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第三章
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リオの言葉に動揺したようなアルトは、しばしの沈黙の後に、だらりと腕を脱力させた。
まだ痺れてはいるが、やはり馬車の時よりは動く身体に鞭打って、リオはそっと寝台の上に身を起こした。
「申し訳ありません。……私は、こんな……あなたのような、清いレディを。こんな形で、篭絡しようとするだなんて」
どうかしている、と。己を呪うように呟かれたその声は、首を絞められたように苦しげで、あまりにも悲しい響きを帯びていた。
リオを何かに利用したかったらしいことは理解できたが、そんなことがどうでもよくなるくらい、あまりにも辛そうなその様子に。自分の首を絞められたように息が苦しくなってしまったリオは狼狽え、動揺し――打ち明けるなら今では? と。一周回って早まった勢いのままに薄掛けから手を離し、大きな声で言い切った。
「だ、大丈夫。――あのっ! 僕、男だから!」
「……はい?」
予想よりも鈍い反応に、えっ? と。リオの方が動揺してしまう。
よもやすでに男だとバレて――と、血の気が引いたのは一瞬のことだったが、そういうわけでもなさそうだ。困惑に悲しみを薄めた瞳でリオをじっと見つめた彼が、小さく首を傾げた。
「……確かに、男物ではあるようですが」
(気付かれていない!)
リオの中の男心が中々のショックを受けたが、客観的に見て、堂々と雄々しい体型でもなければ大柄なわけでもない。顔はまだどこか丸みを帯びた童顔で、伸ばした髪は自前なので普通に長い。故に、あまり変わって見えなくても仕方ない。仕方がないのだ。
遣る瀬ない感情を噛み締めながら、だが、それではどうしたらいいのかと思案する。――脱ぐ? ――無理! と。脳内でリオが騒いでいる間にも、麗しの貴公子と呼ぶに相応しい容貌のアルトは、それはそれで混乱しているらしく、途切れがちに呟いた。
「触れ、れば。……解るかも、しれませんが」
「えっ!?」
どこを!? と。リオはパニックになった。何と言っても、上半身はすでに触られたことが実はある仲である。
その経験を鑑みても、服の上から軽く触れたくらいでは、痩せぎすの少女と己の体格の間に恐らくさしたる違いはない。エレノアや、夜会で見知った同い年くらいのレディたちは皆、中々のスタイルを誇っていたような気はするが。――ほぼ、ない。そんな女性だっているのだということは、何よりもリオが、数ある夜会で他者から何も突っ込まれなかったことで証明済みである。
(それなら、下……下!?)
彼に!? と。どちらかと言うと、こんな美々しい存在に自分は何をさせる気なのかと言う点に激しい抵抗があったが、そうしなければ解らないと言うなら、まあ……脱ぐよりは……と。頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。
「……、……三秒、くらいなら」
葛藤と、羞恥の末に。どうぞ……、と。消え入りそうな声で出した是の返答に、ハッと顔を上げた彼が、首を横に振る。そしてそっと手を伸ばし、リオの肩に優しく薄掛けをかけ直した。
瞬きながら彼を見上げれば、穏やかな美しさを取り戻した赤い宝石の瞳が、優しく微笑んだ。
「一秒でも、指一本でも。許してはいけません。あなたが望んだ相手以外には」
窓から差し込む月の雫をその身に湛えて、微笑む彼の眼差しのあまりの美しさに、リオの鼓動が跳ねる。今は魔性の瞳もしていないのに、布越しにも触れられた肌が熱を帯びる感覚に、続けようとした言葉が震えた。
「で、でも。そうしないと解らないなら……」
「いいえ、信じます。あなたが私に、馬鹿げた偽りを口にするはずがない。……むしろ私こそ、重ねて愚かなことを申し上げました」
お許しくださいとは言えません、と。許しを乞うこともせずに深々と頭を下げるその潔さにリオは瞬き、気にしないで、と。本心から言葉をかける。そもそもまだ、具体的に何があったわけでもないのだ。今の段階で彼に怒ったり、彼を嫌ったりできる気持ちには、とてもではないがなれそうになかった。
けれど彼は、その反応こそが予想外であると言いたげに顔を上げて――リオの青い瞳に、偽りのないことをすぐに悟って、どこか悲しげな色を湛えた宝石の瞳を微笑みに眇めた。
「何故あなたは、そんなにも。全てを許してしまえるのでしょうか」
このような浅ましい身の上の私にまで、と。自嘲するように笑ったアルトが発した言葉への違和感に、リオは小首を傾げる。彼はいつだって、誰よりも気高く美しい瞳をしているのに。
明かりのために立ち上がる機会を逸し、さらに場を明るくする空気でもなくなってしまった夜闇の中、ええと、と。少しだけ思考の間をおいて、リオが口を開く。
「僕はこれまで、ずっと。……誰かの役に、立てたことがなくて」
いつも気怠い身体を引きずって、息を潜めるようにして生きてきた頃のことを思い出すのは、いつでも少し辛かった。
幼いリオを育んだその場所を、懐かしい場所として思い出すことのできない自分を悲しく思う。
それでも、今ここで、リオが生きていられるのは。紛れもなく、その日々の積み重ねがあったからなのだけど。
「生きているだけで、誰かの邪魔をしているような気がして仕方がなかった。……僕のせいで、みんなが少しずつ、無理をしているような気がして」
「……リオ様」
戸惑ったように、アルトの美しい瞳が揺れる。突然の身の上話なんておこがましかっただろうかと言葉に詰まるリオに、躊躇いがちに伸ばされた指が、そっと目元を拭ってくれる。――いつの間にか、泣いてしまっていたようだ。
無理にでも笑おうとしたら、余計に目の前が潤んでしまう。優しくされれば優しくされるほど、堪らない気持ちになってしまうリオは誤魔化すように目線を落とし、情けない顔を見られないようにと傍らのアルトの肩に頭を預けた。
まだ痺れてはいるが、やはり馬車の時よりは動く身体に鞭打って、リオはそっと寝台の上に身を起こした。
「申し訳ありません。……私は、こんな……あなたのような、清いレディを。こんな形で、篭絡しようとするだなんて」
どうかしている、と。己を呪うように呟かれたその声は、首を絞められたように苦しげで、あまりにも悲しい響きを帯びていた。
リオを何かに利用したかったらしいことは理解できたが、そんなことがどうでもよくなるくらい、あまりにも辛そうなその様子に。自分の首を絞められたように息が苦しくなってしまったリオは狼狽え、動揺し――打ち明けるなら今では? と。一周回って早まった勢いのままに薄掛けから手を離し、大きな声で言い切った。
「だ、大丈夫。――あのっ! 僕、男だから!」
「……はい?」
予想よりも鈍い反応に、えっ? と。リオの方が動揺してしまう。
よもやすでに男だとバレて――と、血の気が引いたのは一瞬のことだったが、そういうわけでもなさそうだ。困惑に悲しみを薄めた瞳でリオをじっと見つめた彼が、小さく首を傾げた。
「……確かに、男物ではあるようですが」
(気付かれていない!)
リオの中の男心が中々のショックを受けたが、客観的に見て、堂々と雄々しい体型でもなければ大柄なわけでもない。顔はまだどこか丸みを帯びた童顔で、伸ばした髪は自前なので普通に長い。故に、あまり変わって見えなくても仕方ない。仕方がないのだ。
遣る瀬ない感情を噛み締めながら、だが、それではどうしたらいいのかと思案する。――脱ぐ? ――無理! と。脳内でリオが騒いでいる間にも、麗しの貴公子と呼ぶに相応しい容貌のアルトは、それはそれで混乱しているらしく、途切れがちに呟いた。
「触れ、れば。……解るかも、しれませんが」
「えっ!?」
どこを!? と。リオはパニックになった。何と言っても、上半身はすでに触られたことが実はある仲である。
その経験を鑑みても、服の上から軽く触れたくらいでは、痩せぎすの少女と己の体格の間に恐らくさしたる違いはない。エレノアや、夜会で見知った同い年くらいのレディたちは皆、中々のスタイルを誇っていたような気はするが。――ほぼ、ない。そんな女性だっているのだということは、何よりもリオが、数ある夜会で他者から何も突っ込まれなかったことで証明済みである。
(それなら、下……下!?)
彼に!? と。どちらかと言うと、こんな美々しい存在に自分は何をさせる気なのかと言う点に激しい抵抗があったが、そうしなければ解らないと言うなら、まあ……脱ぐよりは……と。頭の中がぐちゃぐちゃになっていく。
「……、……三秒、くらいなら」
葛藤と、羞恥の末に。どうぞ……、と。消え入りそうな声で出した是の返答に、ハッと顔を上げた彼が、首を横に振る。そしてそっと手を伸ばし、リオの肩に優しく薄掛けをかけ直した。
瞬きながら彼を見上げれば、穏やかな美しさを取り戻した赤い宝石の瞳が、優しく微笑んだ。
「一秒でも、指一本でも。許してはいけません。あなたが望んだ相手以外には」
窓から差し込む月の雫をその身に湛えて、微笑む彼の眼差しのあまりの美しさに、リオの鼓動が跳ねる。今は魔性の瞳もしていないのに、布越しにも触れられた肌が熱を帯びる感覚に、続けようとした言葉が震えた。
「で、でも。そうしないと解らないなら……」
「いいえ、信じます。あなたが私に、馬鹿げた偽りを口にするはずがない。……むしろ私こそ、重ねて愚かなことを申し上げました」
お許しくださいとは言えません、と。許しを乞うこともせずに深々と頭を下げるその潔さにリオは瞬き、気にしないで、と。本心から言葉をかける。そもそもまだ、具体的に何があったわけでもないのだ。今の段階で彼に怒ったり、彼を嫌ったりできる気持ちには、とてもではないがなれそうになかった。
けれど彼は、その反応こそが予想外であると言いたげに顔を上げて――リオの青い瞳に、偽りのないことをすぐに悟って、どこか悲しげな色を湛えた宝石の瞳を微笑みに眇めた。
「何故あなたは、そんなにも。全てを許してしまえるのでしょうか」
このような浅ましい身の上の私にまで、と。自嘲するように笑ったアルトが発した言葉への違和感に、リオは小首を傾げる。彼はいつだって、誰よりも気高く美しい瞳をしているのに。
明かりのために立ち上がる機会を逸し、さらに場を明るくする空気でもなくなってしまった夜闇の中、ええと、と。少しだけ思考の間をおいて、リオが口を開く。
「僕はこれまで、ずっと。……誰かの役に、立てたことがなくて」
いつも気怠い身体を引きずって、息を潜めるようにして生きてきた頃のことを思い出すのは、いつでも少し辛かった。
幼いリオを育んだその場所を、懐かしい場所として思い出すことのできない自分を悲しく思う。
それでも、今ここで、リオが生きていられるのは。紛れもなく、その日々の積み重ねがあったからなのだけど。
「生きているだけで、誰かの邪魔をしているような気がして仕方がなかった。……僕のせいで、みんなが少しずつ、無理をしているような気がして」
「……リオ様」
戸惑ったように、アルトの美しい瞳が揺れる。突然の身の上話なんておこがましかっただろうかと言葉に詰まるリオに、躊躇いがちに伸ばされた指が、そっと目元を拭ってくれる。――いつの間にか、泣いてしまっていたようだ。
無理にでも笑おうとしたら、余計に目の前が潤んでしまう。優しくされれば優しくされるほど、堪らない気持ちになってしまうリオは誤魔化すように目線を落とし、情けない顔を見られないようにと傍らのアルトの肩に頭を預けた。
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