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第十五章リース=ロスの幣制改革
第十五章第二十一節(世界大恐慌)
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二十一
満洲事変や上海事変は「世界大恐慌」のさなかに起こった。正確に言えば、恐慌発生国のアメリカがちょうど「第二次銀行恐慌」に見舞われた時期にあたる。
ひと言に「大恐慌」と言うが、一九二九年当時の状況と恐慌末期の三三年春時点では深刻さがまるで違う。
世間で世界大恐慌は、二九年十月のウォール街の株価暴落、いわゆる「暗黒の木曜日」に端を発すると思われているが、それは正しくない。「咆哮の二〇年代(Roaring 20’s)」と呼ばれる合衆国の好景気はこの年の八月で峠を越し、景気も株価も下降に転じていた。つまり「世界大恐慌」は二九年八月から三三年三月までの三年七カ月間続いた超長期の景気減速期を指す。
この間に三度の景気の浮き沈みがあって、その都度徐々に深度を深めていった。
意外なことに大恐慌の原因については未だ定説がないらしい。
マルクス経済学者の侘美光彦東京大学名誉教授によれば、「アメリカの大恐慌と国際金本位制の崩壊という二つの現象が重なって、世界経済が急速に収縮していった」現象なのだそうだ。
以下、同教授の『大恐慌型不況』(講談社刊)から引用する。
「生産の縮小、物価の下落、失業の増大など、いわゆる産業恐慌が徐々に拡大したものの、それ以前の『循環性恐慌』と違って、初期には銀行恐慌がまったく発生しなかった。
ところが、一九三〇年第4四半期頃から事態が急変する。(中略)需要の急減が生産の縮小、物価の下落を一段と促進した。すなわち、デフレがデフレを呼ぶ「デフレ・スパイラル」に陥ったのである。
同時に、第一次銀行恐慌も始まった。このときの銀行恐慌は農村地帯や一部の都市に限定され、まだ規模も小さかった。それでも銀行恐慌は産業へ深刻な打撃を及ぼす。農産物価格は同年第2四半期に二九年時水準のおよそ半分まで暴落していたから、農業恐慌は最悪の状態を迎えていた。
同じような過程が三一年第3四半期から第4四半期にかけてもう一度繰り返された。(中略)銀行恐慌は全国へと広がった。この第二次銀行恐慌により、さらに激しい産業恐慌と農業恐慌が起こった。この時点で全米の失業率は二〇パーセントを超えていた。もはやだれの目にもこれが『大恐慌』であることは明らかだった」
「三十二年第3四半期にいたると三度粗投資の激減が起こり、ついにマイナスを記録した」
フーバー大統領は公的資金を投入して銀行を救済しようと、「復興金融公社(RFC)」を活用した銀行救済を決意する。だが公的資金を投入する以上、救済先とその経営状況を公にすべきだという話になって、経営不安に陥った銀行のリストが議会で公表された。
これが信用不安を引き起こして第三次銀行恐慌へと発展し、三三年の三月だけで実に三千四百六十の銀行が破産してしまった。
満洲事変や上海事変は「世界大恐慌」のさなかに起こった。正確に言えば、恐慌発生国のアメリカがちょうど「第二次銀行恐慌」に見舞われた時期にあたる。
ひと言に「大恐慌」と言うが、一九二九年当時の状況と恐慌末期の三三年春時点では深刻さがまるで違う。
世間で世界大恐慌は、二九年十月のウォール街の株価暴落、いわゆる「暗黒の木曜日」に端を発すると思われているが、それは正しくない。「咆哮の二〇年代(Roaring 20’s)」と呼ばれる合衆国の好景気はこの年の八月で峠を越し、景気も株価も下降に転じていた。つまり「世界大恐慌」は二九年八月から三三年三月までの三年七カ月間続いた超長期の景気減速期を指す。
この間に三度の景気の浮き沈みがあって、その都度徐々に深度を深めていった。
意外なことに大恐慌の原因については未だ定説がないらしい。
マルクス経済学者の侘美光彦東京大学名誉教授によれば、「アメリカの大恐慌と国際金本位制の崩壊という二つの現象が重なって、世界経済が急速に収縮していった」現象なのだそうだ。
以下、同教授の『大恐慌型不況』(講談社刊)から引用する。
「生産の縮小、物価の下落、失業の増大など、いわゆる産業恐慌が徐々に拡大したものの、それ以前の『循環性恐慌』と違って、初期には銀行恐慌がまったく発生しなかった。
ところが、一九三〇年第4四半期頃から事態が急変する。(中略)需要の急減が生産の縮小、物価の下落を一段と促進した。すなわち、デフレがデフレを呼ぶ「デフレ・スパイラル」に陥ったのである。
同時に、第一次銀行恐慌も始まった。このときの銀行恐慌は農村地帯や一部の都市に限定され、まだ規模も小さかった。それでも銀行恐慌は産業へ深刻な打撃を及ぼす。農産物価格は同年第2四半期に二九年時水準のおよそ半分まで暴落していたから、農業恐慌は最悪の状態を迎えていた。
同じような過程が三一年第3四半期から第4四半期にかけてもう一度繰り返された。(中略)銀行恐慌は全国へと広がった。この第二次銀行恐慌により、さらに激しい産業恐慌と農業恐慌が起こった。この時点で全米の失業率は二〇パーセントを超えていた。もはやだれの目にもこれが『大恐慌』であることは明らかだった」
「三十二年第3四半期にいたると三度粗投資の激減が起こり、ついにマイナスを記録した」
フーバー大統領は公的資金を投入して銀行を救済しようと、「復興金融公社(RFC)」を活用した銀行救済を決意する。だが公的資金を投入する以上、救済先とその経営状況を公にすべきだという話になって、経営不安に陥った銀行のリストが議会で公表された。
これが信用不安を引き起こして第三次銀行恐慌へと発展し、三三年の三月だけで実に三千四百六十の銀行が破産してしまった。
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