風紋(Sand Ripples)~あの頃だってそうだった~

宗像紫雲

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第十五章リース=ロスの幣制改革

第十五章第八節(シルバーメン1)

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                 八

 米国の産業に占める銀産業の割合は決して大きくない。にもかかわらず、銀を巡る問題は米国の経済・金融政策のなかで重要な地位を占めた。それは極めて政治的な理由によるものだった。

 二〇二〇年の大統領選挙で随分と知れ渡るようになったが、合衆国憲法は人口や経済規模などに関係なく各州から上院議員を二人ずつ選出すると定めている。
 「一票の格差など何物ぞ!」とばかり、銀の主要産出地であるユタ、アイダホ、モンタナ、アリゾナ、コロラド、ネヴァダ、ニューメキシコの南西部七州は、人口が希薄であるにもかかわらずそれぞれ二名の上院議員を送り出した。

 これらの地域は歴史的に民主党(およびポピュリスト党)の支持基盤であったため、同党が政権を握ると銀を巡る重要な法案が持ち上がる傾向があった。ごく少数の銀産業者の利害を代表する銀政策が通貨発行量を巡る議論と結びついて、リフレ政策の手段という衣をまとった。すると西部、南部の農業州選出の議員らもこれに呼応し、議会で一大論争を巻き起こした。

 彼らは「シルバーメン」と呼ばれ、上院で大きな勢力を占めた。
その有力議員にはピットマン(ネヴァダ州)を筆頭に、ボラー(アイダホ州)、ホイラー(モンタナ州)、キング(ユタ州)、コステガン(コロラド州)、アダムス(同)、マッカラン(ネヴァダ州)らの名が上げられた。ボラーを除く全員が民主党議員だ。
 また、彼らに呼応してインフレ策を推進した南部選出議員には、トーマス(オクラホマ州)、ローガン(ケンタッキー州)、ロング(ルイジアナ州)、コナリー(テキサス州)、ハリソン(ミシシッピー州)がおり、下院にはフィーシンガー(オハイオ州)、ダイス(テキサス州)、ホワイト(アイダホ州)、コフィン(同)、スクルーガム(ネヴァダ州)らの名が刻まれた。

 シルバーメンは一八七八年、政府が銀を買い上げ、その対価として「銀券(シルバー・サーティフィケート)」を発行する「ブランド・アリソン法」を通過させた。
これがイギリスの資本家から不興を買うと、八月にパリで「国際貨幣会議」を主宰して、ヨーロッパ諸国に複本位制の復活を働きかけた。
 国際貨幣会議はこの後も八一年と九二年の計三回開催されたが、いずれも不調に終わった。
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