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Elena-2
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「おはよう、エレーナ」
背後から現れたのはモアだった。私の顔を見て驚いた顔をする。
結局、痛みは引かなかった。寧ろ強くなっている。それに加えて、テストの恐怖で泣きそうだった。
「どうしたの……?」
「……ちょっとね」
だが、不安気なモアを、更に不安にさせないよう笑顔を作る。上手く作れている気はしないが。
「……エレーナもなんて。今日はテストなのに」
ぽそり、呟かれた言葉に笑みは消えた。モアと同じ顔をして、意味を確かめてしまう。
「……私もって?」
「それが、ロッタも青い顔してたんだよ。二人とも不調なんて心配だな……」
「……そんな」
直ぐにでも、ロッタの元へ駆けつけたくなった。だが、動かない足では歩くのが精一杯だ。
「エレーナ、ロッタとも話したんだけど君は自分の事だけを考えるんだ。最下位にならないようにね」
モアの瞳は真剣だった。だが、素直に頷けず硬直してしまう。
心配させすぎて眠れなかったのだろうか。私の所為で、最下位になってしまったらどうしよう。
不安が過ぎって、更に体が痛くなる。
「二人ともなんて嫌だからさ……」
小さく耳に入った声は、萎れていた。違和感の残る言葉が、ロッタの状態を想像させる。
二人とも最下位に――なんて未来が見えた。
*
想像は正解かもしれない。廊下で対面したロッタは、私以上に辛そうだった。見た目からは状態が分からないが、かなり深刻そうだ。
「エレーナ、痛いの軽くなったか?」
だが、目が合った瞬間、微笑まれる。隠し切れない脂汗が、重症度を悟らせたが。
「……ロッタはどうしたの?」
胸が騒いだ。強まってゆく、嫌な予感が心を刺す。
「眠れなくてさ。でも心配するな。エレーナは自分のことだけ考えてろよ」
ロッタはそう言ったが、寝不足が原因でこうなるとは考えにくかった。
私に起こったように、彼にも何かが起こったとしか――。
「さ、始まるぜ。頑張れよ、エレーナ」
笑いながら教室に入ったロッタは、足を引き摺っていた。
背後から現れたのはモアだった。私の顔を見て驚いた顔をする。
結局、痛みは引かなかった。寧ろ強くなっている。それに加えて、テストの恐怖で泣きそうだった。
「どうしたの……?」
「……ちょっとね」
だが、不安気なモアを、更に不安にさせないよう笑顔を作る。上手く作れている気はしないが。
「……エレーナもなんて。今日はテストなのに」
ぽそり、呟かれた言葉に笑みは消えた。モアと同じ顔をして、意味を確かめてしまう。
「……私もって?」
「それが、ロッタも青い顔してたんだよ。二人とも不調なんて心配だな……」
「……そんな」
直ぐにでも、ロッタの元へ駆けつけたくなった。だが、動かない足では歩くのが精一杯だ。
「エレーナ、ロッタとも話したんだけど君は自分の事だけを考えるんだ。最下位にならないようにね」
モアの瞳は真剣だった。だが、素直に頷けず硬直してしまう。
心配させすぎて眠れなかったのだろうか。私の所為で、最下位になってしまったらどうしよう。
不安が過ぎって、更に体が痛くなる。
「二人ともなんて嫌だからさ……」
小さく耳に入った声は、萎れていた。違和感の残る言葉が、ロッタの状態を想像させる。
二人とも最下位に――なんて未来が見えた。
*
想像は正解かもしれない。廊下で対面したロッタは、私以上に辛そうだった。見た目からは状態が分からないが、かなり深刻そうだ。
「エレーナ、痛いの軽くなったか?」
だが、目が合った瞬間、微笑まれる。隠し切れない脂汗が、重症度を悟らせたが。
「……ロッタはどうしたの?」
胸が騒いだ。強まってゆく、嫌な予感が心を刺す。
「眠れなくてさ。でも心配するな。エレーナは自分のことだけ考えてろよ」
ロッタはそう言ったが、寝不足が原因でこうなるとは考えにくかった。
私に起こったように、彼にも何かが起こったとしか――。
「さ、始まるぜ。頑張れよ、エレーナ」
笑いながら教室に入ったロッタは、足を引き摺っていた。
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