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第三章
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王の弟であれば、彼の叔父に当たるのだろう。身内を、必ずしも愛し信じることができない立場に生まれた身の上は、悲しいことに理解できてしまったけれど。それでも、ここまでの憎しみを燃やす理由になるだろうか。
どうして、と。リオの唇から零れてしまった疑問に、彼は口を開き、一度固く引き結び。そしてまた、慎ましく眼差しを俯けながら口を開いた。
「私の名をご存じであるならば、もうお察しでしょうか。……私もリオ様と同じ、少女の装いで育てられた身の上です」
「あ……」
思わず、声が漏れてしまった。
そう言えば、すっかり忘れていたが。リオが着せられたドレスを見て、エヴァンジェリンは我が子を偲んだのだった。
だが、それなら――さぞかし美々しい姫であったのだろう、と。凛々しい彼を前に失礼かもしれないとは思いつつ、リオはその、在りし日の姿をハッキリと幻視してしまった。
「父のことは、覚えていません。身分の低い庭師で、不運にも、生まれつき魔術や薬湯の類が効きづらい体質で。私が物心つく前に、はかなくなってしまったと聞いています」
母を、幼い頃に亡くしたリオには、他人事でない話だ。思わず目を潤ませれば、私は覚えていないのですが、と。アルトは逆に、リオを慰めるように小さく微笑んだ。
「お聞き及びかは解りませんが、我が国では子供は財産に等しく。少なくとも、無事に成長期を越えるまでは、秘匿して育てられることもままあります。……私も同じように、少女時代の母が育った別邸で、密かに育てられました」
その事情は、リオが突然社交界に顔を出しても問題はないだろうかと尋ねた時に、エルドラから聞いていた。
詳細こそまだ聞いていないが、同性婚でも子供はできる。しかし確率としては異性婚に劣る。なおかつ寿命に応じて出産適齢期も長い魔法使いたちに焦りがないことも手伝って、女性の割合が八割を超えるパルミールでは、出生率の低迷がいつでも社会問題だと言う。
出産適齢期も後半になって、優秀な子供が欲しいと願っては焦りを募らせ、他所から攫おうと考える愚か者が必ずいるのだと。静かに怒りを滲ませながらそう語ってくれたエルドラ自身が、攫われたことのある身の上だと知った今となっては、その言葉はまして重い実感だった。リオはアルトを、もう一度改めて盗み見る。
これほどまでに美しく、強ければ。たとえ王家の子供であっても、警戒し過ぎるということはないのだろう。そう思えた。
「守られる生活は性には合いませんでしたが、母たちの気持ちは理解しているつもりでした。ですが、そんな私の不満にも、母は気付いていたのでしょう。ある日、美しい庭園をいただきました。……別邸の片隅に、魔術で時を止めて隠されていた。庭師であった父が手ずから遺したという、美しい庭を」
記憶の中の庭園を見つめるその瞳の暖かな色だけで、その庭が、彼にとっては何よりの贈り物だったのだと解る。
守られるだけだった日々の中に、自分が守るべきものを手に出来たその幸いは、リオにも覚えのあるものだ。――リオは、その幸いの化身であるところの姉を、これ以上ないほど泣かせてしまったのだけれど。
彼がそっと、自らの胸元に手を振れる。目を向ければ、そこには、リオが差し出してしまった白薔薇の飾りがあって。己の失態を一瞬で思い出したリオは赤くなったが、アルトはその美しい瞳に幸福を映して微笑んでいた。
「あなたがくださったような白薔薇と、あなたの瞳のような青い花と。……恐らくは、母の瞳のような赤い花に、溢れる緑。どの季節にも無数の小鳥が立ち寄り、羽を休めて歌を歌った。その庭を――あの男は、焼き払った」
声に含まれた怒りと、憎悪と、悲しみに。ただ話を聞くばかりのリオの心も、ずきりと疼く。
求めて、手にした、大切なものを。無惨に踏み躙られた幼い彼は、どれほど悲しかったことだろう。
「燃え上がる庭を、屋敷を背に、私たちは逃げ延びました。戦うことはしなかった。……幼かった私を、守るために。私という秘密を、秘密のままにするために」
ぎり、と。音がするほどに強く握り締められた拳を緩めてあげたくて手を伸ばせば、リオの手が触れるよりも早く、白いその手は赤い炎に包まれた。
わっ? と。思わず声を上げてしまったリオは仰け反ったが、熱くはない。寝台にも引火する気配のないその不思議な炎は、彼の魔力なのだろうか。彼の激昂によって、制御できずに漏れ出たように見えたが、他害をもたらす様子はない。
燃え続けるその手を胸に握り込んで俯くと、彼は呻くような声で呟いた。
「許せない。許したくない。私の大切なものを、大切なものとも知らずに踏み躙ったあの男が。守られる存在に甘んじて、守りたかったものをみすみす奪われたこの私が」
彼の独白の度に、ますます燃え盛る魔法の炎が、白い肌を焦がしてしまいそうで。恐ろしくなったリオは、アルトに向けて手を伸ばした。炎の輝きに一瞬怯んだ指を、勢い付けて彼の手に重ねれば。熱さを感じることはついにないまま、その炎は手の内に掻き消えた。静かな暗闇の戻った室内の様子に、ほっと安堵の息をつく。
一度炎の明るさに触れた目に、夜闇は暗い。炎の残像に滲む視界の中、どんな顔をしているのか判らないアルトが、小さな呟きを力なく落とした。
「たかが庭のためにと、思いますか」
「……思わないよ」
そんなことを、思うはずがない。だって、彼は悲しかった。彼は、傷付いたのだから。
リオは握り締めたままのその手を引き寄せて、優しくそっと頬を寄せた。彼の心が痛まないように、リオの思いが伝わるように、願いを込めて指を絡ませる。
大人しく、リオにその手を任せる彼の指を撫でながら、リオは小さな声で囁いた。
「君の心が、この先ずっと痛むのなら。……僕は今、君に、力を貸したい」
弾かれたように顔を上げた彼の美しい瞳を見つめ返して、リオは穏やかな気持ちで微笑んだ。
リオを囮に、と。彼は言った。つまりリオには、彼のためにできることがあるということだ。それが嬉しい。
「僕に頼みたいことがあったから、ここまで来たんでしょう?」
「それは……はい。ですが」
リオの言葉は、彼の耳にどう届いたのだろう。言い淀む彼にもう一度笑顔を見せると、リオはそっと首を横に振った。
「大丈夫だよ。アルトくんは、僕のことをたくさん助けてくれたから。今度は僕が、それを返したいだけ」
仇の首を焼き切ることが、必ずしも彼を癒すことになるとは思わないけれど。それでも、彼の望みを叶えてあげたいと思う。――そして、復讐のためには我が身さえ顧みないと言う彼のことを、傍で守ってあげたかった。
リオの真意を読み解こうとするように目を凝らした彼は、その瞳に偽りのないことを悟ってくれたのだろうか。ふっと宝玉のような瞳の色を和らげると、寝台から立ち上がり、リオの足元に跪いた。
「ありがとうございます。……心から、あなたに感謝いたします、リオ様」
「うん。……あの、でもね。一つだけお願いがあるんだけど」
「何でしょうか」
「その……その、様、って。取ってくれないかな」
恥ずかしくて……と。正直に訴えつつ、リオは顔を赤らめる。
リオは、一応王子の身分を肩書きに持ってはいたけれど。貧しい母の伯爵領内で、古参の使用人と姉に守られ、全体的に質素堅実に生きてきた身の上だ。彼のあまりに完璧な王子様像の前では、とても堂々と名乗り出られそうにない。そして、そんな彼に礼儀を尽くされ、まして様付けなんてされるのは、あまりに恥ずかしくてやっていられなかった。
どうして、と。リオの唇から零れてしまった疑問に、彼は口を開き、一度固く引き結び。そしてまた、慎ましく眼差しを俯けながら口を開いた。
「私の名をご存じであるならば、もうお察しでしょうか。……私もリオ様と同じ、少女の装いで育てられた身の上です」
「あ……」
思わず、声が漏れてしまった。
そう言えば、すっかり忘れていたが。リオが着せられたドレスを見て、エヴァンジェリンは我が子を偲んだのだった。
だが、それなら――さぞかし美々しい姫であったのだろう、と。凛々しい彼を前に失礼かもしれないとは思いつつ、リオはその、在りし日の姿をハッキリと幻視してしまった。
「父のことは、覚えていません。身分の低い庭師で、不運にも、生まれつき魔術や薬湯の類が効きづらい体質で。私が物心つく前に、はかなくなってしまったと聞いています」
母を、幼い頃に亡くしたリオには、他人事でない話だ。思わず目を潤ませれば、私は覚えていないのですが、と。アルトは逆に、リオを慰めるように小さく微笑んだ。
「お聞き及びかは解りませんが、我が国では子供は財産に等しく。少なくとも、無事に成長期を越えるまでは、秘匿して育てられることもままあります。……私も同じように、少女時代の母が育った別邸で、密かに育てられました」
その事情は、リオが突然社交界に顔を出しても問題はないだろうかと尋ねた時に、エルドラから聞いていた。
詳細こそまだ聞いていないが、同性婚でも子供はできる。しかし確率としては異性婚に劣る。なおかつ寿命に応じて出産適齢期も長い魔法使いたちに焦りがないことも手伝って、女性の割合が八割を超えるパルミールでは、出生率の低迷がいつでも社会問題だと言う。
出産適齢期も後半になって、優秀な子供が欲しいと願っては焦りを募らせ、他所から攫おうと考える愚か者が必ずいるのだと。静かに怒りを滲ませながらそう語ってくれたエルドラ自身が、攫われたことのある身の上だと知った今となっては、その言葉はまして重い実感だった。リオはアルトを、もう一度改めて盗み見る。
これほどまでに美しく、強ければ。たとえ王家の子供であっても、警戒し過ぎるということはないのだろう。そう思えた。
「守られる生活は性には合いませんでしたが、母たちの気持ちは理解しているつもりでした。ですが、そんな私の不満にも、母は気付いていたのでしょう。ある日、美しい庭園をいただきました。……別邸の片隅に、魔術で時を止めて隠されていた。庭師であった父が手ずから遺したという、美しい庭を」
記憶の中の庭園を見つめるその瞳の暖かな色だけで、その庭が、彼にとっては何よりの贈り物だったのだと解る。
守られるだけだった日々の中に、自分が守るべきものを手に出来たその幸いは、リオにも覚えのあるものだ。――リオは、その幸いの化身であるところの姉を、これ以上ないほど泣かせてしまったのだけれど。
彼がそっと、自らの胸元に手を振れる。目を向ければ、そこには、リオが差し出してしまった白薔薇の飾りがあって。己の失態を一瞬で思い出したリオは赤くなったが、アルトはその美しい瞳に幸福を映して微笑んでいた。
「あなたがくださったような白薔薇と、あなたの瞳のような青い花と。……恐らくは、母の瞳のような赤い花に、溢れる緑。どの季節にも無数の小鳥が立ち寄り、羽を休めて歌を歌った。その庭を――あの男は、焼き払った」
声に含まれた怒りと、憎悪と、悲しみに。ただ話を聞くばかりのリオの心も、ずきりと疼く。
求めて、手にした、大切なものを。無惨に踏み躙られた幼い彼は、どれほど悲しかったことだろう。
「燃え上がる庭を、屋敷を背に、私たちは逃げ延びました。戦うことはしなかった。……幼かった私を、守るために。私という秘密を、秘密のままにするために」
ぎり、と。音がするほどに強く握り締められた拳を緩めてあげたくて手を伸ばせば、リオの手が触れるよりも早く、白いその手は赤い炎に包まれた。
わっ? と。思わず声を上げてしまったリオは仰け反ったが、熱くはない。寝台にも引火する気配のないその不思議な炎は、彼の魔力なのだろうか。彼の激昂によって、制御できずに漏れ出たように見えたが、他害をもたらす様子はない。
燃え続けるその手を胸に握り込んで俯くと、彼は呻くような声で呟いた。
「許せない。許したくない。私の大切なものを、大切なものとも知らずに踏み躙ったあの男が。守られる存在に甘んじて、守りたかったものをみすみす奪われたこの私が」
彼の独白の度に、ますます燃え盛る魔法の炎が、白い肌を焦がしてしまいそうで。恐ろしくなったリオは、アルトに向けて手を伸ばした。炎の輝きに一瞬怯んだ指を、勢い付けて彼の手に重ねれば。熱さを感じることはついにないまま、その炎は手の内に掻き消えた。静かな暗闇の戻った室内の様子に、ほっと安堵の息をつく。
一度炎の明るさに触れた目に、夜闇は暗い。炎の残像に滲む視界の中、どんな顔をしているのか判らないアルトが、小さな呟きを力なく落とした。
「たかが庭のためにと、思いますか」
「……思わないよ」
そんなことを、思うはずがない。だって、彼は悲しかった。彼は、傷付いたのだから。
リオは握り締めたままのその手を引き寄せて、優しくそっと頬を寄せた。彼の心が痛まないように、リオの思いが伝わるように、願いを込めて指を絡ませる。
大人しく、リオにその手を任せる彼の指を撫でながら、リオは小さな声で囁いた。
「君の心が、この先ずっと痛むのなら。……僕は今、君に、力を貸したい」
弾かれたように顔を上げた彼の美しい瞳を見つめ返して、リオは穏やかな気持ちで微笑んだ。
リオを囮に、と。彼は言った。つまりリオには、彼のためにできることがあるということだ。それが嬉しい。
「僕に頼みたいことがあったから、ここまで来たんでしょう?」
「それは……はい。ですが」
リオの言葉は、彼の耳にどう届いたのだろう。言い淀む彼にもう一度笑顔を見せると、リオはそっと首を横に振った。
「大丈夫だよ。アルトくんは、僕のことをたくさん助けてくれたから。今度は僕が、それを返したいだけ」
仇の首を焼き切ることが、必ずしも彼を癒すことになるとは思わないけれど。それでも、彼の望みを叶えてあげたいと思う。――そして、復讐のためには我が身さえ顧みないと言う彼のことを、傍で守ってあげたかった。
リオの真意を読み解こうとするように目を凝らした彼は、その瞳に偽りのないことを悟ってくれたのだろうか。ふっと宝玉のような瞳の色を和らげると、寝台から立ち上がり、リオの足元に跪いた。
「ありがとうございます。……心から、あなたに感謝いたします、リオ様」
「うん。……あの、でもね。一つだけお願いがあるんだけど」
「何でしょうか」
「その……その、様、って。取ってくれないかな」
恥ずかしくて……と。正直に訴えつつ、リオは顔を赤らめる。
リオは、一応王子の身分を肩書きに持ってはいたけれど。貧しい母の伯爵領内で、古参の使用人と姉に守られ、全体的に質素堅実に生きてきた身の上だ。彼のあまりに完璧な王子様像の前では、とても堂々と名乗り出られそうにない。そして、そんな彼に礼儀を尽くされ、まして様付けなんてされるのは、あまりに恥ずかしくてやっていられなかった。
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