生きた

しにたくない

文字の大きさ
9 / 12
秋の巻

秋の巻

しおりを挟む
そんなことで中学の後半から俺は殆ど、学校に通わなくなってしまった。家でゲームをしたり、アニメのエロ漫画をネットでみたり、学校をサボってゲームセンターにいったり、遠出して神社にいくことなんてこともあった。

だいたい外にでるときは何かを期待してでる。何か自身を救ってくれるような出会いや、現実から逃避させてくれるような体験を期待して。が、当然何もおこることはなかった。山でカレーを食べたなんて全く夢のない思い出が残るくらいだ。

結局、先生とも話さないままズルズルと学校にいかない期間が続いた。卒業式だけはでて、中高一貫だったから俺は高校へと進学したが結局、そのまま高校へも行かずにやめることとなった。

俺は5月には違う高校へと移った。新しい高校へ通学する時に使う駅に、とんでもなく可愛い女がいて一目惚れした。肌が真っ白で長い黒髪、目は切れ長といった和風美人だった。この白というのが病的なほど、人間味がないほどに白かったのが印象に残っている。今まで女子を単にえろいとか性格が良いとか思うことはあったが、それとは別の感情であった。だが、突然話しかけたらこわがらせてしまうだろうし、そもそも一目惚れというのは人という生き物として、どうなのだ?なんて複雑な思考に陥ったりしていた。しばらくたってヤケクソになり、何がなんでも話しかけるぞと決心して駅に向かった頃には、卒業してしまったのか、もういなくなっていた。

新しい高校での生活は偏差値のかなり低い高校であったので、俺でもここならゆっくりとしたペースの授業についていけるだろうと思っていた。先生も偏差値の高い学校からの転入生ということで買い被りをしていて、数学の分からないところで残った時なんて「あれ?なんで残ってるんだ」と聞かれたくらいだった。

学校には弓道部があった。俺は本当のところをいうと弓道部に入りたかったし、丁度同じ趣味のクラスメイトからも誘われていたが、中学のこともあり、無理してはならないと判断してやめてしまった。結局できるだけ、帰宅部を続けていたが、先生から部活動に入るように何度かいわれて、仕方なく理科部にはいった。

勉強のほうは偏差値の低い学校に移って成績がとれたかといえば、全くそんなことはなかった。中学は学校にいってる間は殆ど授業が宇宙語に聞こえるほどに理解不能だったし、途中からいかなくなったことで、小6で知識がとまっているようなものだからだ。先生達は俺の出身校から判断して、まだ力をだしきれてないだけといった事もあったが、そんなことはないのにと思ってた。

友人関係もこのへんから確実におかしくなっていく。当時の俺は中学までの友達を本当の友人でないとおもってた。いつもバカ話をしてばかりで、深い話もすることなかったし、ロクに意見をぶつけあうこともなかったからだ。俺は本当の友人を欲した。だから今までの広く浅くをやめて、狭く深く、友人関係を作ろうと思ったのだ。俺は自分から話しかけたりすることもなくなり、クラスメイトとは、当たり障りのない話をし、唯一できた話しができる奴との会話といえば人生についてとか生きるとか死ぬとか深い話を求めるようになった。そんなことで友人ができるわけがなかった。

俺は途中で浅い関係もできないなら深い関係になれるはずもないと気づいて、急いで昔の自分に戻ろうとしたけど、これが戻り方がわからない。今現在も、もう戻れない。過去の自分を演じてみてもすべてがぎこちない。ちょうどその人格を演じていたら、その人物になってしまったような感じで、結局は俺が求めてた友人像どころか話ができる程度の今までよりずっと浅い関係の友人が1、2人できた程度であった。

友人のいない俺は休み時間には飯をはやくたべてとっとと図書室に篭るようになった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

乙女ゲームの悪役令嬢、ですか

碧井 汐桜香
ファンタジー
王子様って、本当に平民のヒロインに惚れるのだろうか?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

ちゃんと忠告をしましたよ?

柚木ゆず
ファンタジー
 ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。 「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」  アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。  アゼット様。まだ間に合います。  今なら、引き返せますよ? ※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

将来の嫁ぎ先は確保済みです……が?!

翠月るるな
恋愛
ある日階段から落ちて、とある物語を思い出した。 侯爵令息と男爵令嬢の秘密の恋…みたいな。 そしてここが、その話を基にした世界に酷似していることに気づく。 私は主人公の婚約者。話の流れからすれば破棄されることになる。 この歳で婚約破棄なんてされたら、名に傷が付く。 それでは次の結婚は望めない。 その前に、同じ前世の記憶がある男性との婚姻話を水面下で進めましょうか。

処理中です...