
「……あ、ううん。なんでもない。」
無理に笑顔を作るが、内心は大きく揺れていた。
(どうして……ユリウス、何も言ってくれなかったの?)
 けれど、考えれば当然だ。ユリウスは彼女の恋人ではないし、そんな報告をする義務もない。それでも、胸の奥にわずかな痛みを感じずにはいられなかった。
(でも、これで私への疑いも晴れるなら、よかったのかも……)
 エリシアはそう自分に言い聞かせながら、少し淋しく感じていた。
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