【完結】嘘も恋も、甘くて苦い毒だった

綾取

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企て

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 昼下がり、学園の庭でエリシアは一人ベンチに腰掛けていた。しばらくすると、メリッサがゆっくりと近づいてくる。
「まあ、エリシア。今日は一人なのね?」
 エリシアは少し驚き顔を上げたが、すぐに微笑んで応じた。
「ええ。少し風が気持ちよかったから、ここで休んでいたの」
「そうなの。でも、最近あなたをよく見かけるのよ。ほら、レオンハルト様とご一緒のところを」
 メリッサは意味深な笑みを浮かべながら言った。エリシアは少し照れくさそうに微笑んだ。
「ええ。学園でお会いすることが増えたの。お話しできるのは嬉しいわ」
 その言葉を聞いて、メリッサの笑みがさらに深まる。
「ふふ、やっぱり特別な方なのね」
「えっ?ええ、そうね」
 エリシアは戸惑いながらも頷いた。その反応を見てメリッサは満足げに微笑んだ。
 そして、その会話の一部を、偶然耳にした人物がいた。ユリウスだ。
 庭園を通りかかった彼は、エリシアとメリッサのやり取りを聞き、足を止めた。もう噂は薄らいでいるようだが、エリシアとは随分会話を交わしていない。言葉にできない感情を抱えながら、彼はその場を静かに離れた。
 ふたりは気づいていない。あの会話こそが、メリッサがユリウスに「偶然」聞かせるために用意した舞台だったことを。
 メリッサはユリウスがここを通りかかる事を計算に入れていてエリシアに話しかけたのだった。

 翌日、ユリウスと顔を合わせたメリッサはさりげなく「そう言えば昨日エリシアに会ってね、レオンハルト様とは順調なようだったので、『ユリウスとの噂はもう心配なさそうで良かったわね』って言ったら『ユリウスは友人よ。レオンハルト様もいらっしゃるしもう大丈夫。』と言っていたわ。」答えたところを都合よく切り取って脚色しユリウスに伝える。
 更に「ユリウスにはあなたがいらっしゃるから、もうそんな噂は立たないでしょ?」と言っていたと嘘の言葉まで付け足した。
 メリッサの言葉に、ユリウスの胸がざわついた。
(エリシアが……)
「そうか。エリシアは君との事は本当だと思っているんだな。」
ユリウスの声はどこか力なく響いた。それを見て、メリッサは内心ほくそ笑む。
「でも、私はユリウスがそばにいてくれると安心するわ。もう偽りの関係だなんて忘れてしまいたいくらい。」

彼の心の隙間に入り込むように、メリッサは微笑んだ。揺れる彼の想いを、確かにメリッサは捕らえつつあった。

 リリィは最近、ユリウスとほとんど話せていないことが気がかりだった。話しかけようとしても、いつも彼の隣にはメリッサがいて、妙な圧を感じて足が止まってしまう。
 以前は、エリシアとユリウスと三人でよく一緒に過ごしていたのに──あの穏やかな時間が、遠いものになってしまった気がした。
 気づけば、自分も含めてエリシアとユリウスが話している姿すら、ほとんど見かけない。エリシアも、それをどこか寂しそうに感じているように見える。
 それに、ユリウス自身も、私たちと距離を置いているように見えるのは、気のせいだろうか。
 ……いいえ、たとえ気のせいでも、このままにはしたくない。
 リリィは決めた。一度、ちゃんとユリウスと話してみようと。

 
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