8 / 12
夏の巻
晩夏の巻
しおりを挟む
ここから先に書くことは実感がない。今までは確実に自身の人生を実際に生きたという体感があるのだが、ここからはなんだかフワフワとしていて頭の中に記憶としてあるのだが、自分が実際に体験したという確かな感覚がなく、現実世界から切り離された、頭の中の作り出した世界に生きているような感じで、あっという間に、ただ時間だけが過ぎていった。
この頃の思い出といえば、仲のいい仲間達と地元の史跡に夏休みの宿題でいくことになったことだ。遠い距離をまたバカな話をして歩いて、途中に神社があって、そこでみんなで休んだり、大きな橋を渡る時はグリコのゲームをしながら歩いた。最後の夏の時間といった感じだった。
中学の後半で、同じ通学バス仲間で特に仲がよかった友人のAが学校にこなくなった。
理由はよくわからない。ただ、先生と折り合いが悪そうだったのは覚えている。
自分はどうか。先生と折り合いが悪くなることなどはなかった。自分は先生に本音をいうこともできなかったからだ。
俺は前述したように勉強は壊滅的だったのだ。全くわからないし、宇宙語に聞こえるのだった。
特に数学はいつも学年でビリだった。が、補修もなかったし、声かけなどもなかった。
俺は中1の後半くらいから毎週、数学の塾に通うようになった。親が数学の教師に何度か話し合いをしたようだが、教師からは授業中に「期待している」と声をかけられただけで特に何もアクションはなかった。
頭の悪い生徒というのは、どこが分からないか、分からない。みんなが理解してるのに、授業をとめて質問をしたり、休み時間や放課後に質問するのができなかった。というより毎回宇宙語に聞こえるのだから授業が意味をなしておらず、毎日聞きに行かねばならなくなる。俺も何回かは質問をしにいったが、さすがに毎回は面倒だったし、通学バスの時間が決められていて放課後は残れない。
毎日50分の授業が宇宙語に聞こえて意味をなさないとして、質問にとれる時間は15分か多くて30分。小学校の基礎すらできないし、中学の最初から勿論意味不明だったから、そこからの回収作業などが必要だった。それを全て、自身で能動的に行うほど、ガキの自分は勉強への熱意はなかったし、教師側もスルーをきめこんでいた。
中学生の子供だったから友人とのバカ話や遊びを優先してしまっていた。といっても質問に答えてもらってもその問題ができるだけで他の問題はわからないのだが。
全くバカな生徒が先生に質問にいくというのは先生自身が思う以上に勇気のいることだとおもう。俺からは何回かアクションした。だが数学の先生は?補修も声かけすらもしてくれないじゃないか。学年ビリなんだぞ!なんで何もしてくれないんだと感じていた。
俺はすっかり先生に見捨てられたと思って学校にいかなくなった。他のみんなが数分で通える中学にいくなか、俺だけ往復数時間かけて学校にむかう。授業はてんで意味不明。そもそも小学校のときの生活が違うのだから、本来なら会うはずもないレベルの友人たち。いままでそいつらとの繋がりで学校にくる目的となってたけど、俺もいくのがバカらしくなったというか、学校は勉強を理解しにいくところなんだから意味がないんじゃないかとおもったというか、とにかく見捨てられたという気持ちになった。
何故先生はなにもしてくれないんだと。何故ほっておくのだと。でも、本音でぶつかれない俺は先生に直接そんなこということもできなかった。何かしら言い負かされるにきまっている。先生達はやる気があって地元でなく、受験が必要な中学にわざわざきたというスタンスだからだ。
不登校になっても手紙も連絡も一つもよこさないから更に見捨てられたという思いを強くした。特に数学の教師は自身の教育理論に自信をもってる大手塾のカリスマ講師のような人間で、先生は川辺までは連れて行くが、水を飲もうとしない、やる気のないやつはパッとリードを離してしまう。ということをよく言っていた。
やる気のないやつを何も成績をあげるとか、いい学校にいかせるとかを望んでたわけじゃなかった。ただ死なないように最低限の水を汲むそぶりでいいからみせてほしかったのだ。そもそも小学で受験してやる気もクソもあるか。と思っていた。
教師は自覚すらしておらず、そこが最もこの職業の恐ろしいところで、手術に失敗した医者のように自覚できるものではなく、本人の何気ない対応や悪気のない一挙手一投足が生徒の人生を壊しもするし、救いもする。とはいえ、仕方がないではすまないのだが、完璧にこなせる人間なんていないだろうし、悪気もないわけなので責めることはできない。
現在も最下位の生徒が自信満々に本音をぶつけられてるとは思えないし、人生を左右するどころか、狭い世界しか知らない子供によっては、もっと酷い結果になることもありえるから、もし縁があれば後々このことは伝えてみる価値はあるように感じた。
この頃の思い出といえば、仲のいい仲間達と地元の史跡に夏休みの宿題でいくことになったことだ。遠い距離をまたバカな話をして歩いて、途中に神社があって、そこでみんなで休んだり、大きな橋を渡る時はグリコのゲームをしながら歩いた。最後の夏の時間といった感じだった。
中学の後半で、同じ通学バス仲間で特に仲がよかった友人のAが学校にこなくなった。
理由はよくわからない。ただ、先生と折り合いが悪そうだったのは覚えている。
自分はどうか。先生と折り合いが悪くなることなどはなかった。自分は先生に本音をいうこともできなかったからだ。
俺は前述したように勉強は壊滅的だったのだ。全くわからないし、宇宙語に聞こえるのだった。
特に数学はいつも学年でビリだった。が、補修もなかったし、声かけなどもなかった。
俺は中1の後半くらいから毎週、数学の塾に通うようになった。親が数学の教師に何度か話し合いをしたようだが、教師からは授業中に「期待している」と声をかけられただけで特に何もアクションはなかった。
頭の悪い生徒というのは、どこが分からないか、分からない。みんなが理解してるのに、授業をとめて質問をしたり、休み時間や放課後に質問するのができなかった。というより毎回宇宙語に聞こえるのだから授業が意味をなしておらず、毎日聞きに行かねばならなくなる。俺も何回かは質問をしにいったが、さすがに毎回は面倒だったし、通学バスの時間が決められていて放課後は残れない。
毎日50分の授業が宇宙語に聞こえて意味をなさないとして、質問にとれる時間は15分か多くて30分。小学校の基礎すらできないし、中学の最初から勿論意味不明だったから、そこからの回収作業などが必要だった。それを全て、自身で能動的に行うほど、ガキの自分は勉強への熱意はなかったし、教師側もスルーをきめこんでいた。
中学生の子供だったから友人とのバカ話や遊びを優先してしまっていた。といっても質問に答えてもらってもその問題ができるだけで他の問題はわからないのだが。
全くバカな生徒が先生に質問にいくというのは先生自身が思う以上に勇気のいることだとおもう。俺からは何回かアクションした。だが数学の先生は?補修も声かけすらもしてくれないじゃないか。学年ビリなんだぞ!なんで何もしてくれないんだと感じていた。
俺はすっかり先生に見捨てられたと思って学校にいかなくなった。他のみんなが数分で通える中学にいくなか、俺だけ往復数時間かけて学校にむかう。授業はてんで意味不明。そもそも小学校のときの生活が違うのだから、本来なら会うはずもないレベルの友人たち。いままでそいつらとの繋がりで学校にくる目的となってたけど、俺もいくのがバカらしくなったというか、学校は勉強を理解しにいくところなんだから意味がないんじゃないかとおもったというか、とにかく見捨てられたという気持ちになった。
何故先生はなにもしてくれないんだと。何故ほっておくのだと。でも、本音でぶつかれない俺は先生に直接そんなこということもできなかった。何かしら言い負かされるにきまっている。先生達はやる気があって地元でなく、受験が必要な中学にわざわざきたというスタンスだからだ。
不登校になっても手紙も連絡も一つもよこさないから更に見捨てられたという思いを強くした。特に数学の教師は自身の教育理論に自信をもってる大手塾のカリスマ講師のような人間で、先生は川辺までは連れて行くが、水を飲もうとしない、やる気のないやつはパッとリードを離してしまう。ということをよく言っていた。
やる気のないやつを何も成績をあげるとか、いい学校にいかせるとかを望んでたわけじゃなかった。ただ死なないように最低限の水を汲むそぶりでいいからみせてほしかったのだ。そもそも小学で受験してやる気もクソもあるか。と思っていた。
教師は自覚すらしておらず、そこが最もこの職業の恐ろしいところで、手術に失敗した医者のように自覚できるものではなく、本人の何気ない対応や悪気のない一挙手一投足が生徒の人生を壊しもするし、救いもする。とはいえ、仕方がないではすまないのだが、完璧にこなせる人間なんていないだろうし、悪気もないわけなので責めることはできない。
現在も最下位の生徒が自信満々に本音をぶつけられてるとは思えないし、人生を左右するどころか、狭い世界しか知らない子供によっては、もっと酷い結果になることもありえるから、もし縁があれば後々このことは伝えてみる価値はあるように感じた。
0
あなたにおすすめの小説
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢
さら
恋愛
名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。
しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。
王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。
戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。
一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。
婚約破棄したら食べられました(物理)
かぜかおる
恋愛
人族のリサは竜種のアレンに出会った時からいい匂いがするから食べたいと言われ続けている。
婚約者もいるから無理と言い続けるも、アレンもしつこく食べたいと言ってくる。
そんな日々が日常と化していたある日
リサは婚約者から婚約破棄を突きつけられる
グロは無し
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
婚約破棄を目撃したら国家運営が破綻しました
ダイスケ
ファンタジー
「もう遅い」テンプレが流行っているので書いてみました。
王子の婚約破棄と醜聞を目撃した魔術師ビギナは王国から追放されてしまいます。
しかし王国首脳陣も本人も自覚はなかったのですが、彼女は王国の国家運営を左右する存在であったのです。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる