【完結】嘘も恋も、甘くて苦い毒だった

綾取

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見えない距離

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 リリィはエリシアに最近のユリウスをどう思うのか聞いてみようと考えた。
「エリシア、あの噂話以来ユリウスと話してないみたいだけれど?」
昼休みの中庭で、一緒にお茶を飲みながらリリィが尋ねると、エリシアは少し考えてから、ふっと微笑んだ。
「言われてみれば、最近あまり話していないかも。でも、メリッサと付き合っているなら、それも仕方がないわよね」
その言葉に、リリィは少し眉をひそめた。
「それってユリウス本人から 直接聞いたの?」
エリシアは少し驚いたように瞬きをしてから、少し困ったように視線を落とした。
「ううん⋯直接は聞いてないの。でも、前よりも距離を感じるの。もしかしたら、私がレオンハルト様と話しているのを見て、必要ないと思ったのかもしれないわ」
リリィはエリシアの言葉に納得できなかった。
 ユリウスはそんな単純なことで距離を取るような人ではない。
「エリシア、あなたはそれで本当にいいの?」
エリシアは少し考えてから、小さく微笑んだ。
「正直に言うと少し寂しいわ。でも、最近はレオンハルト様とお話しする事も増えて、その時間が嬉しいの」
リリィはそんなエリシアを見て、複雑な気持ちになった。彼女が幸せそうなのは嬉しいけれど、ユリウスのことも気にかかる。
「私、ちょっとユリウスの様子を見てみるわ。なんとなく、彼の気持ちを確かめたくなったの」
エリシアは少し驚いたが、リリィの真剣な表情を見て、ゆっくりと頷いた。
「ありがとう、リリィ。私もちょっと気になるわ。」
「ええ。ユリウスは友達なんだから、放っておけないもの」
リリィはそう言って微笑みながらも、胸の奥に引っかかる違和感を拭えなかった。ユリウスの態度の変化が、ただの恋の進展によるものなのか、それとも⋯。

 放課後、リリィはユリウスを見つけると、声をかけた。
「ねえ、ユリウス。少しお話できる?」
ユリウスはベンチに腰掛けていて、何か考え込んでいるようだったがリリィの声に気づくと、少し驚いたように顔を上げすぐに微笑んだ。
「……リリィか。どうしたんだい?」
リリィはユリウスの隣にそっと座り、少しの間、何も言わずに彼の横顔を見つめた。ユリウスの表情にはどこか迷いが見える。それが、リリィにはどうしようもなく気になった。
「最近、メリッサと一緒にいることが多いわよね」
リリィの言葉に、ユリウスは少し肩をこわばらせた。
「……まあ、そうだな」
「噂になってるの、知ってる?」
ユリウスは微かに視線を落とし、小さく息を吐いた。
「知ってるよ。でも気にしないで。」
「本当に?」
リリィは優しく問いかける。ユリウスの本心を知りたかった。
「ねえ、ユリウス。あなた、本当にメリッサのことが好きなの?」
 その言葉に、ユリウスははっとしたように目を見開いた。
「⋯」
「エリシアとレオンハルト様のことがあるから?エリシアはもうユリウスが必要ないって思ったから?」
 ユリウスの手がぎゅっと握りしめられる。
「僕はただ、エリシアの力になりたかった。でも、もう俺の出る幕じゃないんだろ?」
「本当にそう思う?」
リリィの問いかけは穏やかだけれど、確かな意志を持っていた。ユリウスは何も言えなくなる。
「それで、メリッサと一緒にいるの?本当に彼女が好きだから?それでユリウスは幸せ?」
ユリウスは口を開こうとするが、言葉が出てこない。自分の気持ちが、こんなにも整理されていなかったことに気づいたのかもしれない。
「リリィ、僕は⋯」
「無理に答えなくていいの。ただ、自分に正直になって」
 リリィはそう言って、そっと微笑んだ。ユリウスはそんなリリィの優しさに、心が少しだけ揺れるのを感じた。


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