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陳寿 三国志

諸葛亮

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劉備の先祖である劉邦が漢王朝を建てた。二百年後に王莽という人物が漢王朝を滅ぼすも劉邦の末裔である劉秀が漢王朝を復興。また二百年たつと政治の腐敗などが始まり、世の中は乱世になる。群雄として台頭してきた曹操が中国の豊かな資源と発展した都市が集中する中原地域といわれる北部全域を治めて事実上王朝を支配し、ほぼ天下統一が確定している状態だった。

劉備は再び漢王朝の復興を志すが領土を持てないまま、曹操から逃げ続けて荊州という中国の中部に落ちのび、その地を治める劉表という人物の客将となる。

諸葛亮の学友である徐庶から彼の話を聞き、彼の草廬に赴き、頭を垂れて臣下として迎え入れる。

諸葛亮は曹操の天下が既に決している中、対抗策として天下三分の計を献策する。「東方に位置する呉を治める孫権と手を組む。現在いる中部の荊州、さらに西の劉璋が治める益州をとり、天下に変事があれば荊州と益州から同時に北上し、魏を滅ぼして漢王朝を再興する」

南下してくる曹操に対して荊州を治める劉表の息子たちは降伏。劉備は逃亡するなか諸葛亮が呉との同盟を献策し、呉の君主である孫権を説得。呉を動かして曹操を討ち払うと劉備たちは諸葛亮の計画通り荊州を手に入れた。

次に西方の益州という地域を手に入れる為、劉備が主力部隊を率いて益州への進軍を開始する。順調に攻略していくなか、後詰部隊の要請を受けて諸将と共に領土平定の援助を行う。益州を手に入れると国の政治にあたり、法律作成や農業、軍事力を充足させて国を整備。当初の計画の第一段階である天下三分が成る。

しかし呉が同盟を破って荊州を攻撃。荊州を守っていた劉備の義兄弟の関羽が亡くなる。劉備は呉へ兵をむけるが大敗北を喫して死去。荊州を完全に失い、諸葛亮の天下三分の計は崩壊する。

国力が大幅に減退し、国は反乱、呉との断絶がおこる

諸葛亮は呉と再び同盟を成功させた後、兵を率いて反乱を鎮圧。

様々な政策で急速な国力の回復を実現する。

しかし、魏は大小12の州を治めるのに対して、蜀漢は比較的大きな益州を手にしているとはいえ、わずか1州を治めるのみ。座して待っていてれば国力差は開くばかりでいずれ滅ぼされる。そしてなにより自身を召し抱えてくれた劉備への恩と彼の志した魏を滅ぼして漢王朝を復興させるという遺命に報いるため、国力差が大きく開く魏への北伐を開始する。

天下三分の計の崩壊で魏への進軍に容易な荊州を失った今、守りやすいが攻めにくい益州からの出撃しか選択肢がなく、魏への北伐に向かう際は標高2000メートルの山々を越えながらの進軍をしなければならなかった。

諸葛亮は北伐のために厳しい政治を敷いて兵を率いたが、それが公平で信賞必罰であったために民は恨まず、民や兵からの反乱を招くことなく国が一心団結して魏にあたり、過酷な進軍でありながら短期間で連年出撃を繰り返すことができた。

しかし局地的には有利に進めるものの、信頼する部下の命令違反や天候による障害など五度にわたる北伐は成功に至らず、病に倒れて亡くなった。

感想
ほぼ理想的な臣下といえるのではないか

能力のある人物は情に薄かったり道義を重んじる心がなく、逆に情に厚く道義を重んじる人物は能力に欠ける傾向があるが、諸葛孔明はその両方を兼ね備えていた人物だとおもう。

しかし欲を言えば国力が大きく上回る魏を撃滅するほどの軍事的才覚には欠けていた点で完璧ではなかったところか。忠義や道義を重んじる心と、軍事的才覚、政治的才覚。この三つを完全な形で持ち合わせた人物はなかなかいないものだなと思った。

特に三国志の注釈に記述される彼が魏への北伐の際に上奏したとされる後出師の表という上奏文の「事がここに至った以上、勝敗のゆくえは予測できません。しかし、この魏との戦い、死して後已む覚悟です」という一文、つまり勝てるか勝てないかはわからない。だが何があっても死ぬまで戦いをやめることはないという姿勢が胸に響いた

今まで色々な人物をみたが、吉田松陰と諸葛亮の二人は現実味がないほど人間として美しすぎる 別格だと感じる。
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