【完結】夢魔の花嫁

第一章（初夜編）

１－１４＃

　きゅうきゅうと縋りつくような、柔い粘膜の拙い抱擁を受けて、妖魔は赤い瞳に溢れんばかりの情愛を満たして甘く笑う。ぐっ、と。体重をかけるその動きに伴って、一番気持ちいい場所にぐりりと亀頭を押し付けられたジュゼの身体がのたうった。

「ああ、そんなに一生懸命に締めなくても……いいところ、たくさん突いてあげますから、ね？」
「きゃうっ！　あっ、あ♡　だめっ！　そこばっかり、とんとんしちゃ、だめぇっ♡　いっ、いく、いくぅ♡　っあぁ～～～♡」

　高い場所から放り出されるような浮遊感に一拍遅れて、快感がジュゼの全身を飲み込んだ。腰から下が溶けてなくなってしまうほどの快楽が体を支配して、脳まで蕩けそうな強烈な快感が指先から爪先までも痺れさせる。余分な肉の一切ない、薄く痩せた胎に熱い電撃が走って、押さえ付けられた四肢がびくびくと跳ねた。

「上手にイけましたね。ふふ、気持ちいいこと、ちゃんと覚えてくださいね……♡」
「あっ、あっ、あっ♡」

　熱のこもった息を吐き出しながら、妖魔は萎えることのない逞しいペニスで、尚もジュゼを攻め続ける。少しでも快楽を逃したくて、身をよじろうとくねらせた腰に強い一撃を叩き込まれて。易々と弱点を明け渡した内壁が、ビクンビクンと大きく痙攣しながらきゅうと締まった。
　すっかり雌の快楽を覚えてしまった身体は易々と胎内を征服され、狭い肉筒は熱い男根に淫らにむしゃぶりついて悦んでいる。ジュゼはもう指一本自由に動かすことも出来ず、意識を揺さぶるような絶頂に、全身をガタガタ震わせながら快感に脳を焼き焦がした。

「あっ、もうっ、やらぁ……！　や、しんじゃ……きもちぃ♡　おなか、とんとん、らめ♡　あひぃ！　なか、ひろがっちゃ、はぁん……っ♡」

　強すぎる官能にあてられて、意識とは無縁に溢れ続ける涙に視界はぼやけて、呂律が回らないどころか、自分が何を言っているのかももう解らない。ジュゼ、ジュゼ、と。愛しげに名前を呼ぶ声に耳を嬲られる度に、頭の中に眩い閃光が瞬いた。緩んだ口の端からは、飲み込みきれない唾液がだらだらと溢れていく。

「ジュゼ……んっ」
「あっ、んふ、ちゅ、ぷ」

　その涎さえ勿体無いとばかりに唇を塞がれて、れるれると口内を舐め回される。もはや閉じようという気力も湧かない口の中に、甘い味と共に多幸感が満ちた。
　与えられる甘露を無抵抗に喉奥に流し込まれながら、ぐちゅんぐちゅんと激しくなる一方の水音と共に弱い場所を突き上げられる。上下の口の粘膜を同時に掻き回されて、もう脳はすっかり溶けきっていた。
　一突き毎に叩き込まれる強烈な雌の快感に、本能的な恐怖を感じてもがく身体があがいても、美しくも逞しい男の体躯はビクともしない。夢魔の体液に蕩かされた尻穴は、生まれながらの雌よりもだらしなく淫らに男根を歓迎して絡みつき、与えられる快楽を存分に貪っては抵抗の気力を容赦なく削いでいった。

「あうっ、ふっ、ふあ……あっ!?　きゃっ、あっ、あぁ～～～!!♡」

　無意識に暴れるジュゼの細い手足を、子猫の悪戯を優しく咎めるように可愛がる妖魔に、決して逃がさないとばかりに強い抱擁で拘束された瞬間。強烈に芽生えた彼の雌としての自覚に、甘く高い悲鳴が上がる。
　雄に媚び切ったその声と雌穴の締め付けに、胎の奥深くに埋められた性器がより一層膨張してジュゼを悶えさせた。

「はっ、は……そろそろ、出していいですか？　んっ」
「らひ、っ？　あうぅ♡　あちゅ、ひうっ！　おく、とんとん……んっ♡　あん♡　あぁんっ～んひっ♡　ぁひ、ひぃ、ひぐ、あああ～～～♡」

　何、何を、出すの？　解らないままに、壮絶な快感に押し流されて、脳がぼやける。
　唇を合わせたまま、獣のように混ざり合って。一際奥を突き上げられた。

「っく、出しますね……っ」
「にゃっ⁉　ふあぁ♡　ぁ、で、てぇ♡　おなか、なか、ぬれちゃ……♡　あ、あちゅっ♡　あっ！　はひっ、ぁんっ♡　あぁっ……～～～‼」

　びゅくびゅくと吐き出された灼熱に、胎内をどろどろに濡らされる。注ぎ込まれた奥が熱い。雄を包み込んだ肉壁が雌としての歓喜にぎゅうと締まり、淫らに妖魔のペニスへ絡みついた。容赦なくどぷどぷと胎内を濡らしてゆく粘った精液の感触に、ジュゼの身体はびくびくと痙攣を起こしながら反り返り、必死に快楽を逃そうとする。

「やっ、あっ⁉　ぁ、んあっ♡　うぅ～～～♡」

　それを制止するように強く抱き締められ、体重をかけて粗末な寝台に押し付けられると、これまで以上にダイレクトに快感が襲って来る。吸われ過ぎてぽってりと熱を帯び、紅を引いたように淫らに染まったいたいけな唇からは、言葉にならない嬌声がこぼれた。腹の中を濡らしたものを捏ね回すように腰を押し付ける妖魔の動きに合わせて、ジュゼの尻が甘えるように揺れる。
　夢魔の精液は、恋の媚薬だ。ただ一滴で、忠義の騎士の心を蕩かし、貞淑な姫の足を開かせる。人の身には劇薬でしかないその原液を、最も敏感な粘膜に注がれて、ただの子供が無事でいられるはずもない。脳を焼くような快楽が際限なく押し寄せて、ジュゼは悲鳴を上げることも許されず、妖魔の巨躯に抱き潰されたままがくがくと痙攣をした。
　激しい絶頂に締まる肉筒が媚びるように妖魔のペニスに甘え縋り、この世のものとも思えない悦楽をもたらした精液のおかわりを浅ましくねだる。ちゅう、ちゅう、と。キスをするように妖魔のペニスにむしゃぶりつく己の肉筒の震えを感じながら、ジュゼは息も絶え絶えに悶え転がった。
　もうずっときもちいいのが続いて、頭が変になりそうで。はっはっはっ、と。口を開けて、犬のように必死に酸素を取り入れる。

「んあ……っ♡」

　くちゅ、と粘り気のある水音とともにペニスを引き抜かれ、逞しいカリ首が入口を捲る感覚に蕩けた声が零れた。とぷ、と。人間のそれよりも熱く粘る精液がゆっくりと垂れて尻を伝う。
　なおも遠ざかる気配のない快楽に四肢をぴくぴくと痙攣させながら喘いでいると、突如として身体を反転させられ、四つん這いにさせられた。腕に力が入らずに尻だけ高く突き上げるような態勢になると、ひくつく尻穴を左右に開かれ、再び熱くて硬いものが押し当てられる。

（うそ、うそ♡　もうだめ……♡）

　きもちいいの、とまんない。そう震えたジュゼの耳に、じゅぷぷ、と。濡れた音が響いて、身体の中心を快楽が貫いていった。
　神経が焼き切れるほどの官能に崩れ落ちたジュゼは寝台に顔を埋め、濁った声で獣のように呻く。がっちりと掴まれた腰ばかりは逃れられず、快楽にうねる内壁をばちゅっ、と。叩かれて、ジュゼは震える両手でシーツをぐちゃぐちゃに掻き抱きながら泣き咽いだ。

「ぃ、ぎぃっ♡　あっ、おぐ、らめ。もぅ、あんっ♡　ひぅ♡　あぁん～～～っ‼」
「ふふ、ジュゼ。まだまだたっぷり、きもちいいことしましょうね」

　遠慮なく挿入されたペニスはすでにはち切れんばかりに膨張していて、腰を打ち付けられる度にぱちん、ぱちん、と。精液のたくさん溜まった陰嚢が、高い破裂音をさせながら薄い尻たぶにぶつかる。雄々しいその陰嚢もまた、大柄な悪魔の体格に相応しい逞し過ぎるもので。ジュゼの小さく薄い尻たぶとほぼ同じほどの大きさにまで腫れ上がって、美しく涼しげな表情を崩さない妖魔の極度の興奮を示していた。
　突き上げが激しさを増す度に、びたんびたんと鈍い音を立てるその陰嚢に尻を打たれ、文字通りに叩きつけられる雄の性の力強さに、ジュゼの瞳が屈従の悦びに蕩け始める。ぁん♡　あぁん♡　と。鼻に掛かったように甘えた雌の喘ぎ声を無意識に上げ続けるジュゼの様子に気付いた妖魔はとろりと笑い、己の雌を虜にするための甘い毒を更に流し込まんと突き上げを激しくした。