刺さるほどの冷たさを今日も私は知らずにいる

有箱

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冷たくも楽しげな外の世界【1/3】

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 朝食を済ませ、散らかってもいない部屋を整えてみる。行動を定着させないまま十分。更に五分が経過してもノックは響かなかった。
 食後十五分を超えても無音の場合、その日は誰もこない。決定した段階で、明日までの憂鬱は確定した。

 そもそもママはほぼ顔を出さないし、出したとしても寝過ごした朝に一声かけてくるだけだ。メイドだって食べものを運んでくるくらいで、基本話し相手にはなってくれない。前はいた従者だって、最近は見ることすらないし。
 兎にも角にも、孤独な時間に落ち込むしかなかった。

 窓の外では、白い床が嵩を増やしている。雪自体はやみ、太陽が柔らかく日を注いでいた。

 そんなに寒くなさそうだったって、今日なら言い訳できるんじゃない?

 視界で捉えた温度は、疼く心を突いてくる。待ち受ける孤独への反抗心が、窓の鍵に指先を誘った。

「わっ」

 だが、鍵を下ろそうとして、遠くの人影に竦む。膝上まで雪に埋もれ、近づいてきたのは大きなシルエットの誰か――着膨れしたエフだった。普段着は汚れていて、決して綺麗と言えない。しかし、冬らしい膨らみは煌めいて映った。

 必要だから開けるだけよ――言い訳を刻み、初めて鍵と窓を開ける。とは言え、隙間を生み出した程度だ。ひんやりした空気が、部屋の温かさと混ざって心地いい。

「こんなところからどうしたの」
「遅刻してしまって、正面から入れなかったんだ」
「……そうなの。入って」

 一人分の隙間を用意する。一気に吹き込んだ冷風は、はっきりした冷たさを感じさせてくれた。一瞬身震いして、ママからの言いつけを思い出す。

「こんなとこから入ったなんて、君のママに知られたら怒られるな。しかも汚い服を着て」
「大丈夫よ、今日はもう誰も来ないもの。それに私、エフが普段着てる服、触ってみたかったの」
「……そうか、存分に触ってくれ」

 切ない声は、私の感情を揺らした。鍵を開けた罪悪感と、大事にされない怒りが取っ組み合っている。結局のところ、ママへの恐れに全て飲み込まれるのだけど。
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