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第十四章上海事変
第十四章第三十三節(金沢第九師団)
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三十三
陸軍の第二次派遣軍は十三日午後六時、虹口の正面口にあたる日本郵船碼頭(埠頭)に上陸した。
金沢第九師団は植田謙吉中将を師団長に、石川、福井、富山の各聯隊で構成される約二万五千人の兵力だ。第一、第二梯団に分かれた全兵員が上陸し、軍需品その他の揚陸を終えて全部隊が前線へ就いたのは四日後の十七日だった。
日本の陸軍がこの地に足を踏み入れるのは有史来初めてのこと。
「もし陸軍が戦闘を開始したら、日本は南京まで攻め上るに違いない」
列国の観戦武官は、軒並み本国へ向けてそのような観測を報告した。
「日華全面戦争は間近」という不気味な妖雲が垂れこめるなか、植田師団長は重光葵公使や野村吉三郎第三遣外艦隊司令官らと熟議を重ね、必ずしも武力をもって敵軍を叩きつけるのが賢明な措置なのではなく、相手方が租界から一定の距離まで撤退すれば闘わずして所期の目的を達することができる」--との結論に達した。
そこで政府へも請訓の上、撤退要求を発することにした。
交渉は先ず十八日午前九時、英国のマイルス・ランプソン公使を斡旋人に第九師団の田代皖一郎参謀長と第十九路軍参謀長黄強の間で行われたが、先方の回答はにべもなかった。
このため同日午後九時、植田師団長から蔡廷楷軍長へ宛てた「最後通牒」を突き付けることとなった。
「一、貴軍は速やかに戦闘行為を中止し二月二十日午前七時までに(中略)各租界の境界線より二十キロメートルの区域の外に撤退を完了し、かつ、右地域内に於いて砲台その他軍事施設を撤去し新たにこれを設けざること。
二、日本軍は貴軍の撤退開始後、射撃爆撃および迫撃動作を行わず。ただし飛行機による偵察はこの限りにあらず。
三、貴軍第一線撤退完了後、日本軍はその実行を確認するため護衛兵を有する調査委員を撤退地域に派遣す。
四、貴軍は右撤退地域以外の上海付近にある日本人の生命財産を完全に保護すべく、右保護完全ならざる時は日本軍に於いて適当の手段を探るべし。また便衣隊は一切有効にこれを禁止すること。
五、六略)」
なおこれと同時に村井倉松総領事も呉鉄城上海市長へ宛てて、ほぼ同文からなる「総領事の最後通牒」を手交した。
陸軍の第二次派遣軍は十三日午後六時、虹口の正面口にあたる日本郵船碼頭(埠頭)に上陸した。
金沢第九師団は植田謙吉中将を師団長に、石川、福井、富山の各聯隊で構成される約二万五千人の兵力だ。第一、第二梯団に分かれた全兵員が上陸し、軍需品その他の揚陸を終えて全部隊が前線へ就いたのは四日後の十七日だった。
日本の陸軍がこの地に足を踏み入れるのは有史来初めてのこと。
「もし陸軍が戦闘を開始したら、日本は南京まで攻め上るに違いない」
列国の観戦武官は、軒並み本国へ向けてそのような観測を報告した。
「日華全面戦争は間近」という不気味な妖雲が垂れこめるなか、植田師団長は重光葵公使や野村吉三郎第三遣外艦隊司令官らと熟議を重ね、必ずしも武力をもって敵軍を叩きつけるのが賢明な措置なのではなく、相手方が租界から一定の距離まで撤退すれば闘わずして所期の目的を達することができる」--との結論に達した。
そこで政府へも請訓の上、撤退要求を発することにした。
交渉は先ず十八日午前九時、英国のマイルス・ランプソン公使を斡旋人に第九師団の田代皖一郎参謀長と第十九路軍参謀長黄強の間で行われたが、先方の回答はにべもなかった。
このため同日午後九時、植田師団長から蔡廷楷軍長へ宛てた「最後通牒」を突き付けることとなった。
「一、貴軍は速やかに戦闘行為を中止し二月二十日午前七時までに(中略)各租界の境界線より二十キロメートルの区域の外に撤退を完了し、かつ、右地域内に於いて砲台その他軍事施設を撤去し新たにこれを設けざること。
二、日本軍は貴軍の撤退開始後、射撃爆撃および迫撃動作を行わず。ただし飛行機による偵察はこの限りにあらず。
三、貴軍第一線撤退完了後、日本軍はその実行を確認するため護衛兵を有する調査委員を撤退地域に派遣す。
四、貴軍は右撤退地域以外の上海付近にある日本人の生命財産を完全に保護すべく、右保護完全ならざる時は日本軍に於いて適当の手段を探るべし。また便衣隊は一切有効にこれを禁止すること。
五、六略)」
なおこれと同時に村井倉松総領事も呉鉄城上海市長へ宛てて、ほぼ同文からなる「総領事の最後通牒」を手交した。
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