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第一章(初夜編)
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もがいてもあがいても、ジュゼの身体全体に圧し掛かる逞しい身体はびくともせず、古びた寝台がジュゼの抵抗に合わせて微かに軋むだけだった。静まり返った部屋の中、狭い寝台で美しい男と抱き合って、寝台を軋ませながらいやらしいことをしている現状を生々しく認識したジュゼの頭に血が上る。唇から零れる水音と、鼻にかかる甘えた吐息が大きく耳に聞こえて、青い瞳に涙が滲んだ。
「あっ、んうっ。だめ、だめ……恥ず、かし……あっ」
猛る股間を一際強く押し付けられて、上擦った自らの声への羞恥にすすり泣いたジュゼの瞳を覗き込んで、妖魔は蠱惑的に微笑んだ。
「今からもっと、恥ずかしくて気持ちいいことをするんですよ。ね? 全て私に任せてください」
妖魔の口ぶりは、すでに確定された事項を伝えるときのそれで。反射的に逃げを打つ心に反して、身体には恐怖と期待が入り乱れてしまう。
大柄な彼には狭く小さい寝台を軋ませながら上体を起こした妖魔は、魅惑をそのまま宝石に固めたような美しい瞳で、熱心にジュゼの肢体を見下ろした。
月明かりの下に露わになった肌は、とてもではないが他者に見せられるものではない。満足な食事を口にすることなく、日々の労働に擦り減って痩せた体はいかにもみすぼらしく貧相だった。
誰が見たってみっともない以外の感想はあるまいと、そう思っているのはジュゼばかりで。下肢に圧し掛かりながらジュゼの半裸を見下ろす妖魔の赤い瞳は、運命の相手への熱い好意に蕩けていた。
「ふふ、愛らしい。触れてほしそうに立ち上がっていますね」
「ひゃっ、ん」
突然、羞恥からツンと主張を見せていた乳首をつままれ、素っ頓狂な声がこぼれる。他人に触れられたことがないどころか、自分で触れたことすらない場所。突起とも呼べない慎ましい尖りを中指と親指がくりくりと弄り、器用な人差し指が気まぐれに乳頭を擦っては押し潰す。初めての感覚に息が上がり、あっという間に体から力が抜けてしまった。
これまで意識したこともなかったことが信じられないほど、その場所はすでに淫靡で敏感な性感帯として機能し始めている。まるで肉のついていない胸部全体を揉みこむように刺激され、巧みな愛撫に厚みを帯びた乳首をぴんと弾かれて、漏れ出た声はすでにいくらかの艶を帯びていた。
「あ、ん。ふぁ……っ?」
「あなたと同じ、素直ないい子ですね。もう可愛らしい色に染まっている」
とろとろと囁かれる甘い響きの声に、そんなわけがないと自分の胸元を見れば、確かに弄られている片方の乳首だけぷっくりと赤くなっていた。
何が起こっているのか、本当には理解できないままに込み上げた羞恥に肌を染めれば、可愛いものを見つめる瞳で微笑んだ妖魔が赤くなった乳首をやわやわと捏ね回す。敏感になった場所に重ねて与えられる刺激に、追い詰められたような気分になったジュゼが身をくねらせて喘いだ。
「あっ、う……変な声、出ちゃう……っ」
「ふふ。素直にいっぱい鳴いてくれた方が、あなたを可愛がれて私は嬉しいですよ」
初めての感覚に、どんどんおかしな気分になっていく。触れられているのは胸元なのに、腕や、お腹や、首筋を。ぞくぞくと寒気にも似た熱が這い回る。
悪魔に、こんな風に触れられて。人間であれば絶対に感じていなければいけないはずの恐怖は、胸からこみ上げるむずむずする感覚に押し潰されて、いつの間にか薄れていた。ぞくぞくとした痺れが腰を這い上がる感覚に、ジュゼが息を荒げて悶え打つ。
「あっ、ん! ぁはっ、あっ……ああぁ、あっ」
拒絶をしないといけないと解っていても、健気に主張し始めた乳首を弾かれれば、勝手に声が出てしまう。だめ、と。震える手を伸ばして妖魔の腕をつかもうとするが、片手はすぐに寝台に縫い付けられ、もう片手は逞しいその腕に縋りつく程度にしか力が入らない。
「あっ、あん。おっぱい、そんなにしちゃ、や……あぁっ」
「ああ、ジュゼ。何てお可愛らしい……」
子猫が戯れるよりも弱々しい抵抗を見せながら、従順に胸を突き出し、幼い言葉で無意識にはしたないことを口走るジュゼをうっとりと見つめた妖魔が、その美しい顔の位置を胸に下ろした。突き出された胸に震える、まだ誰にも触れられたことのない淡い色をしたもう片方の乳首に息を吹きかけ、長い舌で舐め上げる。
「ひぁっ? あ、あああぁっ⁉」
ねろ、と。暖かく濡れた舌にゆったりと舐められた乳首はすぐに妖魔の口に含まれ、赤ん坊のようにちゅくちゅくと音を立てて吸いしゃぶられた。体の芯を突き抜けた未知の感覚に身をよじろうとしても、腰を男の体重に押さえつけられた体は自由が利かず、却って胸を相手に差し出してしまう。
自ら吸引を強請っているようなはしたないその素振りにジュゼ自身が気付くよりも早く、可愛い哀願の仕種に応えるように、妖魔は乳首をしゃぶる舌の動きを複雑なものに変えてジュゼを善がらせた。
「やぁっ、あ、あぅ……っ! そんな、舐めちゃ、だめ……っ、んっ」
隠しようもなく甘えた響きを帯びる拒絶の言葉を受けて、妖魔はより激しく小さな乳首に貪りつく。膨れて弾力を主張し始めた粒をくにくにと甘噛みし、先端を上下に何度も舐め上げて。ちゅくちゅくといやらしい音を立てながら吸い上げたかと思えば、たっぷりと唾液を纏ってぬめる唇でしごくようにして、ジュゼに高い声を上げさせた。
指に嬲られるもう片方もまた、長く美しい指に乳輪ごとつまみ上げて捩じられ、揺すりながら押し潰され、先端を甘く引っ掻く動きを繰り返される。その指先にひらめく鋭い爪に、ジュゼを傷つける意図はないようだが、いとも容易くジュゼの服を切り裂いたことを思い出せば、体には震えが走った。舌に虐められる乳首よりも僅かに痛みが混ざるその刺激に意識が引き摺られ、どんどん乳首が熱を帯びるのが分かる。同時に両方を攻め立てられて、放出を知らない体に渦巻く快楽が甘く澱み、ジュゼの腰を重くした。
熱を帯びながら荒くなる一方の呼吸に翻弄され、意識が快楽に蕩け出す。知らず知らずに瞳を閉ざして与えられる感覚を追うことに夢中になったジュゼは、手を顔の横に置き、喉を浮かせながら乳首の感覚に感じ入った。
「あ、ああ、ああああ……ぁおっ⁉」
突如として、腹部を襲った灼熱に、声が裏返る。
目を見開けば、ジュゼの手を抑える必要のなくなった妖魔の手が、ジュゼの腹をいかがわしい手つきで撫でさすっていた。体の内側を火で炙られるような熱量と、痛みの代わりにこみ上げるぞくぞくした感覚に耐え切れず、ジュゼは自由にならない脚を大きくバタつかせてもがく。
「あっ、んうっ。だめ、だめ……恥ず、かし……あっ」
猛る股間を一際強く押し付けられて、上擦った自らの声への羞恥にすすり泣いたジュゼの瞳を覗き込んで、妖魔は蠱惑的に微笑んだ。
「今からもっと、恥ずかしくて気持ちいいことをするんですよ。ね? 全て私に任せてください」
妖魔の口ぶりは、すでに確定された事項を伝えるときのそれで。反射的に逃げを打つ心に反して、身体には恐怖と期待が入り乱れてしまう。
大柄な彼には狭く小さい寝台を軋ませながら上体を起こした妖魔は、魅惑をそのまま宝石に固めたような美しい瞳で、熱心にジュゼの肢体を見下ろした。
月明かりの下に露わになった肌は、とてもではないが他者に見せられるものではない。満足な食事を口にすることなく、日々の労働に擦り減って痩せた体はいかにもみすぼらしく貧相だった。
誰が見たってみっともない以外の感想はあるまいと、そう思っているのはジュゼばかりで。下肢に圧し掛かりながらジュゼの半裸を見下ろす妖魔の赤い瞳は、運命の相手への熱い好意に蕩けていた。
「ふふ、愛らしい。触れてほしそうに立ち上がっていますね」
「ひゃっ、ん」
突然、羞恥からツンと主張を見せていた乳首をつままれ、素っ頓狂な声がこぼれる。他人に触れられたことがないどころか、自分で触れたことすらない場所。突起とも呼べない慎ましい尖りを中指と親指がくりくりと弄り、器用な人差し指が気まぐれに乳頭を擦っては押し潰す。初めての感覚に息が上がり、あっという間に体から力が抜けてしまった。
これまで意識したこともなかったことが信じられないほど、その場所はすでに淫靡で敏感な性感帯として機能し始めている。まるで肉のついていない胸部全体を揉みこむように刺激され、巧みな愛撫に厚みを帯びた乳首をぴんと弾かれて、漏れ出た声はすでにいくらかの艶を帯びていた。
「あ、ん。ふぁ……っ?」
「あなたと同じ、素直ないい子ですね。もう可愛らしい色に染まっている」
とろとろと囁かれる甘い響きの声に、そんなわけがないと自分の胸元を見れば、確かに弄られている片方の乳首だけぷっくりと赤くなっていた。
何が起こっているのか、本当には理解できないままに込み上げた羞恥に肌を染めれば、可愛いものを見つめる瞳で微笑んだ妖魔が赤くなった乳首をやわやわと捏ね回す。敏感になった場所に重ねて与えられる刺激に、追い詰められたような気分になったジュゼが身をくねらせて喘いだ。
「あっ、う……変な声、出ちゃう……っ」
「ふふ。素直にいっぱい鳴いてくれた方が、あなたを可愛がれて私は嬉しいですよ」
初めての感覚に、どんどんおかしな気分になっていく。触れられているのは胸元なのに、腕や、お腹や、首筋を。ぞくぞくと寒気にも似た熱が這い回る。
悪魔に、こんな風に触れられて。人間であれば絶対に感じていなければいけないはずの恐怖は、胸からこみ上げるむずむずする感覚に押し潰されて、いつの間にか薄れていた。ぞくぞくとした痺れが腰を這い上がる感覚に、ジュゼが息を荒げて悶え打つ。
「あっ、ん! ぁはっ、あっ……ああぁ、あっ」
拒絶をしないといけないと解っていても、健気に主張し始めた乳首を弾かれれば、勝手に声が出てしまう。だめ、と。震える手を伸ばして妖魔の腕をつかもうとするが、片手はすぐに寝台に縫い付けられ、もう片手は逞しいその腕に縋りつく程度にしか力が入らない。
「あっ、あん。おっぱい、そんなにしちゃ、や……あぁっ」
「ああ、ジュゼ。何てお可愛らしい……」
子猫が戯れるよりも弱々しい抵抗を見せながら、従順に胸を突き出し、幼い言葉で無意識にはしたないことを口走るジュゼをうっとりと見つめた妖魔が、その美しい顔の位置を胸に下ろした。突き出された胸に震える、まだ誰にも触れられたことのない淡い色をしたもう片方の乳首に息を吹きかけ、長い舌で舐め上げる。
「ひぁっ? あ、あああぁっ⁉」
ねろ、と。暖かく濡れた舌にゆったりと舐められた乳首はすぐに妖魔の口に含まれ、赤ん坊のようにちゅくちゅくと音を立てて吸いしゃぶられた。体の芯を突き抜けた未知の感覚に身をよじろうとしても、腰を男の体重に押さえつけられた体は自由が利かず、却って胸を相手に差し出してしまう。
自ら吸引を強請っているようなはしたないその素振りにジュゼ自身が気付くよりも早く、可愛い哀願の仕種に応えるように、妖魔は乳首をしゃぶる舌の動きを複雑なものに変えてジュゼを善がらせた。
「やぁっ、あ、あぅ……っ! そんな、舐めちゃ、だめ……っ、んっ」
隠しようもなく甘えた響きを帯びる拒絶の言葉を受けて、妖魔はより激しく小さな乳首に貪りつく。膨れて弾力を主張し始めた粒をくにくにと甘噛みし、先端を上下に何度も舐め上げて。ちゅくちゅくといやらしい音を立てながら吸い上げたかと思えば、たっぷりと唾液を纏ってぬめる唇でしごくようにして、ジュゼに高い声を上げさせた。
指に嬲られるもう片方もまた、長く美しい指に乳輪ごとつまみ上げて捩じられ、揺すりながら押し潰され、先端を甘く引っ掻く動きを繰り返される。その指先にひらめく鋭い爪に、ジュゼを傷つける意図はないようだが、いとも容易くジュゼの服を切り裂いたことを思い出せば、体には震えが走った。舌に虐められる乳首よりも僅かに痛みが混ざるその刺激に意識が引き摺られ、どんどん乳首が熱を帯びるのが分かる。同時に両方を攻め立てられて、放出を知らない体に渦巻く快楽が甘く澱み、ジュゼの腰を重くした。
熱を帯びながら荒くなる一方の呼吸に翻弄され、意識が快楽に蕩け出す。知らず知らずに瞳を閉ざして与えられる感覚を追うことに夢中になったジュゼは、手を顔の横に置き、喉を浮かせながら乳首の感覚に感じ入った。
「あ、ああ、ああああ……ぁおっ⁉」
突如として、腹部を襲った灼熱に、声が裏返る。
目を見開けば、ジュゼの手を抑える必要のなくなった妖魔の手が、ジュゼの腹をいかがわしい手つきで撫でさすっていた。体の内側を火で炙られるような熱量と、痛みの代わりにこみ上げるぞくぞくした感覚に耐え切れず、ジュゼは自由にならない脚を大きくバタつかせてもがく。
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